70 / 71
番外編【隆二視点】
本当の出会い 2
しおりを挟む
爽が僕の家の会社に入社して二か月が経った頃。
元部下の丈君と行きつけのバー御影で会った時、ちょうどくたびれたスーツを着ていたので、それを譲り受けた。ベータの働く社員っぽいから頂戴と言ったら、笑って脱いでくれた。毎日会社に寝泊まりをし、大きな山場を越えたばかりでハイテンションになっていた丈君には、僕の着ていたスーツを渡した。それを見ていたみかげ君が笑っていた。相原は何かに気づいたようで聞いてきたから、僕は行動に移ることにしたとだけ言った。
――そう、僕は精一杯の変装をして爽の働く工場に出向いた。
もちろん副社長だとは言わず、本社の社員として工場視察に行った。
新人がどれだけ知識をつけているのかの査定と、部署移動したばかりなのでどういう製品を扱っているのかを見てみたいと、工場長に言うと快く応じてくれた。僕は適当に見ているふりをして爽を指さし、あの彼に案内をさせてくれと頼む。
すると工場長はなぜかホッとした顔をする。
「彼について、なにか?」
「いえ、彼、三上君なら仕事ぶりを披露するのにちょうどいい子だと思ったんです。高校卒業と共に就職したので不安だったのですが、とても真面目でやる気のある子ですよ。本社の人を会わせるのも、彼にとってはいい刺激になるでしょう」
「そうですか」
資料の通りだ。三上爽は真面目でやる気に満ちている。これなら運命の番なんかに一生をとらわれずに、むしろ働く男として生きる方が幸せかもしれない。
そう思いつつ工場長に導かれ、例のオメガに初めて対面した。
「三上君、ちょっといい?」
「は、はい」
彼がこちらを向いた。
一瞬、心臓がどきっとする。なんていい目をしているんだ……。まだ運命を知らず、ただ目の前のことに一生懸命になっている若者そのものだった。
そして資料で見る通り、自分のタイプだと思った。実物を見て、なお好みど真ん中だった。それもあり一瞬高揚してしまい、そんな自分に焦る。抑制剤を飲んでいなければ、きっとアルファのフェロモンが全開になっていたに違いない。
「こちらの坂本さんは、本社の方で今度工場関連の仕事に就くことになったんだ。三上君も覚えたてのコトを人に話すいい機会だし、ちょっと案内して差し上げてくれないかな?」
「わかりました」
僕は坂本という偽名を使い、この工場に来た。
「三上君、よろしくお願いします」
「俺でよければ。でも、俺もここに入社して間もないので、もし不快に思うようならすぐに先輩社員の方にお願いするので、遠慮なく言ってください」
「ありがとう」
やはり好感が持てる青年だと思った。
その後も、この子はよく勉強しているようで、聞いていて気持ちが良い。こういう優秀なオメガの子が、これからも沢山働いてくれると嬉しいとさえ思ってしまった。
「三上君、丁寧な案内ありがとう」
「いえ、俺なんかの説明でわかりました?」
「ああ、十分だよ。君は今後どうしていきたいの? まずはこういった現場からスタートするのがオメガの高卒の子の働き始めになるけど、この先本社勤務してみたいと思わない?」
「え? ああ、思いません。俺、オメガだけの職場を探していたので、ここが心地いいんです」
「そうなんだ」
調査はしていた。
高校生の頃アルファに襲われた過去があり、アルファを苦手としている。彼は、それを包み隠さずに面接の時に話していた。アルファと接点を持つような仕事はできないけれど、雇ってもらっていいのかと……。素直な子だと思った。
そういうオメガの子も世の中には少なからずいる。だからこそ、こういった環境を好むオメガにとって、いい職場なのかもしれない。
「それに、ここの寮すごいんです! 好待遇で、ごはんもおいしいし、ここに住んだらもう他には行けません!」
生き生きした目で話す内容は、とても可愛らしくて笑ってしまった。
「はは、そんなにここ気に入ってくれているんだ。オメガ改革をした本社の人間がそれを聞いたら、喜ぶよ。ありがとう」
「え、あ、いえ。なので、俺、今のこの環境に凄く満足しています。高卒で雇ってくれたこの会社には、貢献して一生懸命働いていきたいと思っています!」
