18 / 71
第二章 男を誘う
18 大人の時間 ※
しおりを挟む
隆二は爽の隣に座り、手を握った。
「なに?」
「会いたかった」
隆二が真面目な顔をして伝えてくるので、爽はどう返していいかわからない。
「……そう」
「そう」
爽は淹れてもらったコーヒーを一口飲む。
「あ、美味しい」
「でしょ?」
「……」
満面の笑みの隆二、この空気感、爽には辛かった。仮に恋人や友達なら、ただくつろいでコーヒーを飲んでいるだけの他愛もない時間。だが、爽は隆二とただ一度の体の関係を結んだだけなので、このまったりした空気が気まずい。
「ねぇ、しないの?」
「したいの?」
したいかしたくないかで言ったら、今はどちらでもない気がする。初めの時みたいに、もう意欲がわかない。このコーヒーはなにかそういうリラックス成分でも入っているのだろうか。しかし隆二の子種は惜しい気がする。
「したい、かな」
「僕もだよ、でも、この関係をしっかりと明確なものにしたい」
「俺、今、難しいこと考えられない。するかしないかだけ教えてよ」
「はは、オメガだからなの? そんな無防備になるなんて、僕を認めてくれているってことだよね」
「なにそれ」
「だって、オメガがそんなにほんわかした雰囲気をだすなんて、好みの相手を見つけたってことでしょう」
「そうなのかな? でも、たしかに隆二は嫌いじゃない」
「まぁ、それでいいかな。一回スッキリしておこうか」
「え、あ、ああ」
隆二はうなじを舐めて、爽の股間をまさぐった。隆二に触られるとたちまち、心の奥がぎゅうっとする。これはいったいなんなのだろうか。
早業でズボンを下ろされ、ソファで下半身丸出しになった。すると、隆二が地面に座り、爽の足の間を陣取る。
「な、なに?」
「いいから、んんん」
「あ、あ、だめっ、汚いからっ、そんなの、んんん」
「綺麗だよ。ひもちい、でしょ?」
いきなり爽のペニスを持ったかと思ったら、口の中に入れてじゅぼじゅぼと隆二の口から水音を鳴らす。入れては出してを繰り返す。口淫されるとは思ってもいなかった爽は焦ったが、すぐに快楽にのまれた。
「あ、ああ、いっちゃう、きもちいっ、りゅうじっ、あ」
部屋は一瞬にして卑猥な空気に変わった。先ほどまでのコーヒーの清らかな香りたちのめる空間には、新たに爽のフェロモンが香り出す。ベータでもフェロモンに酔うことがあると聞いたばかりだ。口淫をしているだけなのに、隆二の股間は膨らんでいた。人のを舐めて感じるベータって、かなりの上級者な気がする。
アルファならオメガのフェロモンに弱いから、それくらいでも勃起できるかもしれない。しかし隆二はベータだ。さすがやり慣れている男だと思った。
「あ、出るっ、離してっぇぇ、あ」
それでも離さずにバキュームは続く。爽はいけないことをしている気がして、顔を横に振るも隆二の拘束は解けない。頑張って抗ったけが、その行動むなしく、ついに果てた。隆二の口に欲望を吐き出した爽は、その瞬間の達成感よりも罪悪感が勝った。
「……っ、ごっくん」
「あ、あ、なに、してんだよぉ」
「爽の可愛いミルクを飲んだだけだよ、ご馳走様」
「ばかぁ」
急に涙が出てきた。すると隆二が下から覗き、膝にタオルをかけてから抱きしめた。
「ごめん、まさか泣くとは思わなかった」
「だって、こんなこと経験ない」
「ごめんね、つい、可愛くて」
「うっ、ばか、ばか、ばかぁ」
「ああ、僕はばかだよ。爽に向き合うとバカになっちゃうみたいだ」
「ううう」
なぜか、隆二に縋りたくなった爽は胸に抱きついて泣いた。なぜだろう。今はただ泣きたいだけの気分だった。隆二がずっと頭を撫で、もう片方の腕は腰をぎゅっとする。
繋がっている時以上に、今が一番近くにいる気がした。
いつの間にか睡魔が襲ってきて、爽の記憶がそこで途絶えた。
「なに?」
「会いたかった」
隆二が真面目な顔をして伝えてくるので、爽はどう返していいかわからない。
「……そう」
「そう」
爽は淹れてもらったコーヒーを一口飲む。
「あ、美味しい」
「でしょ?」
