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第1章・第7話「始動」
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嵐と共に、ゾルドは去った。
ジュートはベッドで横になっている。
ジュウビはサクヤの腹部を診ていた。
「どう…なってるんだ?母さん、もしかして不死身なのか?」
出血は完全に止まっており、その刀傷はふさがっていた。
「そんな力無いわよ。でも…あいつの剣は深く刺さったはず。どうして…」
サクヤ自身も訳が分からなかった。
「…カウム、教えてくれ。」
ジュウビは腕輪に話し掛ける。そう、腕輪に浮かび上がった赤い宝石の中にカウムは居た。
《…》
「カウム!」
《…思い出せ》
「何?」
カウムは言いたくても言えない…そんな風に感じたジュウビは、カウムの言う様に何かを思い出そうとしていた。カウムと過ごした時間…ジュウビは色々な事を思い出す。
「………ま、さか。」
ジュウビが思い出したのは、エデンと傷を舐め合っていたこと。
「エデン…なのか。」
《…》
カウムは言えない…何故なのかは分からなかったが、カウムは言えないのだと、ジュウビは悟った。
「エデンの力?」
サクヤが刺された剣は、その前にエデンの身体を切っていた。
エデンの体液がそのまま付着した剣で刺された為、サクヤの傷は治ったのだ。
もしかするとゾルドの首の傷が治ったのは、ゾルドがエデンを吸収したからなのか…ジュウビはそんな事も考えていた。
「そもそもエデンって…」
エデンはこの世界の動物、メツに風姿が似ている。しかしメツは尾が一つである事に対し、エデンは二つあった。
「エデンは、記憶を失ってこの島に流れ着いたジュートにずっと寄り添っていた子よ。それ以外の事は…」
「エデン…。父さん…。」
ジュートが目覚めるのを待つジュウビとサクヤ。
《あいつ…ゾルドと言ったか》
「うん。…あいつは何なんだと思う?」
《分からん。だが…居た》
「…どういう意味だ?」
《居たんだよ》
「だから…どういう意味だよ?!」
ジュウビははっきりしないカウムに口調強めに問いただす。その急な大声に驚くサクヤ。
「ジュウビ、カウム様と話してるのね?…ジュウビ、私も先代から聞いただけで、詳しくは知らないのだけど…精獣はカウム様以外に十一頭いらっしゃるの。」
「え?」
「そして、その十二頭全ての精獣をお創りになった神…『神獣』が、この世界のどこかに存在する…。」
ジュウビはサクヤの言葉を聞きながら、カウムの精神が乱れて行くのを感じた。
「カウム様達は、神獣に関わる様な項目に対してプロテクトがかかる…つまり何も語れないのよ。」
「ちょっと待って母さん。じゃあ、あのゾルドって奴は…その神獣と関わりがあるっていう事なのか?」
「多分、だけど。」
「い、いや、待ってくれ。じゃあさっきエデンの力についてカウムが話せなかったのも、そういう事なのか?」
エデンも神獣と関わりがある…ジュウビとサクヤは謎に包まれたこの一件を解き明かしたいと考えていた。そうしなければ駄目なんだと、そう感じていた。
そしてこの一件には愛する夫であり尊敬する父親であるジュートも深く関わっているに違いない。
「このままじゃ終わらない。何か、とんでもない事が起こるのかもしれない。」
サクヤはジュウトを見て、そう呟いた。
惨劇から三日目の夜、ジュートが目を覚ました。
三人は話し合い、それぞれのやるべき事を決めた。
「僕とサクヤは南へ向かう。」
ジュートはサクヤと共に島から南方面へ行く。
それは、漂流していた場所から潮の流れを計算すると南から来た事になるからだ。当ては無い。しかし、記憶を取り戻せる何かがあるかもしれない。
「俺はカウムと北に行く。」
ジュウビは島から北方へ。
それは、以前島に来た大陸の商人から、北方の大陸に精獣と旅をする男が居たという話しを聞いた事があるからだ。
二手に分かれ、それぞれが謎を解く為の旅に出た。
どれくらいの月日がかかるか見当もつかない旅だが、またこの島で落ち合おうと言葉を掛け合い、それぞれの道を歩き出す。
「そういや、お前の分身…だっけ?何か可愛かったな。」
《おい。それはどういう意味だ?》
「怒るとこかよ?別に他意は無いぞ。」
《いいや、嘘だな。俺に似ず…そう言いたいのだろう?》
「お前…捻くれてるな。」
《お前に言われたくない》
シンゲン島を出たジュウビはこの後、一人の男と出会う。
その男に精獣と合わさる獣甲という技を教わり、修行の末に会得。
更にリクウ、リョクヒを見付け出し、契約を交わす。