「ふふ、君は元気がよくていいね。会社を好きになってくれてありがとう」
そんな会話をして、工場を去った。
帰りの車では、秘書が不思議そうに僕の顔を見てくる。僕は爽のことを思い出して、少しにやけていたらしい。とても気持ちのいい子だ。久しぶりに僕の何かが刺激される。
「副社長、その緩んだ顔も不快ですが、もういい加減、そのきったないスーツ脱いでくれません? なんか若干くさいし」
「はは、手厳しいなぁ。丈君の頑張った戦闘服なのに」
アルファ女性の美人秘書には、丈君の香りは不服だったらしい。ハキハキしてとてもできる女性で、安心してこの会社で仕事をしてこられたのも、彼女のお陰だ。
「それにしても三上爽のこと随分念入りに調べていますけれど、そういった意味での職権乱用は困りますよ? 社内でオメガを探さなくても、副社長なら困っていないんじゃないですか?」
「え、ああ、三上君は親友の婚約者の弟くんなんだ。だから、安全な我が社で保護してくれって親友からこっそりと頼まれていてね」
秘書は納得したような顔をする。
たしかに理由も言わずにずっと三上爽を調べろと言っていたから、やっと謎が解けたのだろう。
僕は親の経営する会社に、立て直しの意味も込めて転職してきた。以前の証券会社では毎日精力的に仕事をし、合っているとは思ったが、父と兄から頼られたのでは戻らないわけにはいかない。それに兄はベータ男性と結婚したばかりで、弟の僕に後継者問題をどうにかして欲しいようだ。僕もあの運命以来オメガはごめんだし、女性よりも男性が好きだから子供は難しい気がする。まぁ跡取りがいなかったらその時はその時だって、両親も気楽に言って兄の嫁を受け入れていたから、そこは大した問題ではなさそうだ。
運命に対峙した過去については、家族には言っていない。
これは親友である加賀美と相原にしか話していないこと。もちろんその当時の担当医にも口止めをした。自分でもなんとなく、オメガに捨てられたということを誰にも知られたくなかった。アルファのそんな意地が少しは僕にもあったらしい。
「それで、そんな見え透いた変装までして? ご立派な友情ですこと。というか副社長、あなた暇じゃないんですからね、もうここに来るのはおしまいですからネ!」
「はいはい、でも僕の作ったオメガ政策がとてもうまくいっているのをこの目で見られて嬉しかったなぁ。とくにオメガ寮での食事には有名シェフに監修を頼んでよかった。三上君とっても喜んでくれていたよ」
自分もまだこの会社に入社して間もない。加賀美に話を聞いたばかりの頃は爽のことまで正直手が回らなかったけれど、アルファということもあり、割といろんなことを同時に進行させるのは、嫌いじゃなかった。
そして今、会社の見直しも終わり爽に集中できる時がやっときたわけだ。その成果も少し見えて嬉しくなった。
「たしかに政府への心証もいいし、素晴らしい改革でしたね。私ももっとオメガの子が社会で活躍できる社会になることを望んでいます。副社長、ありがとうございました」
彼女が真摯な瞳で、お礼を言う。
「え? ああ、君の弟くんも、オメガだったか。うちコネ入社枠用意できるから、その時は遠慮なく言ってね」
「まぁ、呆れた! うちの弟は優秀なので、そんなものなくても姉の私のいるここに入社できますから!」
「ははは、ごめんごめん。でも、これからはオメガの子の役職者が増える会社にしていくからね、優秀な子はぜひうちに来てほしいな」
それが、僕と爽の初めての出会いのエピソードだった。
その頃は、単に優秀なオメガに将来どんな仕事を任せよう、としか考えていなかった。いや、もしかしたらあの時から、すでに爽への執着は始まっていたかもしれない。
自分の中に眠っていたアルファの本能が目覚めはじめる、そんな日だった。
元部下の丈君と行きつけのバー御影で会った時、ちょうどくたびれたスーツを着ていたので、それを譲り受けた。ベータの働く社員っぽいから頂戴と言ったら、笑って脱いでくれた。毎日会社に寝泊まりをし、大きな山場を越えたばかりでハイテンションになっていた丈君には、僕の着ていたスーツを渡した。それを見ていたみかげ君が笑っていた。相原は何かに気づいたようで聞いてきたから、僕は行動に移ることにしたとだけ言った。
