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約束通り?
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「――いやぁ、ひっさしぶりに来ましたねここ!」
「……いや、わりと最近来た記憶が……ですが、今日も降宮さんと来られて良かったです」
「……そ、そうですか……その、私もです」
それから、二週間ほど経た昼下がり。
少し小さめのお部屋にて、お水の入ったグラスを片手に朗らかに告げる降宮さん。そして、そんな彼女を微笑ましく思いつつ返事をする僕。……うん、楽しそうで何よりです。
さて、今いるのは数週間前に四人で行ったカラオケの一室。先日の約束(?)通り、本日は僕ら二人で来ているわけで。
「――さて、さっそくですがどちらから歌います?」
「あっ、本日はどちらでも。降宮さんは先に歌いたいですか?」
「……うーん、そうですね……いえ、是非とも先輩の歌を先に聴きたいかなと」
「……そ、そうですか……では」
それから、少し経過して。
そう、マイクの頭を僕の口へと向け問い掛ける降宮さん。いや、インタビューじゃないんだから。
ともあれ、どうやら僕から歌うことに。あの時のような緊張はほとんどないので、今日は本当にどちらからでも良かったのだけど……まあ、強いて言うなら先の方が良かったのでちょっと安――
「――あっ、ちなみにですが……今日は、歌いたい曲を歌ってくださいね?」
「……へっ?」
「……何と言いますか、あの時は空気に合わせた選曲をしていたように思えて。もちろん、お気持ちは分かりますしそれが悪いことだとも思いませんが……ですが、二人っきりなんですから今日は思いっ切り好きな歌を歌ってくださいね? 私も、今日はそうしますから」
「……降宮さん……はい、承知致しました」
すると、穏やかに微笑みそう口にする降宮さん。……そっか、そんなふうに思ってくれてたんだ。尤も、好きじゃない曲を歌っていたわけではないんだけども……それでも、彼女の言うように多少なりとも空気を気にした選曲だったことは否めなくて。……うん、ありがとう降宮さん。
その後、お言葉に甘え前回は歌わなかった――とりわけ大勢の中では適さないような、これぞバラードという曲を送信。そして、ゆったりと胸に沁み入るイントロに合わせ第一声を――
「……あ、ありがとうございました」
それから、数分経て。
歌唱を終え、頭を下げそう口にする。……うん、やっぱり緊張するね。歌ってる間、全く以て降宮さんの方を見れなかったし。……いや、正確には今も見えていないんだけど。
その後、ゆっくりと顔を上げる。……さて、彼女のご反応は――
「…………あの、降宮さん?」
「……その、すみません……ほんとに、自然と出てきてしまって……とっても、素敵でした」
「……あ、ありがとうございます」
そう、おずおずと尋ねる。すると、目を擦りつつゆっくりと言葉を紡ぐ降宮さん。そんな彼女の目からは、透明な雫がすっと綺麗な頬を伝っていて。……あの、降宮さん。それは、ひょっとして僕の歌で……? だとしたら、何と言いますか……その、甚だ恐縮であります。
「……いや、わりと最近来た記憶が……ですが、今日も降宮さんと来られて良かったです」
「……そ、そうですか……その、私もです」
それから、二週間ほど経た昼下がり。
少し小さめのお部屋にて、お水の入ったグラスを片手に朗らかに告げる降宮さん。そして、そんな彼女を微笑ましく思いつつ返事をする僕。……うん、楽しそうで何よりです。
さて、今いるのは数週間前に四人で行ったカラオケの一室。先日の約束(?)通り、本日は僕ら二人で来ているわけで。
「――さて、さっそくですがどちらから歌います?」
「あっ、本日はどちらでも。降宮さんは先に歌いたいですか?」
「……うーん、そうですね……いえ、是非とも先輩の歌を先に聴きたいかなと」
「……そ、そうですか……では」
それから、少し経過して。
そう、マイクの頭を僕の口へと向け問い掛ける降宮さん。いや、インタビューじゃないんだから。
ともあれ、どうやら僕から歌うことに。あの時のような緊張はほとんどないので、今日は本当にどちらからでも良かったのだけど……まあ、強いて言うなら先の方が良かったのでちょっと安――
「――あっ、ちなみにですが……今日は、歌いたい曲を歌ってくださいね?」
「……へっ?」
「……何と言いますか、あの時は空気に合わせた選曲をしていたように思えて。もちろん、お気持ちは分かりますしそれが悪いことだとも思いませんが……ですが、二人っきりなんですから今日は思いっ切り好きな歌を歌ってくださいね? 私も、今日はそうしますから」
「……降宮さん……はい、承知致しました」
すると、穏やかに微笑みそう口にする降宮さん。……そっか、そんなふうに思ってくれてたんだ。尤も、好きじゃない曲を歌っていたわけではないんだけども……それでも、彼女の言うように多少なりとも空気を気にした選曲だったことは否めなくて。……うん、ありがとう降宮さん。
その後、お言葉に甘え前回は歌わなかった――とりわけ大勢の中では適さないような、これぞバラードという曲を送信。そして、ゆったりと胸に沁み入るイントロに合わせ第一声を――
「……あ、ありがとうございました」
それから、数分経て。
歌唱を終え、頭を下げそう口にする。……うん、やっぱり緊張するね。歌ってる間、全く以て降宮さんの方を見れなかったし。……いや、正確には今も見えていないんだけど。
その後、ゆっくりと顔を上げる。……さて、彼女のご反応は――
「…………あの、降宮さん?」
「……その、すみません……ほんとに、自然と出てきてしまって……とっても、素敵でした」
「……あ、ありがとうございます」
そう、おずおずと尋ねる。すると、目を擦りつつゆっくりと言葉を紡ぐ降宮さん。そんな彼女の目からは、透明な雫がすっと綺麗な頬を伝っていて。……あの、降宮さん。それは、ひょっとして僕の歌で……? だとしたら、何と言いますか……その、甚だ恐縮であります。
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