それからしばらく後に、ジンセン村でミズリやイオンと出会うのだった。
ジュートはベッドで横になっている。
ジュウビはサクヤの腹部を診ていた。
「どう…なってるんだ?母さん、もしかして不死身なのか?」
出血は完全に止まっており、その刀傷はふさがっていた。
「そんな力無いわよ。でも…あいつの剣は深く刺さったはず。どうして…」
サクヤ自身も訳が分からなかった。
「…カウム、教えてくれ。」
ジュウビは腕輪に話し掛ける。そう、腕輪に浮かび上がった赤い宝石の中にカウムは居た。
《…》
「カウム!」
《…思い出せ》
「何?」
カウムは言いたくても言えない…そんな風に感じたジュウビは、カウムの言う様に何かを思い出そうとしていた。カウムと過ごした時間…ジュウビは色々な事を思い出す。
「………ま、さか。」
ジュウビが思い出したのは、エデンと傷を舐め合っていたこと。
「エデン…なのか。」
《…》
カウムは言えない…何故なのかは分からなかったが、カウムは言えないのだと、ジュウビは悟った。
「エデンの力?」
サクヤが刺された剣は、その前にエデンの身体を切っていた。
エデンの体液がそのまま付着した剣で刺された為、サクヤの傷は治ったのだ。
もしかするとゾルドの首の傷が治ったのは、ゾルドがエデンを吸収したからなのか…ジュウビはそんな事も考えていた。
「そもそもエデンって…」
エデンはこの世界の動物、メツに風姿が似ている。しかしメツは尾が一つである事に対し、エデンは二つあった。
「エデンは、記憶を失ってこの島に流れ着いたジュートにずっと寄り添っていた子よ。それ以外の事は…」
「エデン…。父さん…。」
ジュートが目覚めるのを待つジュウビとサクヤ。
《あいつ…ゾルドと言ったか》
「うん。…あいつは何なんだと思う?」
《分からん。だが…居た》
「…どういう意味だ?」
《居たんだよ》
「だから…どういう意味だよ?!」
ジュウビははっきりしないカウムに口調強めに問いただす。その急な大声に驚くサクヤ。
「ジュウビ、カウム様と話してるのね?…ジュウビ、私も先代から聞いただけで、詳しくは知らないのだけど…精獣はカウム様以外に十一頭いらっしゃるの。」
「え?」
「そして、その十二頭全ての精獣をお創りになった神…『神獣』が、この世界のどこかに存在する…。」
ジュウビはサクヤの言葉を聞きながら、カウムの精神が乱れて行くのを感じた。
「カウム様達は、神獣に関わる様な項目に対してプロテクトがかかる…つまり何も語れないのよ。」
「ちょっと待って母さん。じゃあ、あのゾルドって奴は…その神獣と関わりがあるっていう事なのか?」
「多分、だけど。」
「い、いや、待ってくれ。じゃあさっきエデンの力についてカウムが話せなかったのも、そういう事なのか?」
エデンも神獣と関わりがある…ジュウビとサクヤは謎に包まれたこの一件を解き明かしたいと考えていた。そうしなければ駄目なんだと、そう感じていた。
そしてこの一件には愛する夫であり尊敬する父親であるジュートも深く関わっているに違いない。
「このままじゃ終わらない。何か、とんでもない事が起こるのかもしれない。」
サクヤはジュウトを見て、そう呟いた。
惨劇から三日目の夜、ジュートが目を覚ました。
三人は話し合い、それぞれのやるべき事を決めた。
「僕とサクヤは南へ向かう。」
ジュートはサクヤと共に島から南方面へ行く。
それは、漂流していた場所から潮の流れを計算すると南から来た事になるからだ。当ては無い。しかし、記憶を取り戻せる何かがあるかもしれない。
「俺はカウムと北に行く。」
ジュウビは島から北方へ。
それは、以前島に来た大陸の商人から、北方の大陸に精獣と旅をする男が居たという話しを聞いた事があるからだ。
二手に分かれ、それぞれが謎を解く為の旅に出た。
どれくらいの月日がかかるか見当もつかない旅だが、またこの島で落ち合おうと言葉を掛け合い、それぞれの道を歩き出す。
「そういや、お前の分身…だっけ?何か可愛かったな。」
《おい。それはどういう意味だ?》
「怒るとこかよ?別に他意は無いぞ。」
《いいや、嘘だな。俺に似ず…そう言いたいのだろう?》
「お前…捻くれてるな。」
《お前に言われたくない》
シンゲン島を出たジュウビはこの後、一人の男と出会う。
その男に精獣と合わさる獣甲という技を教わり、修行の末に会得。
更にリクウ、リョクヒを見付け出し、契約を交わす。
それからしばらく後に、ジンセン村でミズリやイオンと出会うのだった。
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