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ハワイ作戦
発見
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「ジャップどもはまだ見つからんか…」
ハルゼーは少しイライラしながらも、報告を待っていた。
彼はすでに北方へ偵察機を放っていた。
味方の島々が存在する南方から真珠湾に奇襲をかけるというのはほぼ不可能に近かったからだ。
そうこうしていると、ついに1機のSBDが報告を入れてきた。
『敵大艦隊発見!空母10隻以上!』
ハルゼーは待ちに待った報告を聞いたものの、戦慄した。
「空母が10隻を超える…だと⁉」
今、彼の指揮下にあるのはエンタープライズのみ。
南方にニュートン少将率いるレキシントンも遊弋しているが、5倍の兵力差では如何ともしがたい。
「続報は無いか…⁉」
ハルゼーは副官のブローニングに問うたが彼は首を横に振る。
「通信を送り続けていますが、返答がありません。撃墜されたと考えるべきでしょう」
まさにその通りであり、日本海軍機動部隊を発見した殊勝のSBDは零戦に滅多打ちにされ、海上に没していたのである。
「…ここは一旦退く他あるまい」
ハルゼーは猛牛のごとき指揮で有名だが、決して蛮勇ではなかった。
「キンメルに徹底を打診しろ」
無論、サンディエゴへ退こうとしていたキンメルが拒むはずが無くハルゼーはそそくさと東進し始めた。
キンメルとしてはサンディエゴで艦隊を建て直し、もし日本軍が上陸してきた場合には一気にオアフ島へ”逆上陸を仕掛けてやろう!”と考えていた。
そのため、やはり艦隊兵力は温存しなければならずキンメルとしてはハルゼーの判断は渡りに船だった。
同時に、キンメルはニュートンやブラウンへもサンディエゴへの撤退命令を下していた。
一方の第一、第二航空艦隊はと言うと攻撃隊の発艦準備に大忙しとなっていた。
実は、エンタープライズ所属のSBDが日本海軍を発見する前に、九八式艦偵がレキシントンを含む艦隊を発見していたのである。
両航空艦隊の空母艦上にはこのようなこともあろうかと、既に出撃準備を終えた攻撃隊がそのエンジンを唸らせていた。
もし、所定の時間までに敵空母艦隊を発見できなかった場合は真珠湾に対する第三波攻撃隊とする腹積もりだったが、そのようなことにはならなかった。
「ここで空母を仕留めれば少なからず戦局は味方有利になる…!」
小沢はそう呟きながら攻撃隊が出撃していくのを見守っていた。
攻撃隊は艦戦27機、艦単爆81機、艦攻81機の計189機である。
これでもなお、両航空艦隊の艦上には艦戦や艦単爆を合わせて200機以上があったのである。
ハルゼーは少しイライラしながらも、報告を待っていた。
彼はすでに北方へ偵察機を放っていた。
味方の島々が存在する南方から真珠湾に奇襲をかけるというのはほぼ不可能に近かったからだ。
そうこうしていると、ついに1機のSBDが報告を入れてきた。
『敵大艦隊発見!空母10隻以上!』
ハルゼーは待ちに待った報告を聞いたものの、戦慄した。
「空母が10隻を超える…だと⁉」
今、彼の指揮下にあるのはエンタープライズのみ。
南方にニュートン少将率いるレキシントンも遊弋しているが、5倍の兵力差では如何ともしがたい。
「続報は無いか…⁉」
ハルゼーは副官のブローニングに問うたが彼は首を横に振る。
「通信を送り続けていますが、返答がありません。撃墜されたと考えるべきでしょう」
まさにその通りであり、日本海軍機動部隊を発見した殊勝のSBDは零戦に滅多打ちにされ、海上に没していたのである。
「…ここは一旦退く他あるまい」
ハルゼーは猛牛のごとき指揮で有名だが、決して蛮勇ではなかった。
「キンメルに徹底を打診しろ」
無論、サンディエゴへ退こうとしていたキンメルが拒むはずが無くハルゼーはそそくさと東進し始めた。
キンメルとしてはサンディエゴで艦隊を建て直し、もし日本軍が上陸してきた場合には一気にオアフ島へ”逆上陸を仕掛けてやろう!”と考えていた。
そのため、やはり艦隊兵力は温存しなければならずキンメルとしてはハルゼーの判断は渡りに船だった。
同時に、キンメルはニュートンやブラウンへもサンディエゴへの撤退命令を下していた。
一方の第一、第二航空艦隊はと言うと攻撃隊の発艦準備に大忙しとなっていた。
実は、エンタープライズ所属のSBDが日本海軍を発見する前に、九八式艦偵がレキシントンを含む艦隊を発見していたのである。
両航空艦隊の空母艦上にはこのようなこともあろうかと、既に出撃準備を終えた攻撃隊がそのエンジンを唸らせていた。
もし、所定の時間までに敵空母艦隊を発見できなかった場合は真珠湾に対する第三波攻撃隊とする腹積もりだったが、そのようなことにはならなかった。
「ここで空母を仕留めれば少なからず戦局は味方有利になる…!」
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攻撃隊は艦戦27機、艦単爆81機、艦攻81機の計189機である。
これでもなお、両航空艦隊の艦上には艦戦や艦単爆を合わせて200機以上があったのである。
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