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恋しい人
恋しい人 第4話
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「虎君、好き……。大好きぃ……」
離れた唇が恋しくて、僕は虎君のぬくもりを求めて目を開く。
すると、この上ない優しい笑顔が目の前にあって、息が止まる。
心臓がきゅーっと締め付けられてる気がして苦しい。でも、虎君が僕が望むままもう一度をキスをくれた途端、ドキドキの苦しさを忘れてしまうから不思議だった。
「愛してるよ、葵……。葵だけを心から愛してる……」
何があってもこの想いは変わらないから信じて欲しい。
大好きな人にこんな風に懇願されたら頷くしかできないというもの。
大好きになればなるほど、これからも沢山不安になって虎君の想いを疑ってしまうだろうけど、それでも信じると答えるのは、絶対に疑いたくないという想いを込めてだ。
床に座り込んで抱き合う僕達は時間も場所も忘れて隙間なくくっついて愛を確かめる。
でも、此処が僕の部屋とかなら思う存分抱き合うことができただろうけど、残念ながらたまたま誰もないだけの朝の家のリビング。いつまでも二人の世界に浸ってはいられない。
「母さん、親父って何時に戻って来るって言ってたっけ? ……って、お前等何してんだよ……」
リビングに顔を見せたのは茂斗で、僕達を見つけるや否や凄く不機嫌な声を掛けてきた。
あからさまなまでに機嫌の悪い声。僕はしまったと内心頭を抱えてしまった。
「茂斗、おはよう。今日はゆっくりなんだな」
虎君は自然な動きで僕から離れ立ち上がると、茂斗に話しかける。いつも通りに。
すると茂斗はわざとらしい大きなため息を吐いて、「幸せ惚けしてんな」と吐き捨てた。
虎君はそんな茂斗の態度に戸惑いを見せるんだけど、僕は茂斗の態度に心当たりがあったから、虎君の上着を引っ張って茂斗の不機嫌な理由を伝える。とても分かり易い理由を。
「虎君、虎君、一昨日から凪ちゃん、マリアの寮に入ったから……」
「! ああ、そっか……」
茂斗を刺激しないようにできるだけ小声で伝えたんだけど、どんなに頑張ったところで虎君だけじゃなくて茂斗にも聞こえてしまった僕の声。
茂斗はぴくっと眉と頬を引き攣らせ、テーブルを力強く叩いて「俺は、後10日以上凪に会えないんだよな! 10日も!」と僕達を威圧するように引き攣った笑顔でドスの効いた声を上げる。
「ご、ごめん茂斗、そんなに怒らないで」
「全然怒ってねぇーよ? 全然な!」
虎君に突っかかりそうな勢いの茂斗を止めるために僕は慌てて立ち上がると、二人の間に割って入る。
すると茂斗は虎君から僕に標的を変えて笑顔のまま顔を近づけて威圧してきた。これがマンガだったら絶対青筋が見えるところだろう。
「ごめんってば……」
「茂斗、葵を怖がらせるな」
イライラしてる茂斗にどうしていいか分からなくなる僕。
背後から聞こえる虎君の声からは優しさも戸惑いも無くて、僕のために怒りを滲ませていた。
このままだと凪ちゃんに会えないフラストレーションに爆発寸前の茂斗と僕を守るために怒ってくれる虎君とで喧嘩が勃発しちゃいそうだった。
(ど、どうしよう……)
此処で僕が大丈夫だと虎君を止めるのは簡単。でも、それをすると茂斗の怒りをヒートアップさせるだけだし、本当に困った。
と、そこに聞こえるのは朗らかな高い声。めのうのものだ。
「あー! おにーちゃんだ! おにーちゃん、おはよう!」
開いたドアからお姫様と見紛うめのうが姿を見せると、見つけた茂斗の姿に可愛らしさを褒めて欲しいとばかりに駆け寄ってくる。
「! めのう、おはよう」
「……おにーちゃん、どうしたの?」
「ん。なんでもないぞ」
不機嫌を隠してめのうを振り返る茂斗はお兄ちゃんの顔をしていた。
でも、違和感までは消せなかったのか、めのうは心配そうに眉を下げて「どこかいたいの?」と茂斗のスエットのズボンの裾を引っ張って見せた。
「めのう、おいで。お兄ちゃんは『凪ちゃんに会いたい会いたい』ってなってるだけだからね」
「母さんっ……!」
「なぁに? 違った?」
めのうを呼ぶのは母さんで、明るい声で茂斗の様子がおかしい理由をめのうに説明する。
それを窘める声を上げる茂斗だけど、家族で一番強い母さんには通用しない。母さんは満面の笑顔を見せ、茂斗の不満の声を噤んでしまう。
「そうなの? おにいちゃん、なぎちゃんにあいたいの? さみしいの?」