――そう、僕は精一杯の変装をして爽の働く工場に出向いた。
もちろん副社長だとは言わず、本社の社員として工場視察に行った。
新人がどれだけ知識をつけているのかの査定と、部署移動したばかりなのでどういう製品を扱っているのかを見てみたいと、工場長に言うと快く応じてくれた。僕は適当に見ているふりをして爽を指さし、あの彼に案内をさせてくれと頼む。
すると工場長はなぜかホッとした顔をする。
「彼について、なにか?」
「いえ、彼、三上君なら仕事ぶりを披露するのにちょうどいい子だと思ったんです。高校卒業と共に就職したので不安だったのですが、とても真面目でやる気のある子ですよ。本社の人を会わせるのも、彼にとってはいい刺激になるでしょう」
「そうですか」
資料の通りだ。三上爽は真面目でやる気に満ちている。これなら運命の番なんかに一生をとらわれずに、むしろ働く男として生きる方が幸せかもしれない。
そう思いつつ工場長に導かれ、例のオメガに初めて対面した。
「三上君、ちょっといい?」
「は、はい」
彼がこちらを向いた。
一瞬、心臓がどきっとする。なんていい目をしているんだ……。まだ運命を知らず、ただ目の前のことに一生懸命になっている若者そのものだった。
そして資料で見る通り、自分のタイプだと思った。実物を見て、なお好みど真ん中だった。それもあり一瞬高揚してしまい、そんな自分に焦る。抑制剤を飲んでいなければ、きっとアルファのフェロモンが全開になっていたに違いない。
「こちらの坂本さんは、本社の方で今度工場関連の仕事に就くことになったんだ。三上君も覚えたてのコトを人に話すいい機会だし、ちょっと案内して差し上げてくれないかな?」
「わかりました」
僕は坂本という偽名を使い、この工場に来た。
「三上君、よろしくお願いします」
「俺でよければ。でも、俺もここに入社して間もないので、もし不快に思うようならすぐに先輩社員の方にお願いするので、遠慮なく言ってください」
「ありがとう」
やはり好感が持てる青年だと思った。
その後も、この子はよく勉強しているようで、聞いていて気持ちが良い。こういう優秀なオメガの子が、これからも沢山働いてくれると嬉しいとさえ思ってしまった。
「三上君、丁寧な案内ありがとう」
「いえ、俺なんかの説明でわかりました?」
「ああ、十分だよ。君は今後どうしていきたいの? まずはこういった現場からスタートするのがオメガの高卒の子の働き始めになるけど、この先本社勤務してみたいと思わない?」
「え? ああ、思いません。俺、オメガだけの職場を探していたので、ここが心地いいんです」
「そうなんだ」
調査はしていた。
高校生の頃アルファに襲われた過去があり、アルファを苦手としている。彼は、それを包み隠さずに面接の時に話していた。アルファと接点を持つような仕事はできないけれど、雇ってもらっていいのかと……。素直な子だと思った。
そういうオメガの子も世の中には少なからずいる。だからこそ、こういった環境を好むオメガにとって、いい職場なのかもしれない。
「それに、ここの寮すごいんです! 好待遇で、ごはんもおいしいし、ここに住んだらもう他には行けません!」
生き生きした目で話す内容は、とても可愛らしくて笑ってしまった。
「はは、そんなにここ気に入ってくれているんだ。オメガ改革をした本社の人間がそれを聞いたら、喜ぶよ。ありがとう」
「え、あ、いえ。なので、俺、今のこの環境に凄く満足しています。高卒で雇ってくれたこの会社には、貢献して一生懸命働いていきたいと思っています!」
「ふふ、君は元気がよくていいね。会社を好きになってくれてありがとう」
そんな会話をして、工場を去った。
帰りの車では、秘書が不思議そうに僕の顔を見てくる。僕は爽のことを思い出して、少しにやけていたらしい。とても気持ちのいい子だ。久しぶりに僕の何かが刺激される。
「副社長、その緩んだ顔も不快ですが、もういい加減、そのきったないスーツ脱いでくれません? なんか若干くさいし」
