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第1章・第8話「並大抵の事では驚きません」
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私は涙が止まりませんでした。
エデンという名の相棒…いえ、兄弟の様な存在を失ったジュウビ。駄目、悲しすぎる。
「お、お前…泣き過ぎだろ。」
とか言いながら、あんただって半べそじゃないの。でも分かるよ、その気持ち。
「な、泣いても良いんだよぉ…?」
「よ、よせって。」
あれ?ジュウビ、引いてる?
《イオン、鼻水垂れてるぞ》
「ひぃぃ?!」
私は慌てて鼻を隠したけど…もう遅いよね。早く言ってよ、ミズリ様。…だからジュウビは引いてたのか。
それにしても…ジュウビから聞いたこと、全てに驚きました。
お母さんは島の巫女でカウム様に仕えていたパワフルな人。
お父さんは島に流れ着いた記憶喪失の人。
エデンはそのお父さんに寄り添っていた獣で、ジュウビが産まれた時からずっと傍に居て、ジュウビにとってはかけがえの無い存在。
なのに謎の男に殺されてしまったなんて…。
〝全てを話した訳じゃない。イオンには協力してもらいたい…けど、全てを話して巻き込むのは…〟
《ジュウビ、お前の気持ちは分かるが、イオンはミズリとかなり近い》
〝カウム…分かってる。あいつらは信頼し合ってる。羨ましいくらいにな〟
《ならばゾルドの事を教えるべきじゃないのか?恐らく奴はミズリも狙うぞ》
〝…その時は、俺がゾルドを倒せば済む事だ〟
「ん…?」
ジュウビは今、多分カウム様と話してる。何か、私に言えない事があるのね。そうでしょ、ミズリ様。
《イオン、勘が良いな》
やっぱり。ミズリ様は何か知ってる?
《そうだな。例えば…謎の男は我らを狙って来る可能性が高い、とか》
え?!本当なんですか?!どうして…
《ジュウビと会った時の事を思い出してみろ。カウムが全ての精獣が必要だと言った…ジュウビはそう言っていたな》
た、確かに言ってました!
《それはつまり、その謎の男が普通の人間ではない事を物語っている。全ての精獣の力を使えば、この世界を破壊する事すら可能だからな》
ひぃぃ?!そん、そんな力が有るんですか?!
《有る》
じゃあいったい、その男って…
《分からん。しかし世界を揺るがすほどの事態が起こっている…そういう事なのだ》
お、大き過ぎて潰れそう…
《潰れるなイオン。お前は私の契約者だ。お前じゃないと私と獣甲できんのだからな》
「じゅうこう?」
そんな単語を前に聞いたような…そうだ、ジュウビと初めて会った時だ。ミズリ様が私に後ろを向くなと言った…あの時だ。
《そうだ》
どういう事でしょう。
《獣甲とは、我々精獣と一体化することだ》
一体化?んん?
《…本当はお前に獣甲をさせたく無い。だが、この旅で必ず獣甲が必要な時がくる》
えーと…それってやっぱり危険な事なんですよね?
《…お前に隠し事はしたくない。話せる事は話そうと思っている。…獣甲は、精神を蝕むのだ。長時間、長期間…獣甲を行えば行う程、お前の精神は》
違うのミズリ様。そうじゃなくて。じゅうこう?をしなければならない危険な相手と、戦わないといけない…そういう事なんですね?
《う、む…そうなる。…お前は獣甲が恐くないのか?》
うーん…正直分かりません。でも、ミズリ様と一体化する事については、恐くないです。だってミズリ様はいつも優しいし、私をいつも守ってくれてましたから。
《イオン…お前なら、もしかしたら…》
え?
《いや。では…明日から獣甲の訓練だな》
訓練?それは何か…辛かったりするんでしょうか?
《恐がるのはそこか。お前は本当に…》
あ。また呆れましたね、ミズリ様。
《まぁ、そこがお前の良いところでもあるがな》
褒めてます?けなしてます?
《褒めてる》
やった!
《一応》
一応?!
《飽きないな、お前は》
山の頂上から谷底へ突き落すの止めてもらえますか。
《訓練をする前に言っておかねばならん事がある》
な、何ですか?
《獣甲を行えば…見た目が人間ではなくなる》
え?あー…そうなんですか。
《あまり驚かんな》
驚きの連続ですから。もう並大抵の事では驚きません。
《ほう?ならば安心して獣甲できるな》
………ど、どんな風になるかだけでも教えておいてくれませんか?
