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恋しい人
恋しい人 第70話
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「今の、先輩のこと馬鹿にしたとかそういうわけじゃないからっ! 本当、違うからっ!!」
本当にごめん! 頼むから許して!!
そう大きな声で僕にせっついてくる悠栖。
昼休みで騒がしい教室でもその声はよく響いて、周りにいたクラスメイトは……いや、教室にいたクラスメイトは何事だと僕達に視線を向けてくる。
目立つことが嫌いな僕は悠栖の謝罪よりも周囲の好奇の目に負けて不機嫌なままではいられなくなってしまった。
「も、もういいよ……」
「本当に!? もう怒ってない!?」
「怒ってないから、そんなに大きな声出さないで……」
土下座から勢いよく顔を上げる悠栖にお願いだから静かにしてと僕は人目を気にする。
でも悠栖は全然人目が気にならないのか、僕の機嫌を窺うようになおも声を大きく詰め寄ってきて困ってしまう。
「悠栖、ストップ」
「え? 何が?」
「それ以上葵君を困らせると親衛隊隊長に泣かされちゃうよ?」
「何言って―――! も、もう喋りません!!」
朋喜の言葉の意味が僕も分からない。でも悠栖はすぐに分かったのか、僕から離れて両手を挙げて降参ポーズで口を噤んで……。
本気で怯えている様子の悠栖。
僕は悠栖の視線の方向に顔を向ける。と、大きな目を半分以下にして睨んでいる慶史の姿が目に入った。
「け、慶史、怖いよ……?」
「……だってギャンギャン煩いんだもん。俺は静かに昼ご飯を食べたいのに」
「とりあえず、話の続きはお昼食べながらにしよっか?」
「だな。いい加減腹減った」
バカ騒ぎをしていないで座れと悠栖に命令するのは姫神君。
その有無を言わさぬ口調に悠栖は素直に従って、僕達は無言で机を囲った。
「……三谷、体調は本当に大丈夫なんだよな?」
「! うん。大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
お弁当を広げる僕を気にしてくれる姫神君は口はちょっぴり悪いけど、やっぱり優しい。
頷きを返せば、姫神君は食べきれなかったら無理せず残すようにとなおも心配してくれる。
僕は「そうするね」ともう一度頷いて手を合わせてお昼ご飯を食べ始める。
と、正面から感じる視線。
「……もう怒ってないから、そんな目で見ないでよ」
「! ご、ごめん」
虎君を軽んじた発言をまだ完全に許すことはできないけど、縋るような目で見つめられたら良心が痛むと言うものだ。
僕は小さく息を吐くと、頼りない表情で僕を見つめてくる悠栖に「でも次は許さないからね?」と、だから今回はもういいよと笑った。
「うぅ……、マモ、本当にごめんな……」
「だからもういいってば。……それに、謝るのは僕にじゃなくて虎君に対してだからね?」
「ん……分かった……」
しょんぼりする悠栖の姿に、僕は悪戯して叱られた子犬みたいだと思ってしまう。
(本当、ずるいんだから)
こんな風に可愛く反省されたら、許すしかない。
僕は『やっぱり可愛いって得だな』と思う。だって、僕は凄く怒っていたはずなのに、今は悠栖が愛しくて堪らないんだから。
「悠栖ってズルいよね」
「え……? なんで……?」
僕の言葉の真意が分からず身構える悠栖。その姿も可愛いと思ってしまう僕は、実は性格が悪いのかもしれない。
(好きな子ほど苛めたいって思う人がいるっていうことは知っていたけど、こういう気持ちなのかも?)
まぁ僕は悠栖のことをそういう意味で好きなわけじゃないんだけど。
「僕、慶史の気持ちちょっとわかっちゃった」
「……なにそれ。なんか、凄く勘違いされてる気がするんだけど」
「ふふ、秘密。でも、勘違いじゃないと思うよ?」
「えぇ……こわっ……」
悠栖と慶史はもちろん、朋喜も姫神君も僕が何を言っているのか分からないと顔を見合わせて肩を竦ませたり首を傾げたりしてる。
僕はそんな友人達を余所に、笑顔で待ちに待ったお弁当を頬張った。
本当にごめん! 頼むから許して!!
