14 / 21
防空艦隊建設
次期艦戦
しおりを挟む
日本海軍はかなり艦隊防空力を強化していたが、やはり最も頼りになるのは戦闘機である。
既に日本海軍は次期艦上戦闘機の開発を行っていた。
要求としては九七式艦上戦闘機を順当に強化した形だが、2つの新機軸が含まれていた。
1つは根元からの折り畳み翼、そしてもう一つは20㎜機銃の装備である。
まず、根元からの折り畳み翼についてだがこれは艦載機数に直接関係する。
九七式艦戦も折り畳み翼は採用している。
これを拡大するのだが、そうなると翼を強化しなければならない。
それでいて性能は単縦な強化なのだから難しい問題だった。
加えて、次期艦戦には20㎜機銃を装備させる必要があった。
20㎜機銃自体はすでに艦隊の対空火器として配備されている。
だがこれを戦闘機に装備するのはまた話が違う。
もはや20㎜機銃の命中率は局限まで高まっているが、給弾方式については改善の余地があったのである。
いや、艦上での対空戦闘の際にはそう言った事は気にしなくてもいい。
だが、戦闘機に載せるとなるとその場で給弾は出来ない。
となると、翼内にある機銃弾を撃ち尽くすと攻撃できなくなる。
13.2㎜機銃ならすでにベルト給弾が行われており、総弾数は九七式艦戦では1200発ある。
翻って、試作された20㎜機銃では元となったエリコン機銃の給弾力の弱さによりドラム弾倉でしか給弾できなかった。
そうなると、総弾数は1挺あたり60発。
次期艦戦は2挺装備するため、120発しか搭載できないのである。
元々、この20㎜機銃を艦戦に採用するという要求は英米の重爆に対抗するために生まれたものである。
すでに、欧米ではB17などの巨人機が生まれており、これを撃墜するのは13.2㎜は少し力不足であった。
そこで20㎜を装備して、”敵重爆も攻撃できる万能戦闘機を開発しよう”と海軍は考えたわけである。
そんな海軍はこの120発という総弾数に満足するわけがなかった。
「こればっかりは海軍も頑張らねばならない…。何としてでもベルト給弾式の20㎜機銃を開発する!」
航空本部長となっていた山本はそう断言したが、果たして本当にできるかは未知数だった。
ともかく、次期艦戦はこのように新機軸を2つぶら下げることになるが、これを引っ張るためのエンジンも当然必要になってくる。
すでに金星エンジンはその馬力を1300馬力にまで引き上げていた。
だが、そこにライバルが現れたのである。
それは中島の栄エンジンであった。
栄エンジンは金星と同じ1218㎜の直径で馬力も1300馬力と同じだ。
だが、燃費で栄は金星に大きく勝っていたのである。
これには海軍は驚いたが、喜ばしいことには違いなく次期艦戦のエンジンは栄エンジンとされた。
既に日本海軍は次期艦上戦闘機の開発を行っていた。
要求としては九七式艦上戦闘機を順当に強化した形だが、2つの新機軸が含まれていた。
1つは根元からの折り畳み翼、そしてもう一つは20㎜機銃の装備である。
まず、根元からの折り畳み翼についてだがこれは艦載機数に直接関係する。
九七式艦戦も折り畳み翼は採用している。
これを拡大するのだが、そうなると翼を強化しなければならない。
それでいて性能は単縦な強化なのだから難しい問題だった。
加えて、次期艦戦には20㎜機銃を装備させる必要があった。
20㎜機銃自体はすでに艦隊の対空火器として配備されている。
だがこれを戦闘機に装備するのはまた話が違う。
もはや20㎜機銃の命中率は局限まで高まっているが、給弾方式については改善の余地があったのである。
いや、艦上での対空戦闘の際にはそう言った事は気にしなくてもいい。
だが、戦闘機に載せるとなるとその場で給弾は出来ない。
となると、翼内にある機銃弾を撃ち尽くすと攻撃できなくなる。
13.2㎜機銃ならすでにベルト給弾が行われており、総弾数は九七式艦戦では1200発ある。
翻って、試作された20㎜機銃では元となったエリコン機銃の給弾力の弱さによりドラム弾倉でしか給弾できなかった。
そうなると、総弾数は1挺あたり60発。
次期艦戦は2挺装備するため、120発しか搭載できないのである。
元々、この20㎜機銃を艦戦に採用するという要求は英米の重爆に対抗するために生まれたものである。
すでに、欧米ではB17などの巨人機が生まれており、これを撃墜するのは13.2㎜は少し力不足であった。
そこで20㎜を装備して、”敵重爆も攻撃できる万能戦闘機を開発しよう”と海軍は考えたわけである。
そんな海軍はこの120発という総弾数に満足するわけがなかった。
「こればっかりは海軍も頑張らねばならない…。何としてでもベルト給弾式の20㎜機銃を開発する!」
航空本部長となっていた山本はそう断言したが、果たして本当にできるかは未知数だった。
ともかく、次期艦戦はこのように新機軸を2つぶら下げることになるが、これを引っ張るためのエンジンも当然必要になってくる。
すでに金星エンジンはその馬力を1300馬力にまで引き上げていた。
だが、そこにライバルが現れたのである。
それは中島の栄エンジンであった。
栄エンジンは金星と同じ1218㎜の直径で馬力も1300馬力と同じだ。
だが、燃費で栄は金星に大きく勝っていたのである。
これには海軍は驚いたが、喜ばしいことには違いなく次期艦戦のエンジンは栄エンジンとされた。
31
あなたにおすすめの小説
離反艦隊 奮戦す
みにみ
歴史・時代
1944年 トラック諸島空襲において無謀な囮作戦を命じられた
パターソン提督率いる第四打撃群は突如米国に反旗を翻し
空母1隻、戦艦2隻を含む艦隊は日本側へと寝返る
彼が目指したのはただの寝返りか、それとも栄えある大義か
怒り狂うハルゼーが差し向ける掃討部隊との激闘 ご覧あれ
世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
小日本帝国
ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。
大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく…
戦線拡大が甚だしいですが、何卒!
if 大坂夏の陣 〜勝ってはならぬ闘い〜
かまぼこのもと
歴史・時代
1615年5月。
徳川家康の天下統一は最終局面に入っていた。
堅固な大坂城を無力化させ、内部崩壊を煽り、ほぼ勝利を手中に入れる……
豊臣家に味方する者はいない。
西国無双と呼ばれた立花宗茂も徳川家康の配下となった。
しかし、ほんの少しの違いにより戦局は全く違うものとなっていくのであった。
全5話……と思ってましたが、終わりそうにないので10話ほどになりそうなので、マルチバース豊臣家と別に連載することにしました。
皇国の栄光
ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。
日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。
激動の昭和時代。
皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか?
それとも47の星が照らす夜だろうか?
趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。
こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです
If太平洋戦争 日本が懸命な判断をしていたら
みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら?
国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。
破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。
現在1945年中盤まで執筆
零式艦上マルチロール機
ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年12月8日。真珠湾へ向かう6隻の空母の艦上に艦載されている機体はただ1機種のみであった。その名は零式艦上多用途機。この機体は世界で初めて戦闘、爆撃、雷撃を行えるいわば”マルチロール機”として誕生した。この機体を駆使して日本海軍は英米海軍との絶望的な戦争を切り抜けていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる