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本編
42、両親への報告
しおりを挟む落ち着いたところで、正樹のなかに出したモノの後始末をしてから正樹に服を着せて休ませた。そして俺は西条のホテルの発情期対応のスイートを手配して、車を呼び、正樹を抱きかかえて移動した。
正樹はよほど疲れたのか、未だ目が覚めない。念のためオメガの医師をホテルに派遣するように言った。
ホテルにつき、そのまま部屋に通して正樹を診察してもらい、ヒート中なのでただ疲れて寝ているだけと言われて安心した。医師からはヒート中はゴムを付けずアルファの精を直接オメガの中に入れることで、オメガも安心するし、ある程度落ち着くと言われた。
男オメガはヒート以外の妊娠はほぼ無いと言われているが、ヒート中だけは100%に近い着床率になるので、アフターピルを時間が来たら必ず飲ませるように渡された。
正樹との将来は考えているけど、さすがに順序が違い過ぎるし、まだ16歳なのだから正樹を母親にするには早すぎる。そこは必ず忘れないように飲ませようとタイマーをかけた。
正樹を寝かせている間、百合子さんに電話をした。先ほどの救出はうちの警護から伝わってはいるが、その先のことは何も伝えていない。正樹と過ごす発情期の許可を今さらだがもらわなければ、俺は真山家にも顔向けが今後できなくなる。できれば番になりたいけど、さすがにそれはだめだろうなと思って、百合子さんに電話をした。
「もしもし、百合子さん。連絡が遅くなってしまい申し訳ありません」
「いいのよ、警護の方から事情は聞いたから。それより正樹はどうしている?」
「今は寝ています。でも、発情期には入っているので、その、このまま発情期をお預かりしたいと思っているのですが、許可をいただけますか?」
「ええ、もう正樹から連絡が来た時点で、相手は司君だと思って許可はしていたわ、ちょっと主人と話してもらえる? 今隣にいるの」
「もちろんです!!」
緊張する。百合子さんはフレンドリーで何でも協力的だったけど、正樹のお父さんは流石に背筋が伸びる気持ちの方が強い。
「司君? 俺は正樹の父親だ。今回は正樹が迷惑をかけたね」
「お、お義父さん!! いえ、もとはと言えばすれ違ったのも俺の責任でして……」
「お、お義父さんだと!? いや、俺のことは和樹さんとでも呼んでくれ」
「あっ、はい。すいません、では和樹さんと呼ばせていただきます」
「あ、ああ(ふふ、あなたったら)こら、百合ちゃん、真面目な話をするんだから邪魔するんじゃない、いや、すまない。こっちの話だよ」
百合子さんが後ろで笑っているのが聞こえた。お義父さん呼びはまだ許されなかったか……。
「ざっと警護の方から話を聞いたが、正樹は自ら櫻井君と過ごすと決めていたんだって?」
「はい。今回は悔しいですが正樹が了承していたみたいで……、その、まず俺は、俺たちは運命の番でした」
「えっ(運命キタ――――――ッ!!)こ、こら百合ちゃん!! ごほん、司君続けてくれ」
やはりあんなに仲がいい親子関係でもそれは言っていなかったのか。まさか櫻井だけに相談していたなんて。
「はい。俺は普段から強い抑制剤を使用していて大抵のオメガの香りがわからないんです。だから正樹があの運命だとは知らなくて。だけど正樹ははじめから本能が揺さぶられる香りを察知していたみたいで、でも俺は幼いころからのトラウマがあってオメガ嫌いだったんです、俺がオメガ嫌いで有名だったから、だから正樹は俺を運命だって言えなかったみたいです。それでも俺はオメガとか関係なく、正樹に恋をして、俺からアプローチをかけてなんとか付き合ってもらえたのですが、いつも正樹は何かに思いとどまって。今思えば運命を知られたら、ダメだってセーブしてくれていたんだと思います」
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