そう大きな声で僕にせっついてくる悠栖。
昼休みで騒がしい教室でもその声はよく響いて、周りにいたクラスメイトは……いや、教室にいたクラスメイトは何事だと僕達に視線を向けてくる。
目立つことが嫌いな僕は悠栖の謝罪よりも周囲の好奇の目に負けて不機嫌なままではいられなくなってしまった。
「も、もういいよ……」
「本当に!? もう怒ってない!?」
「怒ってないから、そんなに大きな声出さないで……」
土下座から勢いよく顔を上げる悠栖にお願いだから静かにしてと僕は人目を気にする。
でも悠栖は全然人目が気にならないのか、僕の機嫌を窺うようになおも声を大きく詰め寄ってきて困ってしまう。
「悠栖、ストップ」
「え? 何が?」
「それ以上葵君を困らせると親衛隊隊長に泣かされちゃうよ?」
「何言って―――! も、もう喋りません!!」
朋喜の言葉の意味が僕も分からない。でも悠栖はすぐに分かったのか、僕から離れて両手を挙げて降参ポーズで口を噤んで……。
本気で怯えている様子の悠栖。
僕は悠栖の視線の方向に顔を向ける。と、大きな目を半分以下にして睨んでいる慶史の姿が目に入った。
「け、慶史、怖いよ……?」
「……だってギャンギャン煩いんだもん。俺は静かに昼ご飯を食べたいのに」
「とりあえず、話の続きはお昼食べながらにしよっか?」
「だな。いい加減腹減った」
バカ騒ぎをしていないで座れと悠栖に命令するのは姫神君。
その有無を言わさぬ口調に悠栖は素直に従って、僕達は無言で机を囲った。
「……三谷、体調は本当に大丈夫なんだよな?」
「! うん。大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
お弁当を広げる僕を気にしてくれる姫神君は口はちょっぴり悪いけど、やっぱり優しい。
頷きを返せば、姫神君は食べきれなかったら無理せず残すようにとなおも心配してくれる。
僕は「そうするね」ともう一度頷いて手を合わせてお昼ご飯を食べ始める。
と、正面から感じる視線。
「……もう怒ってないから、そんな目で見ないでよ」
「! ご、ごめん」
虎君を軽んじた発言をまだ完全に許すことはできないけど、縋るような目で見つめられたら良心が痛むと言うものだ。
僕は小さく息を吐くと、頼りない表情で僕を見つめてくる悠栖に「でも次は許さないからね?」と、だから今回はもういいよと笑った。
「うぅ……、マモ、本当にごめんな……」
「だからもういいってば。……それに、謝るのは僕にじゃなくて虎君に対してだからね?」
「ん……分かった……」
しょんぼりする悠栖の姿に、僕は悪戯して叱られた子犬みたいだと思ってしまう。
(本当、ずるいんだから)
こんな風に可愛く反省されたら、許すしかない。
僕は『やっぱり可愛いって得だな』と思う。だって、僕は凄く怒っていたはずなのに、今は悠栖が愛しくて堪らないんだから。
「悠栖ってズルいよね」
「え……? なんで……?」
僕の言葉の真意が分からず身構える悠栖。その姿も可愛いと思ってしまう僕は、実は性格が悪いのかもしれない。
(好きな子ほど苛めたいって思う人がいるっていうことは知っていたけど、こういう気持ちなのかも?)
まぁ僕は悠栖のことをそういう意味で好きなわけじゃないんだけど。
「僕、慶史の気持ちちょっとわかっちゃった」
「……なにそれ。なんか、凄く勘違いされてる気がするんだけど」
「ふふ、秘密。でも、勘違いじゃないと思うよ?」
「えぇ……こわっ……」
悠栖と慶史はもちろん、朋喜も姫神君も僕が何を言っているのか分からないと顔を見合わせて肩を竦ませたり首を傾げたりしてる。
僕はそんな友人達を余所に、笑顔で待ちに待ったお弁当を頬張った。
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