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4日目
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「愛佳、牛乳飲む?」
「うん、もらう。ありがとう。」
私の朝は、雪原さんの声で始まります。これは恥ずかしながら、私が朝食ギリギリまで寝ているという事でもあります。朝イチで採血がある時だけ早く起きますが、結局二度寝してしまいます。
後島先生は、明日退院が決まっていましたが、昨夜またお腹が痛くなったようで、後1泊したいと言い出しました。
「不安なまま帰って、ひとり暮らしだとこわいよね。もう1泊していけよ。」
「雪原さんたら、自分の家みたいに言うから面白くて。せっかく楽しいメンバーだからそれもあって1泊したい。」
「主治医の先生に言ってみたらどうですか?」
私も、後島さんがもう少しいてくれたらと言う思いから、そう言ってみました。
「だからさあ。先生来たらちょっと具合悪そうに演技するんだよ。ひとり暮らしの家で何かあったら困るしさ。」
雪原さんは面白い事を言います。
「私はね、バカ正直だから演技はできないなあ。」
「うちらもフォローするからさ。ちょっと具合悪い演技やってみ。」
雪原さんが振ると、後島さんは体調悪そうな演技を始めましたが、かなりぎこちなく本人も私達も笑い出してしまいました。
それでも、痛みが出た時は大変らしく石が出たか出てないかもわからないのは不安だと思いました。
ところが後島さんのその日の回診は、主治医ではなく何科かもわからない背の低い先生2人が来て、全く後島さんの病状を把握していません。他の患者さんと間違えてる?と思いました。明日退院するにせよ、不安な事を先生に聞いて納得して帰った方が安心です。
2人の先生は途中で1人いなくなりました。もう一人の先生は、
「後島さん不安では入院できませんから。不安では入院できませんから。」
と、言って去っていきました。
「なんだあのちんちくりんコンビ。しかも2回目も言ったぞ。不安では入院できません。不安では入院できません。」
雪原さんの言葉にみんな爆笑です。
「しかもー、後島さんの病状全く把握してねーし。ダメたダメだ、主治医と話して不安な事を聞いてできたら後1泊させてもらおう。」
雪原さんは、みんなが思ってても口に出せないことをハッキリ言ってくれるのでスカッとします。あんなにハッキリものを言って嫌な感じがしないのは、美人でちょっと愛嬌があるからでしょうか?
その後、雪原さんは何か痛そうな検査が病室であるようなので、私達3人は、デイルームに一旦行くことにしました。痛がっているのを見ているのは辛いからです。
10分で終わる検査だと言われていました。しかし、その検査は1時間くらいかかりました。
私達同室の3人はその間、雪原さんが立てなくなって来ている事。すごくうなされている事について心配で話し合いました。
柳沢さんは、
「この病院いろいろおかしい。病状の説明も筒抜けだし、なんか全体的に薄暗くて看護師さんも若いのに暗い感じで⋯。それに、夜トイレに行った時、廊下で昔の昔の看護師さんみたいな格好をした人の後姿を見た。」
と、言い出しました。
一 えーっ?私なにも感じないし、見ない。
「うん、1人だけ違う格好の看護師さん私も見た。夜だったかな。」
「えっ、後島さんも?」
私は思わず声がでました。
「雪原さんも見たって言ってたよ。この病棟の看護師さんじゃないのかもねって言ってた、」
私は昔のナースみたいな格好と言うのが気になりましたが、今は先生も白衣の人が少なくいろんな色の制服?を着ているのでその時は、そうなんだと言う感じで聞き流しました。それより、雪原さんの病状が心配という事もありました。
病室に戻るといつも通り明るい雪原さんがいました。
「あいつ、すごい検査下手でさあ。まいっちゃったよ。」
雪原さんはいつもの調子です。
「だいたいこんな薄暗い部屋でやらなくてもいいのにね。」
後島さんも言いました。
不意に、後島さんの主治医の先生が来ました。
「体調はどうですか?」
「あっ、先生、私はひとり暮らしなので帰った後に急に激痛に襲われても誰も助けてくれる家族がいません。」
「そう、石も出たかわからないしね。念の為もう一日いる?」
「先生石が出たかどうかどうやってわかりますか?」
一 あれ?今、話がいい方向に行ったのに⋯。
後島さんと先生の話は違う方向に行ってしまい、一周回ってもう一度チャンスが来ました、
「後島さん、念の為もう1泊していく?」
私はゼスチャーで、今、「はい、お願いします。」って言ってください。と斜め前から全力で伝えました。
「お願いします。」
後島さんは、もう1泊できることになりました。
「後島先生、頭の良い人なのに自らチャンス逃したり、危なっかしいよ。」
「ひやひやした。」
病室のみんなは、後島さんのグダグダさに大笑いです。
「そう言えば、雪原さん昨日すごくうなされてたけど、どうした?」
私は気になっていた事を聞きました。
「うん。毎日夜中叫んでる患者さんいるじゃない?2人。あの叫び声のせいか途中起きて眠りが浅くなって変な夢をみて⋯それでうなされるのかな?」
「夜中に叫ぶ人、1人だよね?」
私は聞き返しました。
「絶対2人。」
柳沢さんも、後島さんも2人だと言いました。
私は点滴のせいもあって、夜何回もトイレに起きてしかも、部屋のトイレではなく、部屋を出たところのトイレを使っているので、2人叫んでいれば気が付きそうなものですが⋯。
「うん、もらう。ありがとう。」
私の朝は、雪原さんの声で始まります。これは恥ずかしながら、私が朝食ギリギリまで寝ているという事でもあります。朝イチで採血がある時だけ早く起きますが、結局二度寝してしまいます。
後島先生は、明日退院が決まっていましたが、昨夜またお腹が痛くなったようで、後1泊したいと言い出しました。
「不安なまま帰って、ひとり暮らしだとこわいよね。もう1泊していけよ。」
「雪原さんたら、自分の家みたいに言うから面白くて。せっかく楽しいメンバーだからそれもあって1泊したい。」
「主治医の先生に言ってみたらどうですか?」
私も、後島さんがもう少しいてくれたらと言う思いから、そう言ってみました。
「だからさあ。先生来たらちょっと具合悪そうに演技するんだよ。ひとり暮らしの家で何かあったら困るしさ。」
雪原さんは面白い事を言います。
「私はね、バカ正直だから演技はできないなあ。」
「うちらもフォローするからさ。ちょっと具合悪い演技やってみ。」
雪原さんが振ると、後島さんは体調悪そうな演技を始めましたが、かなりぎこちなく本人も私達も笑い出してしまいました。
それでも、痛みが出た時は大変らしく石が出たか出てないかもわからないのは不安だと思いました。
ところが後島さんのその日の回診は、主治医ではなく何科かもわからない背の低い先生2人が来て、全く後島さんの病状を把握していません。他の患者さんと間違えてる?と思いました。明日退院するにせよ、不安な事を先生に聞いて納得して帰った方が安心です。
2人の先生は途中で1人いなくなりました。もう一人の先生は、
「後島さん不安では入院できませんから。不安では入院できませんから。」
と、言って去っていきました。
「なんだあのちんちくりんコンビ。しかも2回目も言ったぞ。不安では入院できません。不安では入院できません。」
雪原さんの言葉にみんな爆笑です。
「しかもー、後島さんの病状全く把握してねーし。ダメたダメだ、主治医と話して不安な事を聞いてできたら後1泊させてもらおう。」
雪原さんは、みんなが思ってても口に出せないことをハッキリ言ってくれるのでスカッとします。あんなにハッキリものを言って嫌な感じがしないのは、美人でちょっと愛嬌があるからでしょうか?
その後、雪原さんは何か痛そうな検査が病室であるようなので、私達3人は、デイルームに一旦行くことにしました。痛がっているのを見ているのは辛いからです。
10分で終わる検査だと言われていました。しかし、その検査は1時間くらいかかりました。
私達同室の3人はその間、雪原さんが立てなくなって来ている事。すごくうなされている事について心配で話し合いました。
柳沢さんは、
「この病院いろいろおかしい。病状の説明も筒抜けだし、なんか全体的に薄暗くて看護師さんも若いのに暗い感じで⋯。それに、夜トイレに行った時、廊下で昔の昔の看護師さんみたいな格好をした人の後姿を見た。」
と、言い出しました。
一 えーっ?私なにも感じないし、見ない。
「うん、1人だけ違う格好の看護師さん私も見た。夜だったかな。」
「えっ、後島さんも?」
私は思わず声がでました。
「雪原さんも見たって言ってたよ。この病棟の看護師さんじゃないのかもねって言ってた、」
私は昔のナースみたいな格好と言うのが気になりましたが、今は先生も白衣の人が少なくいろんな色の制服?を着ているのでその時は、そうなんだと言う感じで聞き流しました。それより、雪原さんの病状が心配という事もありました。
病室に戻るといつも通り明るい雪原さんがいました。
「あいつ、すごい検査下手でさあ。まいっちゃったよ。」
雪原さんはいつもの調子です。
「だいたいこんな薄暗い部屋でやらなくてもいいのにね。」
後島さんも言いました。
不意に、後島さんの主治医の先生が来ました。
「体調はどうですか?」
「あっ、先生、私はひとり暮らしなので帰った後に急に激痛に襲われても誰も助けてくれる家族がいません。」
「そう、石も出たかわからないしね。念の為もう一日いる?」
「先生石が出たかどうかどうやってわかりますか?」
一 あれ?今、話がいい方向に行ったのに⋯。
後島さんと先生の話は違う方向に行ってしまい、一周回ってもう一度チャンスが来ました、
「後島さん、念の為もう1泊していく?」
私はゼスチャーで、今、「はい、お願いします。」って言ってください。と斜め前から全力で伝えました。
「お願いします。」
後島さんは、もう1泊できることになりました。
「後島先生、頭の良い人なのに自らチャンス逃したり、危なっかしいよ。」
「ひやひやした。」
病室のみんなは、後島さんのグダグダさに大笑いです。
「そう言えば、雪原さん昨日すごくうなされてたけど、どうした?」
私は気になっていた事を聞きました。
「うん。毎日夜中叫んでる患者さんいるじゃない?2人。あの叫び声のせいか途中起きて眠りが浅くなって変な夢をみて⋯それでうなされるのかな?」
「夜中に叫ぶ人、1人だよね?」
私は聞き返しました。
「絶対2人。」
柳沢さんも、後島さんも2人だと言いました。
私は点滴のせいもあって、夜何回もトイレに起きてしかも、部屋のトイレではなく、部屋を出たところのトイレを使っているので、2人叫んでいれば気が付きそうなものですが⋯。
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