「はは、手厳しいなぁ。丈君の頑張った戦闘服なのに」
アルファ女性の美人秘書には、丈君の香りは不服だったらしい。ハキハキしてとてもできる女性で、安心してこの会社で仕事をしてこられたのも、彼女のお陰だ。
「それにしても三上爽のこと随分念入りに調べていますけれど、そういった意味での職権乱用は困りますよ? 社内でオメガを探さなくても、副社長なら困っていないんじゃないですか?」
「え、ああ、三上君は親友の婚約者の弟くんなんだ。だから、安全な我が社で保護してくれって親友からこっそりと頼まれていてね」
秘書は納得したような顔をする。
たしかに理由も言わずにずっと三上爽を調べろと言っていたから、やっと謎が解けたのだろう。
僕は親の経営する会社に、立て直しの意味も込めて転職してきた。以前の証券会社では毎日精力的に仕事をし、合っているとは思ったが、父と兄から頼られたのでは戻らないわけにはいかない。それに兄はベータ男性と結婚したばかりで、弟の僕に後継者問題をどうにかして欲しいようだ。僕もあの運命以来オメガはごめんだし、女性よりも男性が好きだから子供は難しい気がする。まぁ跡取りがいなかったらその時はその時だって、両親も気楽に言って兄の嫁を受け入れていたから、そこは大した問題ではなさそうだ。
運命に対峙した過去については、家族には言っていない。
これは親友である加賀美と相原にしか話していないこと。もちろんその当時の担当医にも口止めをした。自分でもなんとなく、オメガに捨てられたということを誰にも知られたくなかった。アルファのそんな意地が少しは僕にもあったらしい。
「それで、そんな見え透いた変装までして? ご立派な友情ですこと。というか副社長、あなた暇じゃないんですからね、もうここに来るのはおしまいですからネ!」
「はいはい、でも僕の作ったオメガ政策がとてもうまくいっているのをこの目で見られて嬉しかったなぁ。とくにオメガ寮での食事には有名シェフに監修を頼んでよかった。三上君とっても喜んでくれていたよ」
自分もまだこの会社に入社して間もない。加賀美に話を聞いたばかりの頃は爽のことまで正直手が回らなかったけれど、アルファということもあり、割といろんなことを同時に進行させるのは、嫌いじゃなかった。
そして今、会社の見直しも終わり爽に集中できる時がやっときたわけだ。その成果も少し見えて嬉しくなった。
「たしかに政府への心証もいいし、素晴らしい改革でしたね。私ももっとオメガの子が社会で活躍できる社会になることを望んでいます。副社長、ありがとうございました」
彼女が真摯な瞳で、お礼を言う。
「え? ああ、君の弟くんも、オメガだったか。うちコネ入社枠用意できるから、その時は遠慮なく言ってね」
「まぁ、呆れた! うちの弟は優秀なので、そんなものなくても姉の私のいるここに入社できますから!」
「ははは、ごめんごめん。でも、これからはオメガの子の役職者が増える会社にしていくからね、優秀な子はぜひうちに来てほしいな」
それが、僕と爽の初めての出会いのエピソードだった。
その頃は、単に優秀なオメガに将来どんな仕事を任せよう、としか考えていなかった。いや、もしかしたらあの時から、すでに爽への執着は始まっていたかもしれない。
自分の中に眠っていたアルファの本能が目覚めはじめる、そんな日だった。
125
あなたにおすすめの小説
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた
いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲
捨てられたΩの末路は悲惨だ。
Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。
僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。
いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。
人生2度目に愛した人は奪われた番の息子でした
Q矢(Q.➽)
BL
