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防空艦隊建設
防空戦艦構想
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防空艦隊の建設は着々と進んでいる。
嶋田が推し進めた対空火器の更新は概ね完了し、艦艇に搭載されている対空火器は12.7㎝砲、37㎜機関砲、20㎜機銃となっている。
遠・中・近距離に対応した対空火器たちである。
また、これと並行して駆逐艦の主砲を平射砲では無く仰角を取れる両用砲へ換装する計画も進行していた。
こうして、防空空母のみならずしっかり艦隊の対空火力も向上しているが懸案が無いわけでも無い。
それは扶桑型戦艦である。
この扶桑型戦艦は日本初の超弩級戦艦ではあるが、もはや陳腐化しており海軍としても扱いに困っていた。
伊勢型戦艦に関してはそのようなことは無く、しっかり最前線で戦えるが扶桑型はそうでは無かったのである。
そこで、嶋田と山本はこの扶桑型戦艦を”どう活用するか”の議論を行った。
「空母に改装するというのも手ではある」
山本はまずそう述べる。
「確かに有力な案だが、空母戦力は③計画でも建造される。それに、④計画でも空母は建造されるはずだから防空艦の需要が急激に増える。これに対して我々は新造巡洋艦をもって対応しようとしているが、やはり負担は少しでも少ない方が良い。扶桑型2隻、いやこの際だ。金剛型戦艦4隻も”防空戦艦”に改造してはどうだろうか」
なるほど嶋田の意見にも一理あった。
これからは、日本海軍も空母をかなり重視していくことになるのは明白である。
となると、いつかは大量の空母を量産するに違いない。
そうなったとき、防空巡洋艦の需要は満たせるのかと言う疑問が浮上する。
これを嶋田は二線級戦艦の改造で解決しようと言うのである。
もちろん、空母に改装するより防空戦艦に改装した方が安上がりである。
「確かにだ。だが、それなら伊勢型や長門型も防空戦艦に改装してもいいのではないか?」
だが、嶋田はこれには反対した。
「その4隻は対空火器は強化するが、艦隊決戦では外せない」
嶋田は大砲屋であるため、そう考えているのである。
山本としてはそれは”前時代的な考え”であったが、こればかりはしょうがない。
それでも、嶋田はあることを零していた。
「ただし、空母か戦艦かはやはり実戦が無いと分からない。もし、空母が戦艦を超えるような事態となった時に対応するためにも、全戦艦の速力を引き上げておくということは必要かもしれん」
これには山本も同意した。
「その方が艦隊との統一行動がとりやすくなるな」
こうして防空戦艦に対する議論は終わったのである。
嶋田が推し進めた対空火器の更新は概ね完了し、艦艇に搭載されている対空火器は12.7㎝砲、37㎜機関砲、20㎜機銃となっている。
遠・中・近距離に対応した対空火器たちである。
また、これと並行して駆逐艦の主砲を平射砲では無く仰角を取れる両用砲へ換装する計画も進行していた。
こうして、防空空母のみならずしっかり艦隊の対空火力も向上しているが懸案が無いわけでも無い。
それは扶桑型戦艦である。
この扶桑型戦艦は日本初の超弩級戦艦ではあるが、もはや陳腐化しており海軍としても扱いに困っていた。
伊勢型戦艦に関してはそのようなことは無く、しっかり最前線で戦えるが扶桑型はそうでは無かったのである。
そこで、嶋田と山本はこの扶桑型戦艦を”どう活用するか”の議論を行った。
「空母に改装するというのも手ではある」
山本はまずそう述べる。
「確かに有力な案だが、空母戦力は③計画でも建造される。それに、④計画でも空母は建造されるはずだから防空艦の需要が急激に増える。これに対して我々は新造巡洋艦をもって対応しようとしているが、やはり負担は少しでも少ない方が良い。扶桑型2隻、いやこの際だ。金剛型戦艦4隻も”防空戦艦”に改造してはどうだろうか」
なるほど嶋田の意見にも一理あった。
これからは、日本海軍も空母をかなり重視していくことになるのは明白である。
となると、いつかは大量の空母を量産するに違いない。
そうなったとき、防空巡洋艦の需要は満たせるのかと言う疑問が浮上する。
これを嶋田は二線級戦艦の改造で解決しようと言うのである。
もちろん、空母に改装するより防空戦艦に改装した方が安上がりである。
「確かにだ。だが、それなら伊勢型や長門型も防空戦艦に改装してもいいのではないか?」
だが、嶋田はこれには反対した。
「その4隻は対空火器は強化するが、艦隊決戦では外せない」
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それでも、嶋田はあることを零していた。
「ただし、空母か戦艦かはやはり実戦が無いと分からない。もし、空母が戦艦を超えるような事態となった時に対応するためにも、全戦艦の速力を引き上げておくということは必要かもしれん」
これには山本も同意した。
「その方が艦隊との統一行動がとりやすくなるな」
こうして防空戦艦に対する議論は終わったのである。
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