私だけ視えない 病院の怪談

中川四角

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3日目

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 あれは確か、夕食前の時間だったと思います。雪原さんと楽しく雑談していた時、突然雪原さんの声が聞こえなくなりました。本当に突然と言う感じでした。

一 あれ?おかしいな。

「雪原さん?」

返事はありめせん。

私はよろっと立ち上がり雪原さんのベッドサイドに立ちました。雪原さんは安らぎの様な表情を浮かべて口を少し開いていて目を閉じていました。

一 寝ちゃったんだ⋯。いや、おかしい。あんなにハッキリと話していたのに。これは寝ていると言うより⋯まさか⋯。

『雪原さん?雪原さん。どうしました?雪原さん?』

呼びかけを続けると雪原さんが反応しました。

『あっ、愛佳⋯。私さあ、今、ベッドの上から自分を見下ろしてた。何でだろう。いやだ、召されちゃったのかと思った。わはは。』

「雪原さん、さっきまで私と話して大笑いしていたのに突然黙ってしまって、ベッドサイドに見に行ったら、何だか安らかな表情で⋯。寝てたとかじゃなくて?」

「うん、寝ては無い、全然。まじか、召されちゃったよ。愛佳さあ、あたしがまたなったら大声で呼び戻してよ。」

雪原さんの持ち前の明るさで、笑い話みたいになっていました。

『うん、呼び戻す、全力で。』

幽体離脱は私もしそうになった事はありました、中学時代だったと思います。上半だけ起き上がるような形で、完全に幽体離脱したら戻って来れなかったらどうしようと言う気持がありそこからは、出ないようにしていました。

1回だけ、幽体で立ち上がってしまって爪先だけ体に残った事があります。あの時、跳べば出られたのではないかと思いますが、勇気がありまけんでした。

「前にも幽体離脱したことあるの?」

私は雪原さんに聞きました。

『うん、1回くらいはあるよ。多少霊感的なものもあった時期があるかな。でも病棟のベッドの上だと洒落にならないよね。』

そう言って雪原さんはまた豪快に笑いました。
私は自分に霊感が少しある事は、雪原さんには言いませんでした。

ご飯を食べた後、しばらくすると雪原さんが苦しそうな声を出していました。

「どうしたの?雪原さん。」

私が声をかけると雪原さんは、

「ちょっと立ち上がりづらいけど、大丈夫。」
と、笑っていました。でも、すごく汗をかいています。

後島さんはそんな雪原さんを見て、

「大丈夫?無理しないで看護師さん呼ぼう。」

と、声をかけました。

「トイレに行くだけだから。」

雪原さんは、できるだけ看護師さんや人の手を借りたくないようでした。

一 雪原さん、昨日はもっと動けていたと思ったけど⋯。

雪原さんは明るく話好きで、夕食後も後島さんと私と面白い話しをして笑っていました。

私は途中から着替えをしたのでカーテンを閉めて話しをしていたのですが、突如、トイレの方で大きな音がしました。

「どうしました?」

私が訪ねると、後島さんから、

「雪原さんトイレで倒れて起き上がれないみたい。今ナースコール押した。すぐ看護師さん来るよ。」

と言う返事が返ってきました。私はトイレから一番遠いベッドでした。私が助けに行こうとすると、

「愛佳ちゃん、あなたも具合悪いでしょ。あの狭いトイレで素人が手を貸しても逆に危ないから待ってて。
それと、雪原さんはここに入院してきた数日前は、ひとりで自由に歩けてたの。杖は使う時があったけど。明らかに昨日よりも今日は動けなくなってるし、日に日に悪化してる見たいだよ。」

と、後島さんが言いました。

そんな急に⋯。

看護師さんが1人来て、さらに応援を呼んで3人が来たようでした。3人かがりでトイレから戻ってきた雪原さんに看護師さん達はくれぐれも1人でトイレに行かないように。ナースコールを押すように言われていました。

雪原さんは素直に頷いていました。

その夜の雪原さんは酷くうなされていました。その理由は翌日知ることとなります。



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