幼馴染みだったαの村上 陽司と早くに番になっていた南井 義希は、村上に運命の番が現れた事から、自然解除となり呆気なく捨てられた。
そして時が経ち、アラフォー会社員になった南井の前に現れたのは、南井の"運命"の相手・大学生の村上 和志だった。同じビルの別会社のインターン生である彼は、フェロモンの残り香から南井の存在に気づき、探していたのだという。
「僕の全ては運命の人に捧げると決めていた」
と嬉しそうに語る和志。
だが年齢差や、過去の苦い経験の事もあり、"運命"を受け入れられない南井はやんわりと和志を拒否しようと考える。
ところが、意外にも甘え上手な和志の一途さに絆され、つき合う事に。
だが実は、村上は南井にとって、あまりにも因縁のありすぎる相手だった――。
自身のトラウマから"運命"という言葉を憎むアラフォー男性オメガと、まっすぐに"運命"を求め焦がれる20歳の男性アルファが、2人の間にある因縁を越えて結ばれるまで。
◆主人公
南井 義希 (みない よしき) 38 Ω (受)
スーツの似合う細身の美形。 仕事が出来て職場での人望厚し。
番を自然解除になった過去があり、恋愛感情は枯れている。
◆主人公に惹かれ口説き落とす歳下君
村上 和志 (むらかみ かずし)20 α (攻)
高身長 黒髪黒目の清潔感溢れる、素直で一途なイケメン大学生。 " 運命の番"に憧れを抱いている。複雑な事情を抱えており、祖父母を親代わりとして育つ。
◆主人公の元番
村上 陽司 (むらかみ ようじ) 38 α
半端ないほどやらかしている…。
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
すべてはてのひらで踊る、きみと
おしゃべりマドレーヌ
BL
この国一番の美人の母のもとに産まれたリネーは、父親に言われた通り、婚約者アルベルトを誘惑して自分の思い通りに動かそうと画策する。すべては父の命令で、従わなければ生きていけないと思っていたのに、アルベルトと過ごすうちにリネーは自分の本当に望むことに気が付いてしまう。
「……実は、恥ずかしながら、一目惚れで。リネー……は覚えてないと思いますが、一度俺に声を掛けてくれたことがあるんです」
「え」
「随分と昔の事なので……王家の主催ダンスパーティーで一緒に踊らないかと声を掛けてくれて、それですっかり」
純朴で気高く、清々しい青年を前にして、リネーは自身の策略にアルベルトを巻き込んでしまうことに日に日に罪悪感を覚えるようになる。
けれど実はアルベルトにはある思惑がありーーーーー。
「君と番になるつもりはない」と言われたのに記憶喪失の夫から愛情フェロモンが溢れてきます
grotta
BL
【フェロモン過多の記憶喪失アルファ×自己肯定感低め深窓の令息オメガ】
オスカー・ブラントは皇太子との縁談が立ち消えになり別の相手――帝国陸軍近衛騎兵隊長ヘルムート・クラッセン侯爵へ嫁ぐことになる。
以前一度助けてもらった彼にオスカーは好感を持っており、新婚生活に期待を抱く。
しかし結婚早々夫から「つがいにはならない」と宣言されてしまった。
予想外の冷遇に落ち込むオスカーだったが、ある日夫が頭に怪我をして記憶喪失に。
すると今まで抑えられていたαのフェロモンが溢れ、夫に触れると「愛しい」という感情まで漏れ聞こえるように…。
彼の突然の変化に戸惑うが、徐々にヘルムートに惹かれて心を開いていくオスカー。しかし彼の記憶が戻ってまた冷たくされるのが怖くなる。
ある日寝ぼけた夫の口から知らぬ女性の名前が出る。彼には心に秘めた相手がいるのだと悟り、記憶喪失の彼から与えられていたのが偽りの愛だと悟る。
夫とすれ違う中、皇太子がオスカーに強引に復縁を迫ってきて…?
夫ヘルムートが隠している秘密とはなんなのか。傷ついたオスカーは皇太子と夫どちらを選ぶのか?
※以前ショートで書いた話を改変しオメガバースにして公募に出したものになります。(結末や設定は全然違います)
※3万8千字程度の短編です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる