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人生ゲーム
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「――あっ、真織!」
「もう、ずっと待ってたんだから!」
「こんにちは、みんな。……そっか、ありがとう。みんな元気にしてた?」
「うん!」
それから、一週間ほど経た昼下がり。
広いリビングへ足を踏み入れると、眩いほどの笑顔で駆け寄ってくる子ども達。そのあまりの眩しさに、サングラスなしでは直視できないくらいで。
さて、今いるのは文寺家――事故や病気などで早くに親御さんを失い身寄りのなくなってしまった子ども達を無償で引き取り、さながら愛する我が子のように大切に育てていらっしゃるのがこのお宅のご主人たる温厚篤実な男性、文寺さんで。そして、僕は時折こちらでお手伝いをさせてもらっていて……いや、お手伝いでもないのかな。ただ、僕がみんなと一緒にいたいだけだし。
「――ねえ、真織。今日はこれで遊ぼ?」
「……人生ゲーム、か。うん、いいね」
それから、数十分後。
そう、僕の方へと大きなボードを見せつつ尋ねるのは結菜ちゃん。つぶらな瞳の明るく可愛い、小学五年生の女の子で。すると、間もなく僕も私もとみんな笑顔で集まって……うん、久しぶりだなぁ、人生ゲーム。ほんとに、もうかれこれ20年も――
「……どうかした? 真織」
「……あ、ううん。何でもないよ、結菜ちゃん」
すると、少し首を傾げ尋ねる結菜ちゃん。何とも可愛らしい仕草だけど、その表情には些か心配の色が……うん、ごめんね。でも、僕なら大丈夫だよ。
「――よしっ、学校の校庭でサヘラントロプスの頭蓋骨を発見! 売って一気に億万長者に!」
「それどこの学校!?」
それから、数十分後。
そう、ガッツポーズと共に叫ぶ男の子。いやそれどこの学校!? そもそも日本じゃなかったの!? このゲームの舞台。
ともあれ、そんなびっくり展開もありいっそう盛り上がる僕ら一同。……うん、久しぶりにしたけどほんと楽しい。でも、こんなに楽しいのは、間違いなくここにいるみんなとだからで。
「……あっ、結婚マスだ。それじゃあ、みんなからご祝儀をもらっちゃおっかな」
「うわぁ、大人気ねえよ真織~」
「あはは、世の中お金だからね」
「……うわぁ、嫌なこと聞いちゃった」
その後、ややあってそう言うと楽しそうに苦情を述べる子ども達。まあ、冗談ではあるのだけど……まあ、実際そういうとこもあるからね。やっぱり、どうあってもお金は大《たい》せ――
「……嫌」
「……へっ? ……あの、結菜ちゃん?」
「……真織に、結婚のご祝儀を渡すのなんて絶対に嫌」
「……あ、えっと……うん、それなら仕方ないね」
すると、プイッと顔を逸らし呟くようにそう口にする結菜ちゃん。……いや、まあ仕方なくはないんだろうけど。そこで承諾しちゃうと、そもそもゲームが成り立たなくなっちゃうわけだし。
……ただ、ゲームの中とは言え無理やり徴収してしまえばそれはそれで居た堪れない空気になるし、かと言って結菜ちゃん一人だけというわけにもいかないので、結局みんなから徴収しないことに……うん、まあ僕はいいんだけどね。
ともあれ、少し気まずい感じにはなったもののその後も賑やかにボードゲームを楽しむ僕ら。すると、少し経過して――
「――あっ、出産マスだ。そういうわけで、今度こそご祝儀を……あっ、やっぱりいいです……」
そう口にするも、自身で言葉を引っ込める僕。と言うのも、さっきのように結菜ちゃんがプイッと顔を逸らし断固拒否という姿勢を示しているからで……うん、だったら仕方ないね。無理強いするわけにはいかないし。
……ただ、他の子がこういうマスに止まった時は楽しそうに渡してたのに、なんで僕には……あれ、ひょっとして嫌われてる?
