復讐は、冷やして食すのが一番美味い

Yuito_Maru

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第1章 3度目の人生

[07] 1度目の人生:憐れな女①

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 ヴァイバーナン王女の婚約式パーティーに参加した私は注目の的だった。
 エスコート役も無く、古臭いドレスとアクセサリーを身に着けた独りぼっちの私に好奇の目を向ける者は多かったが、誰一人と声を掛けてこなかった。
 それはかえって、気が楽だった。
 好奇の目や私を蔑む目には幼い頃から慣れていた。話しかけられるほうが当惑する。
 王室のメンバーが登場するまでまだ時間がある。
 私は庭園に向かった。
 誰も居なさそうな庭園の奥に入っていく。
 花々の甘い香りとそよ風に葉を揺らす木々に癒された。
 歩いているうちに厩舎へ行く道が見えてきた。使用人がうろうろしているかもしれないと思い、ホールへ戻ろうとした。
 その時、ひそひそと男女が争う声が聞こえた。
「妊娠したって、本当なのか?」
「月のモノが3ヶ月も来ないんだから、そうでしょう」
「……そうか、参ったな」
「ちょっと、それどういう事!」
「いや、その、どうしようかと」
 穏やかでない話し合いに私の身体が固まってしまった。聞きたくもないのに聞こえてしまったこの声の主はバードックとダリアンだった。
 私は後ずさりした。ここに居ることを知られたくない。
 パキッツ。最悪だ。落ちていた枝を踏んでしまった。
「誰!」
 大声で怒鳴ったダリアンが顔を出した。恐ろしい顔だった。
「お義姉さま!」
「ご、ごめんなさい。もう、戻るところだったの」
「どうしてここに?」
「……風に当たりたくて……」
「ふうん。元婚約者を探していたのでは?」
「まさか! 私はもう、関係ないし」
「……ま、いいわ。ホールで会いましょう」
 私は生きた心地がしなかった。思わず走って、ホールに向かった。

 ホールで飲み物をもらい、壁際で一息ついているとダリアンが1人で戻ってきたのが見えた。
 妊娠しているって本当だろうか。これからどうするのだろう。
 そう思っていると、王室メンバー登場のトランペットが鳴った。
 国王陛下を中心に皇后と第1王子、第2王子がいた。
 ヴァイバーナン王女はいなかった。
 国王陛下が手を挙げるとトランペットが鳴りやみ、会場に居る全員が頭を下げた。
「本日は忙しい中、よくぞ集まってくれた。心から感謝する。では、本日の主役の2人をここに呼ぼう!」
 会場全員の拍手の中、ヴァイバーナン王女とバードックが腕を組んで登場した。
 2人が中央に到着し、軽く頭を下げる。
 国王が笑顔で頷き、手を挙げると、拍手が鳴りやんだ。
「私の娘、ヴァイバーナン、そして、カンビセス侯爵家のバードックと本日、婚約の儀をつつがなく執り行った。今日のめでたき日をみな存分に楽しんでくれ」
 国王の言葉の後、歓声が上がり、再び拍手の嵐となった。
 オーケストラはダンスの音楽に切り替わり、ヴァイバーナン王女とバードックが中心で踊り始めた。
 私は気になってダリアンを目で追った。
 ダリアンは不愉快そうな顔で2人のダンスを見ていた。
 諦めたのかとも思ったが、ダリアンは粘着質タイプだ。相手が王女だからとすぐに諦めるとは思えない。
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