運命を知らないアルファ

riiko

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本編

43、俺たちの経緯

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 そこから俺が運命を憎むこと、そして幼少期の経験でオメガを嫌っていることなどを包み隠さず話した。

 正樹をいかに好きで、どれだけの想いをもって付き合ってきたかなど、親が聞くには恥ずかしいとは思うが、俺の知る限りのすべてを話した。初めての発情期は、実は好き同士でもなくて、俺の片思い中だったこと、そして正樹から了承をもらって発情期を過ごしたことを伝えた。

 保健医と担任がついた嘘については、正樹が両親になんでもないアルファと関係を持ったなどと知られたら、正樹もだけど親もやりきれないだろうと話し合って決めたと学校側に言われたことも話した。

 ただでさえ一人息子がクラスメイトに薬を盛られて、抑えられないヒートを迎えたという状況でさえお互いにきついのに、それが付き合ってもいないアルファと性行為をしたなどやりきれないだろうとの配慮だったが、あの時は嘘をそのままにしていて申し訳なかったと言った。

 だけど俺の心は嘘ではなくて、近い未来そうしようと思っていた。そう伝えた。

 櫻井側から警護が聞きだしたことを和樹さんたちは聞いていたみたいで、そこには俺も驚いた。

 俺が正樹以外のオメガとつがう未来はないことを伝えるために言った何気ない言葉……運命を他の相手につがわせる、その言葉から正樹は俺が運命を知った時、今みたいな関係ではいられなくなり、さらには俺に断罪されるととらえて、それなら俺といられる未来は友達になるしかないと思い俺以外のつがいを作ることにした。

 つがいができれば正樹のフェロモンは俺に感知されないという理由だけで、櫻井と正樹はつがい契約をする約束をしたと、櫻井は話したらしい。

 櫻井はそれでもつがいになってくれるなら利用されてもいいと言っていたと。

 櫻井の本気を見た気がした。

 本当にあの瞬間に間に合って良かったとしか言いようがない。櫻井は可愛そうだけど、正樹だって間違っている。一生の問題を俺と友達でいられる為だけに選んだ道って。それについては和樹さんも嘆いていた、正樹がそこまで馬鹿だとは思わなかったって、とにかく櫻井の行為は今回に限りは正樹の不手際だと和樹さんたちも理解して、後日櫻井には謝罪に行くと言っていた。

 よくよく考えると櫻井は、好きな子に今度こそ受け入れてもらえる立場になったのに、また邪魔が入ったんだもんな、それに正樹がまさかの思考回路でつがい契約を考えるなんてな。

 一通り今回のことの説明がお互いに終了した。

「司君、それで君たちはきちんと話し合えたのか? 誤解は解けた?」
「いえ、それがもう正樹がヒートに入ってしまって、話すどころではなかったんです。今は落ち着いて寝ていますが、起きて意識がしっかりしたら話し合います。そして俺の想いを再度伝えて、できればつがいになって欲しいというつもりです。もし、その、正樹がつがいを了承してくれたら、俺たちは、その時はつがいになってもいいでしょうか? もちろん将来は結婚も考えております!!」

 まだ正樹とは誤解も解けてないけど、ご両親にはつがいになるための許可はいただきたい。たとえ今回それがだめでもいつか正樹が了承してくれた時、すんなり契約を行えるように二人には話しておきたかった。

「……けっ、結婚だと!!?(ほらっ、和樹くんっ、頑張れっ!!)こ、こほんっ、その、なんだ、まだそれは流石に早いとは思ったんだけどな、結婚はさておき、正樹はあの通り少し思考が斜め上を行くからな、もう二人は間違いなく想い合っていると確信が持てたのなら、早くにつがいになった方がいいと今回のことで思ってだな、その、正樹もなんだかんだ言って君のことが好きだとは、俺たちもわかっていたし、その、なんだ、」

 まさか、まさか、正樹の父親からそんなことを言ってもらえるとは思わなかった。さすがにつがいはまだ早いからダメだって言われると思っていた。俺は歓喜のあまり泣いてしまった。

「うっ、俺、一生正樹を大事にします。まだ高校生ですけど、俺こんなに人を想ったことは初めてだし、これから先、正樹以上の人に出会える気がしません。俺は、生涯正樹だけですっ、うっ」
「つ……司君。そんなに想ってくれてありがとう、ただし契約は正樹がきちんと了承した場合だけだぞ。そこのところはしっかり守ってくれれば、俺たちは君を認めるよ」
「あ、ありがとうございます!! 必ず正樹の了承はもらえるように頑張ります!」
「あ、ああ、とにかく発情期が済んだら、二人できちんと我が家に戻ってくること、わかったな?(きゃっ、次に正樹に会う時は、つがいのいるオメガね!! 興奮しちゃうわぁ――司君ファイトぉ――)こらっ、百合ちゃん、まだ決まったわけじゃないだろう、はやし立てるな。っというわけだから、一週間よろしく頼むよ」
「はいっ!! 終わったら無事正樹をお届けします。ありがとうございました!!」
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