零式艦上マルチロール機

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大増産!

零式多用途攻撃機一二型

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タンクはまず、エンジンの性能改善に取り掛かった。
火星二一型は1280mmの直径で1700馬力を発揮する。
これだけでも相当に良いエンジンであり、これはそのままにするが新たに水エタノール噴射機やスーパーチャージャーを搭載。
水エタノール噴射機は30分ほど作動することが出来、エンジンの過熱を抑えることが出来る。
そのため、火星に一型の最大馬力は1750馬力とすることが出来た。
また、ドイツから持ってきたスーパーチャージャーを装備することで、高高度での戦闘にも対応できる。
加えて、照準器も光学照準器から光像式照準器に変更し命中率を向上させた。
結局、タンクが改良した零式多攻は制式名称も与えられない間に初飛行を果たした。
基本は無印の零式多攻と変わらないが、水エタノール噴射機を使用した時は明らかに速力が増大し、高高度域での性能に関しては飛躍的に向上した。
高性能を記録した本機だったが、水エタノール噴射機以外はドイツの技術によって製造されたものを備え付けただけである。
日本で製造できなければ意味が無い。
いや、熟練工による鋳造なら可能かもしれいないが大量生産を行うことを前提にして考えると非現実的だった。
ここは日本の踏ん張りどころだった。
だが、タンクもただ日本に期待するだけではなかった。
彼は工作機械を持ってきていた。
これは日本に無い部品を製造するためのものだった。
すぐにタンクは本国に”工作機械の分解と複製”を認める様に要請。
これは遠回しに”日本への工作機械譲渡”であったが、ドイツとしても同盟国である日本が強化されることは戦略的に見て得策であったため二つ返事で承認。
こうしてドイツから持ってこられた工作機械は分解されることになる。
そして、各部品を複製し1つ、また1つと工作機械を増やしていった。
構成する部品には大量生産出来ないほど精巧な部品もあったが、そこは職人の腕を頼った。
工作機械は1000も量産する必要は無かったのである。
1940年が終わるころには工作機械の数は20基となっていた。
(これでようやくスーパーチャージャーを量産できる…)
タンクは一息ついたと同時に自分が改良した機体の採用を確信した。
実際、統合航空本部は”スーパーチャージャー確保の目途が立った”としてタンクが改良した零式多攻を零式多用途攻撃機一二型として制式採用に踏み切った。
生産に関しては一一型から少しずつ一二型へ移行していく形であり、一一型の生産が完全に終了するのは1941年11月のことだった。
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