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第一章
ミノタウロスのGスポット
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「みなさん、私の顔を覚えてくださいね~」
いやチームメイトなんだから知っとるやろがい! 案の定、ティアさんとシャマーさんがケタケタと笑った。俺とナリンさんと恐らくルーナさんは笑ってない。
……過半数が笑ってないってスベったって事じゃないか?
「時間が勿体ないので今の間から三人は練習して下さい。ナリンさん、済みませんが俺の代わりに『上げろ!』て叫ぶ役を」
「分かりました。行きましょう!」
ナリンさんはウォーミングアップスペースの方へ三人を連れて行った。
「二人っきりになっちゃった……なんだか照れますね」
「カイヤさん真面目に聞いて下さい」
コールセンターでSVをしていた俺には鉄則があった。女性オペレーターさんを扱う時は、絶対に「えこひいきと性的な雰囲気」は厳禁……ということだ。男女雇用機会均等がどうのこうの言っても、オペさんはまだまだ女性が大半。そんな職場でその二つは、たやすく人間関係を壊す。たぶんエルフ関係も。
代わりと言っては何だが、男だけの場になると下ネタ大爆発しちゃうんだけどな。男子寮とか。どうなったかな、食堂。
「はい、カイヤさん真面目に聞きます。えっと……誰さん?」
「ショウキチです。これから作戦というか約束事を幾つか授けますが、究極のところ攻撃の最後の部分は貴女のアイデアに頼るかもしれないんで、そこはお願いします」
「大丈夫、任せてください!」
彼女はそういってふくよかな胸をぽよーんと叩いた。揺れる二房。(復習の時間だよ? 房はなんて読むんだっけ?)
「後半は両ウイングを置いた343で行きます。カイヤさんは真ん中のCFへ入って下さい。でも本物ではないです。偽CFです」
「偽CF?」
カイヤさんは偽物ではない、本物っぽい胸を寄せて首を傾げる。えこひいきと性的な雰囲気は厳禁えこひいきと性的な雰囲気は厳禁……。
「あちらで発展した概念です。守備時やスタートポジションはCFと同じですが、攻撃時は中盤に下がってウイングや二列目の選手を使う側へ回ります」
この反応を見る限り、こちらではまだ知られてないようだ。そりゃそうだろうなあ。
「マーカーがついて来たら空いたスペースへ味方が入り、ついて来なかったら余裕を持って前を見てプレイするスタイルです。ただ予想だけどたぶんマーカーはついてこないし、空いたスペースに誰かを飛び込ませるようなコンビネーションをいきなり発揮するのは無理でしょう。そこで……」
俺は黒板に改めてフォーメーションを描く。
「貴女は中盤に降りて、この大きく開いたウイングのどちらかにボールを預けるのが仕事になります。ウイングを極端にライン側まで開けるので必ずどちらかは空いてる筈です」
「それは良いとして……私が降りたら真ん中に誰もいなくない?」
カイヤさんは右ウイングからのセンタリングの軌道を黒板に描く。
「ええ。ですからしとめるのはCFじゃなくて……逆のウイングです」
俺は石を握ったままの彼女の手を上から掴み、描かれたボールの軌道を逆まで伸ばす。俺の肘が偶然、偶然に彼女の胸を掠める。やっ、柔らかい……。
「じゃあ柔らかいのじゃ駄目だね」
「はい!?」
「センタリング」
「あ、はい、そうです!」
やべえ心が読まれたのかと思った。
「ここへ……低くて速いボールを入れる予定です。『逆サイドのウイングが追いつけないかも?』て心配になるくらいのスピードのを」
繋がったままだと(手がね!)心を読まれそうな気がして別の石であるエリアに楕円形を描く。相手DFとGKの間だ。
「高いボールをいい感じに跳ね返されるのが一番、嫌な結果です。それを避けれるなら、そのままボールが流れて敵陣深くで相手スローインでも全然おっけーです。むしろ嬉しいくらい」
数学的に言えばスローイン時はむしろ投げ入れる側が不利だ。スロワーが外にいる分、中の人数が一人少ないのだから。まして、自陣深くとなれば一つのミスでピンチに繋がる。
「また、対応されてDFとGKのスペースが消されるようになったら、ウイングにはここまで入ってマイナスのクロスを入れて貰う予定です」
今度はゴールエリア横に描く。
「その場合はペナルティスポットより少し自陣側へ走り込んで下さい。このシチュエーションならならそのエリアが一番確率高いし、出す側も見ずに感覚で出せるので」
「スポットより浅いところ、ね」
「ええ。まとめます。一つ、中盤に降りてパスの受け手となる。オフサイドを取った後のリスタートのボールとかもお願いします。二つ、ウイングにパス。三つ、ペナルティスポット手前へ走る」
「降りて受ける……出す……スポットへ浅く……」
カイヤさんはため息を吐くような口調で反芻する。その鼓動で揺れる二房。これはもう俺アカンかもしれんね……。
「ああ、駄目だー!」
俺の声ではない。再びスタジアムを揺るがす歓声と悲鳴が聞こえたのだ。これはもう1失点したな?