「……」
満面の笑みの隆二、この空気感、爽には辛かった。仮に恋人や友達なら、ただくつろいでコーヒーを飲んでいるだけの他愛もない時間。だが、爽は隆二とただ一度の体の関係を結んだだけなので、このまったりした空気が気まずい。
「ねぇ、しないの?」
「したいの?」
したいかしたくないかで言ったら、今はどちらでもない気がする。初めの時みたいに、もう意欲がわかない。このコーヒーはなにかそういうリラックス成分でも入っているのだろうか。しかし隆二の子種は惜しい気がする。
「したい、かな」
「僕もだよ、でも、この関係をしっかりと明確なものにしたい」
「俺、今、難しいこと考えられない。するかしないかだけ教えてよ」
「はは、オメガだからなの? そんな無防備になるなんて、僕を認めてくれているってことだよね」
「なにそれ」
「だって、オメガがそんなにほんわかした雰囲気をだすなんて、好みの相手を見つけたってことでしょう」
「そうなのかな? でも、たしかに隆二は嫌いじゃない」
「まぁ、それでいいかな。一回スッキリしておこうか」
「え、あ、ああ」
隆二はうなじを舐めて、爽の股間をまさぐった。隆二に触られるとたちまち、心の奥がぎゅうっとする。これはいったいなんなのだろうか。
早業でズボンを下ろされ、ソファで下半身丸出しになった。すると、隆二が地面に座り、爽の足の間を陣取る。
「な、なに?」
「いいから、んんん」
「あ、あ、だめっ、汚いからっ、そんなの、んんん」
「綺麗だよ。ひもちい、でしょ?」
いきなり爽のペニスを持ったかと思ったら、口の中に入れてじゅぼじゅぼと隆二の口から水音を鳴らす。入れては出してを繰り返す。口淫されるとは思ってもいなかった爽は焦ったが、すぐに快楽にのまれた。
「あ、ああ、いっちゃう、きもちいっ、りゅうじっ、あ」
部屋は一瞬にして卑猥な空気に変わった。先ほどまでのコーヒーの清らかな香りたちのめる空間には、新たに爽のフェロモンが香り出す。ベータでもフェロモンに酔うことがあると聞いたばかりだ。口淫をしているだけなのに、隆二の股間は膨らんでいた。人のを舐めて感じるベータって、かなりの上級者な気がする。
アルファならオメガのフェロモンに弱いから、それくらいでも勃起できるかもしれない。しかし隆二はベータだ。さすがやり慣れている男だと思った。
「あ、出るっ、離してっぇぇ、あ」
それでも離さずにバキュームは続く。爽はいけないことをしている気がして、顔を横に振るも隆二の拘束は解けない。頑張って抗ったけが、その行動むなしく、ついに果てた。隆二の口に欲望を吐き出した爽は、その瞬間の達成感よりも罪悪感が勝った。
「……っ、ごっくん」
「あ、あ、なに、してんだよぉ」
「爽の可愛いミルクを飲んだだけだよ、ご馳走様」
「ばかぁ」
急に涙が出てきた。すると隆二が下から覗き、膝にタオルをかけてから抱きしめた。
「ごめん、まさか泣くとは思わなかった」
「だって、こんなこと経験ない」
「ごめんね、つい、可愛くて」
「うっ、ばか、ばか、ばかぁ」
「ああ、僕はばかだよ。爽に向き合うとバカになっちゃうみたいだ」
「ううう」
なぜか、隆二に縋りたくなった爽は胸に抱きついて泣いた。なぜだろう。今はただ泣きたいだけの気分だった。隆二がずっと頭を撫で、もう片方の腕は腰をぎゅっとする。
繋がっている時以上に、今が一番近くにいる気がした。
いつの間にか睡魔が襲ってきて、爽の記憶がそこで途絶えた。
114
あなたにおすすめの小説
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた
いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲
捨てられたΩの末路は悲惨だ。
Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。
僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。
いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
人生2度目に愛した人は奪われた番の息子でした
Q矢(Q.➽)
BL
幼馴染みだったαの村上 陽司と早くに番になっていた南井 義希は、村上に運命の番が現れた事から、自然解除となり呆気なく捨てられた。
そして時が経ち、アラフォー会社員になった南井の前に現れたのは、南井の"運命"の相手・大学生の村上 和志だった。同じビルの別会社のインターン生である彼は、フェロモンの残り香から南井の存在に気づき、探していたのだという。
「僕の全ては運命の人に捧げると決めていた」
と嬉しそうに語る和志。
だが年齢差や、過去の苦い経験の事もあり、"運命"を受け入れられない南井はやんわりと和志を拒否しようと考える。
ところが、意外にも甘え上手な和志の一途さに絆され、つき合う事に。
だが実は、村上は南井にとって、あまりにも因縁のありすぎる相手だった――。
自身のトラウマから"運命"という言葉を憎むアラフォー男性オメガと、まっすぐに"運命"を求め焦がれる20歳の男性アルファが、2人の間にある因縁を越えて結ばれるまで。
◆主人公
南井 義希 (みない よしき) 38 Ω (受)
スーツの似合う細身の美形。 仕事が出来て職場での人望厚し。
番を自然解除になった過去があり、恋愛感情は枯れている。
◆主人公に惹かれ口説き落とす歳下君
村上 和志 (むらかみ かずし)20 α (攻)
高身長 黒髪黒目の清潔感溢れる、素直で一途なイケメン大学生。 " 運命の番"に憧れを抱いている。複雑な事情を抱えており、祖父母を親代わりとして育つ。
◆主人公の元番
村上 陽司 (むらかみ ようじ) 38 α
半端ないほどやらかしている…。
うそつきΩのとりかえ話譚
沖弉 えぬ
BL
療養を終えた王子が都に帰還するのに合わせて開催される「番候補戦」。王子は国の将来を担うのに相応しいアルファであり番といえば当然オメガであるが、貧乏一家の財政難を救うべく、18歳のトキはアルファでありながらオメガのフリをして王子の「番候補戦」に参加する事を決める。一方王子にはとある秘密があって……。雪の積もった日に出会った紅梅色の髪の青年と都で再会を果たしたトキは、彼の助けもあってオメガたちによる候補戦に身を投じる。
舞台は和風×中華風の国セイシンで織りなす、同い年の青年たちによる旅と恋の話です。
「君と番になるつもりはない」と言われたのに記憶喪失の夫から愛情フェロモンが溢れてきます
grotta
BL
【フェロモン過多の記憶喪失アルファ×自己肯定感低め深窓の令息オメガ】
オスカー・ブラントは皇太子との縁談が立ち消えになり別の相手――帝国陸軍近衛騎兵隊長ヘルムート・クラッセン侯爵へ嫁ぐことになる。
以前一度助けてもらった彼にオスカーは好感を持っており、新婚生活に期待を抱く。
しかし結婚早々夫から「つがいにはならない」と宣言されてしまった。
予想外の冷遇に落ち込むオスカーだったが、ある日夫が頭に怪我をして記憶喪失に。
すると今まで抑えられていたαのフェロモンが溢れ、夫に触れると「愛しい」という感情まで漏れ聞こえるように…。
彼の突然の変化に戸惑うが、徐々にヘルムートに惹かれて心を開いていくオスカー。しかし彼の記憶が戻ってまた冷たくされるのが怖くなる。
ある日寝ぼけた夫の口から知らぬ女性の名前が出る。彼には心に秘めた相手がいるのだと悟り、記憶喪失の彼から与えられていたのが偽りの愛だと悟る。
夫とすれ違う中、皇太子がオスカーに強引に復縁を迫ってきて…?
夫ヘルムートが隠している秘密とはなんなのか。傷ついたオスカーは皇太子と夫どちらを選ぶのか?
※以前ショートで書いた話を改変しオメガバースにして公募に出したものになります。(結末や設定は全然違います)
※3万8千字程度の短編です
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる