小沢機動部隊

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一航戦の改装

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年明けの1942年1月23日。
小沢機動部隊は本格的に南方作戦へ参戦した。
だがそこに一航戦の姿は無かった。
その関係上、小沢機動部隊の旗艦は一時的に二航戦旗艦の飛龍になっていた。
当然一航戦の搭乗員からは不満が出た。
何故俺たちを戦わせてくれないのか。
一航戦の搭乗員はまさに一騎当千の強者だったが同時に荒くれ者でもあった。
だが当然理由なく一航戦をいわば”留守番”にしたのではない。
一航戦の赤城並びに加賀は真珠湾作戦帰投直後に改装工事に入っていたのだ。
これは小沢の差し金であった。
「今、南方に居る敵勢力は強大とは言えない。空母戦力は集中されるべきだが一航戦は留守番にしても差し支えないだろう」
こうして両艦の改装工事は開始された。


実は赤城と加賀にはそれぞれかなり重大な欠陥があった。
まずは赤城だ。
赤城が3段空母から1段全通空母へ改装されたのは加賀の後であり1938年だった。
なぜ加賀が先に改装工事が行われたかと言うと、加賀は赤城以上に問題児だったためである。
その問題児を優等生に矯正するにはかなりの資金が必要だった。
ただ予算は枠が決まっている。
割を食ったのが加賀よりはましな問題児だった赤城だった。
赤城は確かに全通飛行甲板を持つ近代的な空母となった。
だがその対空兵装は旧式であり、反対側に撃てなかった。
次に加賀である。
先ほど言った通り、加賀は赤城を犠牲に問題児から一気に優等生に矯正された。
だがエレベーターは改装された年代から旧式だった。
これらの問題点に加えて両艦はケースメートに20㎝砲を収めており、これらはもはや空母に必要な装備ではなかった。
小沢は時間がある今のうちにこの問題を撤去、もしくは改装することで解決しようとしていたのだ。
改装工事は4月までに終わることになっていた。


小沢機動部隊はその指揮下に三航戦の龍驤と大鷹、四航戦の瑞鳳と祥鳳を加えて早速南方で暴れまわった。
参戦早々にマレー半島を空襲しイギリス軍の防衛陣地に甚大な被害を負わせ、戦線の突破に貢献。
また敵水上部隊に対しては南雲率いる馬来部隊(南遣艦隊)と共に事に当たり、次々と撃沈していった。
2月も終わりごろになると南方資源地帯の大部分が日本軍に占領下におかれ、小沢機動部隊は一旦、補給のため横須賀に帰投した。
この1か月間の戦いで小沢機動部隊が失ったのは僅かに零戦2機と九九式艦爆4機、九七式艦攻5機の計11機だった。
この戦果に狂喜乱舞した大本営並びに連合艦隊司令部は次なる作戦目標を練り始めていた。
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