《やはり飽きないな、お前は》
あ、そうか。だからあの時振り向くなって言ったんですね。ジュウビが普通の姿じゃなかったから。
《そうだ。何も知らずに振り返っていれば驚いて引っ繰り返っていただろ…いや、お前なら大丈夫かもしれんな》
ミズリ様…酷い…。
こうして私とミズリ様の獣甲訓練は、旅をしながら毎日数時間、行う事になりました。
ジュウビが言ってたような危険な何かがいるなら、とりあえずこの山を早めに越える事が先決ですけどね。
エデンという名の相棒…いえ、兄弟の様な存在を失ったジュウビ。駄目、悲しすぎる。
「お、お前…泣き過ぎだろ。」
とか言いながら、あんただって半べそじゃないの。でも分かるよ、その気持ち。
「な、泣いても良いんだよぉ…?」
「よ、よせって。」
あれ?ジュウビ、引いてる?
《イオン、鼻水垂れてるぞ》
「ひぃぃ?!」
私は慌てて鼻を隠したけど…もう遅いよね。早く言ってよ、ミズリ様。…だからジュウビは引いてたのか。
それにしても…ジュウビから聞いたこと、全てに驚きました。
お母さんは島の巫女でカウム様に仕えていたパワフルな人。
お父さんは島に流れ着いた記憶喪失の人。
エデンはそのお父さんに寄り添っていた獣で、ジュウビが産まれた時からずっと傍に居て、ジュウビにとってはかけがえの無い存在。
なのに謎の男に殺されてしまったなんて…。
〝全てを話した訳じゃない。イオンには協力してもらいたい…けど、全てを話して巻き込むのは…〟
《ジュウビ、お前の気持ちは分かるが、イオンはミズリとかなり近い》
〝カウム…分かってる。あいつらは信頼し合ってる。羨ましいくらいにな〟
《ならばゾルドの事を教えるべきじゃないのか?恐らく奴はミズリも狙うぞ》
〝…その時は、俺がゾルドを倒せば済む事だ〟
「ん…?」
ジュウビは今、多分カウム様と話してる。何か、私に言えない事があるのね。そうでしょ、ミズリ様。
《イオン、勘が良いな》
やっぱり。ミズリ様は何か知ってる?
《そうだな。例えば…謎の男は我らを狙って来る可能性が高い、とか》
え?!本当なんですか?!どうして…
《ジュウビと会った時の事を思い出してみろ。カウムが全ての精獣が必要だと言った…ジュウビはそう言っていたな》
た、確かに言ってました!
《それはつまり、その謎の男が普通の人間ではない事を物語っている。全ての精獣の力を使えば、この世界を破壊する事すら可能だからな》
ひぃぃ?!そん、そんな力が有るんですか?!
《有る》
じゃあいったい、その男って…
《分からん。しかし世界を揺るがすほどの事態が起こっている…そういう事なのだ》
お、大き過ぎて潰れそう…
《潰れるなイオン。お前は私の契約者だ。お前じゃないと私と獣甲できんのだからな》
「じゅうこう?」
そんな単語を前に聞いたような…そうだ、ジュウビと初めて会った時だ。ミズリ様が私に後ろを向くなと言った…あの時だ。
《そうだ》
どういう事でしょう。
《獣甲とは、我々精獣と一体化することだ》
一体化?んん?
《…本当はお前に獣甲をさせたく無い。だが、この旅で必ず獣甲が必要な時がくる》
えーと…それってやっぱり危険な事なんですよね?
《…お前に隠し事はしたくない。話せる事は話そうと思っている。…獣甲は、精神を蝕むのだ。長時間、長期間…獣甲を行えば行う程、お前の精神は》
違うのミズリ様。そうじゃなくて。じゅうこう?をしなければならない危険な相手と、戦わないといけない…そういう事なんですね?
《う、む…そうなる。…お前は獣甲が恐くないのか?》
うーん…正直分かりません。でも、ミズリ様と一体化する事については、恐くないです。だってミズリ様はいつも優しいし、私をいつも守ってくれてましたから。
《イオン…お前なら、もしかしたら…》
え?
《いや。では…明日から獣甲の訓練だな》
訓練?それは何か…辛かったりするんでしょうか?
《恐がるのはそこか。お前は本当に…》
あ。また呆れましたね、ミズリ様。
《まぁ、そこがお前の良いところでもあるがな》
褒めてます?けなしてます?
《褒めてる》
やった!
《一応》
一応?!
《飽きないな、お前は》
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な、何ですか?
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え?あー…そうなんですか。
《あまり驚かんな》
驚きの連続ですから。もう並大抵の事では驚きません。
《ほう?ならば安心して獣甲できるな》
………ど、どんな風になるかだけでも教えておいてくれませんか?
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あ、そうか。だからあの時振り向くなって言ったんですね。ジュウビが普通の姿じゃなかったから。
《そうだ。何も知らずに振り返っていれば驚いて引っ繰り返っていただろ…いや、お前なら大丈夫かもしれんな》
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