零式艦上マルチロール機

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開発

総力戦航空機

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1937年に始まった支那事変は日本陸海軍に数々の戦訓を与えていた。
戦闘機無用論の否定であったり、補給体制強化が急務なことなどである。
そして、最も大きかったのは航空機の消耗の激しさであった。
航空機はもはや現代の戦争において必要不可欠な存在となっているが、その分消耗も激しかったのである。
陸海の航空畑の人間は危機感を覚えた。
(列強とは言えない国民党に対しても我が航空隊の損耗が激しく、機体定数を満たせていない航空隊が多々ある…相手が列強となれば我が航空隊は間違いなく壊滅する!)
航空機の分野においては、まだ陸海の壁は醸成されておらず両者はすぐに協力することとなる。
なかでも東条英機中将は”統一空軍の設置”を主張していた。
流石にそれは運用上や憲法上に問題があるためできなかった。
逆に言うと運用上や憲法上の問題を無視すれば可能であったのである。
そして”統合航空本部”が設置されたのである。


統合航空本部初代部長には発起人であった東条英機陸軍中将が就任した。
頭が固いことで知られる東条だが、海軍の大艦巨砲主義者と比べると日本の国力の限界と次の大戦争では陸海問わず航空機が重要な役割を果たすことを分かっていたことから、そこまで固いとは言えなかった。
「我が国は残念ながら欧米列強に比べて国力の面でかなり劣っている。このまま既存の航空機を生産し続けて総力戦を行えば、いずれは国力で圧倒されてしまう」
就任式の壇上で東条はそう言った。
反応は様々だが、皆は一様に納得していた。
「そこで、我が国は戦闘、爆撃、雷撃、偵察が出来る”万能機”を開発しこれを大量生産することが最も肝要である!」
会場は騒然となった。
だが、少し考えてみるとかなり理にかなった考えであった。
万能機ならば一度に出撃できる機数は同じでも、制空戦や防空戦に置いて考えるとかなりの戦力増強である。
3機種も配備される空母では尚の事だった。
(なるほど…これは賭けてみる価値がある!さすがに双発機などは出来ないだろうが、最も多く生産されるのは単発機だ)
見物がてら見に来ていた連合艦隊司令長官である山本五十六海軍大将は”思わぬ収穫”を得たのである。
この後、東条の唱えた万能機はすぐに予算が通過した。
その予算はかなり膨大である。
陸海は新規の戦闘機の開発を見送っていたのである。
(仮にこの開発が頓挫したとしても、おそらくは戦闘機としては運用に耐えうる機体が生まれるに違いない!なら、ここで大金を投じておいた方が良いに決まっている!)
こうして総力戦航空機の開発は始まったのである。
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