(こういう時、小さい子供って得だよな)
無邪気に核心に触れられるから。僕が言ったら殴られているところだ。
離れた唇が恋しくて、僕は虎君のぬくもりを求めて目を開く。
すると、この上ない優しい笑顔が目の前にあって、息が止まる。
心臓がきゅーっと締め付けられてる気がして苦しい。でも、虎君が僕が望むままもう一度をキスをくれた途端、ドキドキの苦しさを忘れてしまうから不思議だった。
「愛してるよ、葵……。葵だけを心から愛してる……」
何があってもこの想いは変わらないから信じて欲しい。
大好きな人にこんな風に懇願されたら頷くしかできないというもの。
大好きになればなるほど、これからも沢山不安になって虎君の想いを疑ってしまうだろうけど、それでも信じると答えるのは、絶対に疑いたくないという想いを込めてだ。
床に座り込んで抱き合う僕達は時間も場所も忘れて隙間なくくっついて愛を確かめる。
でも、此処が僕の部屋とかなら思う存分抱き合うことができただろうけど、残念ながらたまたま誰もないだけの朝の家のリビング。いつまでも二人の世界に浸ってはいられない。
「母さん、親父って何時に戻って来るって言ってたっけ? ……って、お前等何してんだよ……」
リビングに顔を見せたのは茂斗で、僕達を見つけるや否や凄く不機嫌な声を掛けてきた。
あからさまなまでに機嫌の悪い声。僕はしまったと内心頭を抱えてしまった。
「茂斗、おはよう。今日はゆっくりなんだな」
虎君は自然な動きで僕から離れ立ち上がると、茂斗に話しかける。いつも通りに。
すると茂斗はわざとらしい大きなため息を吐いて、「幸せ惚けしてんな」と吐き捨てた。
虎君はそんな茂斗の態度に戸惑いを見せるんだけど、僕は茂斗の態度に心当たりがあったから、虎君の上着を引っ張って茂斗の不機嫌な理由を伝える。とても分かり易い理由を。
「虎君、虎君、一昨日から凪ちゃん、マリアの寮に入ったから……」
「! ああ、そっか……」
茂斗を刺激しないようにできるだけ小声で伝えたんだけど、どんなに頑張ったところで虎君だけじゃなくて茂斗にも聞こえてしまった僕の声。
茂斗はぴくっと眉と頬を引き攣らせ、テーブルを力強く叩いて「俺は、後10日以上凪に会えないんだよな! 10日も!」と僕達を威圧するように引き攣った笑顔でドスの効いた声を上げる。
「ご、ごめん茂斗、そんなに怒らないで」
「全然怒ってねぇーよ? 全然な!」
虎君に突っかかりそうな勢いの茂斗を止めるために僕は慌てて立ち上がると、二人の間に割って入る。
すると茂斗は虎君から僕に標的を変えて笑顔のまま顔を近づけて威圧してきた。これがマンガだったら絶対青筋が見えるところだろう。
「ごめんってば……」
「茂斗、葵を怖がらせるな」
イライラしてる茂斗にどうしていいか分からなくなる僕。
背後から聞こえる虎君の声からは優しさも戸惑いも無くて、僕のために怒りを滲ませていた。
このままだと凪ちゃんに会えないフラストレーションに爆発寸前の茂斗と僕を守るために怒ってくれる虎君とで喧嘩が勃発しちゃいそうだった。
(ど、どうしよう……)
此処で僕が大丈夫だと虎君を止めるのは簡単。でも、それをすると茂斗の怒りをヒートアップさせるだけだし、本当に困った。
と、そこに聞こえるのは朗らかな高い声。めのうのものだ。
「あー! おにーちゃんだ! おにーちゃん、おはよう!」
開いたドアからお姫様と見紛うめのうが姿を見せると、見つけた茂斗の姿に可愛らしさを褒めて欲しいとばかりに駆け寄ってくる。
「! めのう、おはよう」
「……おにーちゃん、どうしたの?」
「ん。なんでもないぞ」
不機嫌を隠してめのうを振り返る茂斗はお兄ちゃんの顔をしていた。
でも、違和感までは消せなかったのか、めのうは心配そうに眉を下げて「どこかいたいの?」と茂斗のスエットのズボンの裾を引っ張って見せた。
「めのう、おいで。お兄ちゃんは『凪ちゃんに会いたい会いたい』ってなってるだけだからね」
「母さんっ……!」
「なぁに? 違った?」
めのうを呼ぶのは母さんで、明るい声で茂斗の様子がおかしい理由をめのうに説明する。
それを窘める声を上げる茂斗だけど、家族で一番強い母さんには通用しない。母さんは満面の笑顔を見せ、茂斗の不満の声を噤んでしまう。
「そうなの? おにいちゃん、なぎちゃんにあいたいの? さみしいの?」
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