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1章 囚われた生活
1.1 プロローグ
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白い世界の中でフワフワと浮いていた。突然光が強くなりそちらに引っ張られる。そして呼吸が苦しい。
「オギャー」
なんだ。なにが起きた。暖かなで静かな世界から急に冷たい空気が肌に触る。そしてうるさい。なんだうるさい理由は自分の鳴き声か。
口に何かが当たる。お、なんかおいしいぞ。暖かくて幸せだ。
エルと呼びかけてくる綺麗な女性が僕を抱いている。
とても綺麗な部屋にいる。
僕が着ている服は高級な肌触り、とても心地よい服だ。
女性の着ている服は色合いが沢山入り、細やかな刺繍がされた見るからに高い着物だ。
最近、母乳の時期は終り離乳食を食べてはじめた。今は夏。暑い日が続いているがこの辺りはからりとした気候なのかそれほど不快ではない。けっこう快適な生活だった。
この女性がいつも僕に話しかけてくる。声は覚えたが何を言っているのかはさっぱり解らない。だが女性が僕を愛おしく抱いて世話をしてくれる。この世界のなかなかに心地よい世界だ。満足満足。
ただしそれは昨日までだ。
なぜか昨日と違い、今日、世界は一変してしまった。
まず、夜中に僕が寝ていた僕の寝床にキラキラした宝石が放り込まれた。急にどすどす投げ込まれびっくりした。そして声を上げて泣こうとしたが、その前にいきなり違う場所に移動した。空が見えるのだ。満天の星空。そして赤い月。
その後に馬車に乗せられたのだろうか、揺られる。かごの中で泣いたが誰も助けてくれなかった。
2時間ほど馬車に揺られた。その頃には泣きつかれ声を出すことも出来なかった。
「おい、この子供の面倒をみろ」
そう言って男は明らかに僕の母親では無い若い女性に僕を渡した。
女は僕を受け取り部屋へと向かった。
とりあえず殺されるわけでは無いようだ。僕は疲れて寝てしまった。
次の日、女が柔らかくした食事を僕に与えてくれた。そしてまた眠る。すると何か冷たいものが僕のほほに当てられた。そのとたんに体から何かが吸われる。びっくりして目をさますと、昨日の男が僕に大きな石を当てていた。
何をしているのか気になりステータスウインドウを出して確認すると魔力の数値が減っていた。どうやら勝手に僕の魔力を吸い取っているようだ。よくわからないがそのうち終わるかと思ったが半分を過ぎてもまだ吸い取る。嫌な予感がして動きにくい小さな手を使って石をどける努力をする。それでもなかなか手をどけてくれない。僕は赤ちゃんが唯一できる攻撃、泣くを試す。
バタバタを音がして若い女性が走ってきた。
「ダーヴィッド様おやめ下さい。そんな小さな子供から魔力を吸い上げたら死んでしまいます。残りは私がやりますのでお放し下さい」
その声を聞いたからか、ダーヴィッドと声をかけられた男性が石を放した。
魔力の残りは1割程度。体が妙にだるい。熱が出てきた気がする。
「ああ、熱が出てきているわ。クリスト大丈夫?」
そう声をかけ、僕の頬を触る。どうやら僕の名前はクリストになったらしい。
頬にある手を握って、大丈夫だとアピールするが急速に眠くなってきた。僕は女性の手をとった。
「ウル、今日の分の魔力は集まった。さすが上級貴族の子供だ。お前とこいつがいれば屋敷の維持だけじゃなくて、転移の魔石も手に入る。こいつが死ねば前のようにお前の魔力を限界まで吸い取ることになるんだ。せいぜいかいがいしく世話をしろ。死なない程度に飯は融通してやる」
”ははは”と笑い声が小さくなる。そこで僕の意識も保てなくなり眠ってしまった。
どうやら、誘拐されてすぐに死ぬことはないようだ。僕の体の中にある魔力を必要とするらしく僕はすぐに殺されることはないらしい。
「オギャー」
なんだ。なにが起きた。暖かなで静かな世界から急に冷たい空気が肌に触る。そしてうるさい。なんだうるさい理由は自分の鳴き声か。
口に何かが当たる。お、なんかおいしいぞ。暖かくて幸せだ。
エルと呼びかけてくる綺麗な女性が僕を抱いている。
とても綺麗な部屋にいる。
僕が着ている服は高級な肌触り、とても心地よい服だ。
女性の着ている服は色合いが沢山入り、細やかな刺繍がされた見るからに高い着物だ。
最近、母乳の時期は終り離乳食を食べてはじめた。今は夏。暑い日が続いているがこの辺りはからりとした気候なのかそれほど不快ではない。けっこう快適な生活だった。
この女性がいつも僕に話しかけてくる。声は覚えたが何を言っているのかはさっぱり解らない。だが女性が僕を愛おしく抱いて世話をしてくれる。この世界のなかなかに心地よい世界だ。満足満足。
ただしそれは昨日までだ。
なぜか昨日と違い、今日、世界は一変してしまった。
まず、夜中に僕が寝ていた僕の寝床にキラキラした宝石が放り込まれた。急にどすどす投げ込まれびっくりした。そして声を上げて泣こうとしたが、その前にいきなり違う場所に移動した。空が見えるのだ。満天の星空。そして赤い月。
その後に馬車に乗せられたのだろうか、揺られる。かごの中で泣いたが誰も助けてくれなかった。
2時間ほど馬車に揺られた。その頃には泣きつかれ声を出すことも出来なかった。
「おい、この子供の面倒をみろ」
そう言って男は明らかに僕の母親では無い若い女性に僕を渡した。
女は僕を受け取り部屋へと向かった。
とりあえず殺されるわけでは無いようだ。僕は疲れて寝てしまった。
次の日、女が柔らかくした食事を僕に与えてくれた。そしてまた眠る。すると何か冷たいものが僕のほほに当てられた。そのとたんに体から何かが吸われる。びっくりして目をさますと、昨日の男が僕に大きな石を当てていた。
何をしているのか気になりステータスウインドウを出して確認すると魔力の数値が減っていた。どうやら勝手に僕の魔力を吸い取っているようだ。よくわからないがそのうち終わるかと思ったが半分を過ぎてもまだ吸い取る。嫌な予感がして動きにくい小さな手を使って石をどける努力をする。それでもなかなか手をどけてくれない。僕は赤ちゃんが唯一できる攻撃、泣くを試す。
バタバタを音がして若い女性が走ってきた。
「ダーヴィッド様おやめ下さい。そんな小さな子供から魔力を吸い上げたら死んでしまいます。残りは私がやりますのでお放し下さい」
その声を聞いたからか、ダーヴィッドと声をかけられた男性が石を放した。
魔力の残りは1割程度。体が妙にだるい。熱が出てきた気がする。
「ああ、熱が出てきているわ。クリスト大丈夫?」
そう声をかけ、僕の頬を触る。どうやら僕の名前はクリストになったらしい。
頬にある手を握って、大丈夫だとアピールするが急速に眠くなってきた。僕は女性の手をとった。
「ウル、今日の分の魔力は集まった。さすが上級貴族の子供だ。お前とこいつがいれば屋敷の維持だけじゃなくて、転移の魔石も手に入る。こいつが死ねば前のようにお前の魔力を限界まで吸い取ることになるんだ。せいぜいかいがいしく世話をしろ。死なない程度に飯は融通してやる」
”ははは”と笑い声が小さくなる。そこで僕の意識も保てなくなり眠ってしまった。
どうやら、誘拐されてすぐに死ぬことはないようだ。僕の体の中にある魔力を必要とするらしく僕はすぐに殺されることはないらしい。
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