「――今日もお疲れさま、真織くん。いつも本当に助かるよ」
「いえ、文寺さん。僕の方こそ、みんなにはいつも元気をもらっていて……なので、感謝するのはこちらの方です」
それから、数時間後。
茜色の光が差し込む頃、温かな微笑で温かなお言葉をくださる文寺さん。だけど、感謝をお伝えしたいのはこちらの方で。文寺家にお伺いする度に、眩い子ども達の笑顔を見る度に本当にいつも元気をもらえるから。そして、文寺さんの変わらぬ温かさにもいつも――
「……ところで、真織くん。本当に、話さなくて良いのかい?」
すると、ふと心配そうにお尋ねになる文寺さん。そんな彼が視線を移した先には、僕のいない時に撮られたであろう写真――満面の笑顔を浮かべる子ども達と、同じく満面の……だけど、どこか悲しそうな笑顔を見せるみんなより歳上の少女の姿が。そして――
「……はい、彼女がそれを選んでいるのなら、僕から口にしてはいけないと思っていますので」
ややあって、ご質問にお答えする僕。もちろん、正しいのかなんて分からない。いや、そもそも絶対的な正解なんてあるのかどうかも。だけど……それでも、今の僕にはこの選択しかできなくて。
「もう、ずっと待ってたんだから!」
「こんにちは、みんな。……そっか、ありがとう。みんな元気にしてた?」
「うん!」
それから、一週間ほど経た昼下がり。
広いリビングへ足を踏み入れると、眩いほどの笑顔で駆け寄ってくる子ども達。そのあまりの眩しさに、サングラスなしでは直視できないくらいで。
さて、今いるのは文寺家――事故や病気などで早くに親御さんを失い身寄りのなくなってしまった子ども達を無償で引き取り、さながら愛する我が子のように大切に育てていらっしゃるのがこのお宅のご主人たる温厚篤実な男性、文寺さんで。そして、僕は時折こちらでお手伝いをさせてもらっていて……いや、お手伝いでもないのかな。ただ、僕がみんなと一緒にいたいだけだし。
「――ねえ、真織。今日はこれで遊ぼ?」
「……人生ゲーム、か。うん、いいね」
それから、数十分後。
そう、僕の方へと大きなボードを見せつつ尋ねるのは結菜ちゃん。つぶらな瞳の明るく可愛い、小学五年生の女の子で。すると、間もなく僕も私もとみんな笑顔で集まって……うん、久しぶりだなぁ、人生ゲーム。ほんとに、もうかれこれ20年も――
「……どうかした? 真織」
「……あ、ううん。何でもないよ、結菜ちゃん」
すると、少し首を傾げ尋ねる結菜ちゃん。何とも可愛らしい仕草だけど、その表情には些か心配の色が……うん、ごめんね。でも、僕なら大丈夫だよ。
「――よしっ、学校の校庭でサヘラントロプスの頭蓋骨を発見! 売って一気に億万長者に!」
「それどこの学校!?」
それから、数十分後。
そう、ガッツポーズと共に叫ぶ男の子。いやそれどこの学校!? そもそも日本じゃなかったの!? このゲームの舞台。
ともあれ、そんなびっくり展開もありいっそう盛り上がる僕ら一同。……うん、久しぶりにしたけどほんと楽しい。でも、こんなに楽しいのは、間違いなくここにいるみんなとだからで。
「……あっ、結婚マスだ。それじゃあ、みんなからご祝儀をもらっちゃおっかな」
「うわぁ、大人気ねえよ真織~」
「あはは、世の中お金だからね」
「……うわぁ、嫌なこと聞いちゃった」
その後、ややあってそう言うと楽しそうに苦情を述べる子ども達。まあ、冗談ではあるのだけど……まあ、実際そういうとこもあるからね。やっぱり、どうあってもお金は大《たい》せ――
「……嫌」
「……へっ? ……あの、結菜ちゃん?」
「……真織に、結婚のご祝儀を渡すのなんて絶対に嫌」
「……あ、えっと……うん、それなら仕方ないね」
すると、プイッと顔を逸らし呟くようにそう口にする結菜ちゃん。……いや、まあ仕方なくはないんだろうけど。そこで承諾しちゃうと、そもそもゲームが成り立たなくなっちゃうわけだし。
……ただ、ゲームの中とは言え無理やり徴収してしまえばそれはそれで居た堪れない空気になるし、かと言って結菜ちゃん一人だけというわけにもいかないので、結局みんなから徴収しないことに……うん、まあ僕はいいんだけどね。
ともあれ、少し気まずい感じにはなったもののその後も賑やかにボードゲームを楽しむ僕ら。すると、少し経過して――
「――あっ、出産マスだ。そういうわけで、今度こそご祝儀を……あっ、やっぱりいいです……」
そう口にするも、自身で言葉を引っ込める僕。と言うのも、さっきのように結菜ちゃんがプイッと顔を逸らし断固拒否という姿勢を示しているからで……うん、だったら仕方ないね。無理強いするわけにはいかないし。
……ただ、他の子がこういうマスに止まった時は楽しそうに渡してたのに、なんで僕には……あれ、ひょっとして嫌われてる?
「――今日もお疲れさま、真織くん。いつも本当に助かるよ」
「いえ、文寺さん。僕の方こそ、みんなにはいつも元気をもらっていて……なので、感謝するのはこちらの方です」
それから、数時間後。
茜色の光が差し込む頃、温かな微笑で温かなお言葉をくださる文寺さん。だけど、感謝をお伝えしたいのはこちらの方で。文寺家にお伺いする度に、眩い子ども達の笑顔を見る度に本当にいつも元気をもらえるから。そして、文寺さんの変わらぬ温かさにもいつも――
「……ところで、真織くん。本当に、話さなくて良いのかい?」
すると、ふと心配そうにお尋ねになる文寺さん。そんな彼が視線を移した先には、僕のいない時に撮られたであろう写真――満面の笑顔を浮かべる子ども達と、同じく満面の……だけど、どこか悲しそうな笑顔を見せるみんなより歳上の少女の姿が。そして――
「……はい、彼女がそれを選んでいるのなら、僕から口にしてはいけないと思っていますので」
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