「帰ってくるよ! 準備して!」
その直後に笛とどよめき。前半が終了したらしい。スタッフが慌ただしく動き出す。
「よし俺も選手交代と作戦指示……の前に自己紹介しなきゃ! カイヤさん、お願いします!」
俺はイメトレしてたカイヤさんに呼びかける。彼女ははっと我に返るとウインクして「ついてきて」と手招きした。キュートに。
いや俺は惚れない。惚れないと思う。惚れないんじゃないかな。まあ覚悟だけはしとけ……。
いやチームメイトなんだから知っとるやろがい! 案の定、ティアさんとシャマーさんがケタケタと笑った。俺とナリンさんと恐らくルーナさんは笑ってない。
……過半数が笑ってないってスベったって事じゃないか?
「時間が勿体ないので今の間から三人は練習して下さい。ナリンさん、済みませんが俺の代わりに『上げろ!』て叫ぶ役を」
「分かりました。行きましょう!」
ナリンさんはウォーミングアップスペースの方へ三人を連れて行った。
「二人っきりになっちゃった……なんだか照れますね」
「カイヤさん真面目に聞いて下さい」
コールセンターでSVをしていた俺には鉄則があった。女性オペレーターさんを扱う時は、絶対に「えこひいきと性的な雰囲気」は厳禁……ということだ。男女雇用機会均等がどうのこうの言っても、オペさんはまだまだ女性が大半。そんな職場でその二つは、たやすく人間関係を壊す。たぶんエルフ関係も。
代わりと言っては何だが、男だけの場になると下ネタ大爆発しちゃうんだけどな。男子寮とか。どうなったかな、食堂。
「はい、カイヤさん真面目に聞きます。えっと……誰さん?」
「ショウキチです。これから作戦というか約束事を幾つか授けますが、究極のところ攻撃の最後の部分は貴女のアイデアに頼るかもしれないんで、そこはお願いします」
「大丈夫、任せてください!」
彼女はそういってふくよかな胸をぽよーんと叩いた。揺れる二房。(復習の時間だよ? 房はなんて読むんだっけ?)
「後半は両ウイングを置いた343で行きます。カイヤさんは真ん中のCFへ入って下さい。でも本物ではないです。偽CFです」
「偽CF?」
カイヤさんは偽物ではない、本物っぽい胸を寄せて首を傾げる。えこひいきと性的な雰囲気は厳禁えこひいきと性的な雰囲気は厳禁……。
「あちらで発展した概念です。守備時やスタートポジションはCFと同じですが、攻撃時は中盤に下がってウイングや二列目の選手を使う側へ回ります」
この反応を見る限り、こちらではまだ知られてないようだ。そりゃそうだろうなあ。
「マーカーがついて来たら空いたスペースへ味方が入り、ついて来なかったら余裕を持って前を見てプレイするスタイルです。ただ予想だけどたぶんマーカーはついてこないし、空いたスペースに誰かを飛び込ませるようなコンビネーションをいきなり発揮するのは無理でしょう。そこで……」
俺は黒板に改めてフォーメーションを描く。
「貴女は中盤に降りて、この大きく開いたウイングのどちらかにボールを預けるのが仕事になります。ウイングを極端にライン側まで開けるので必ずどちらかは空いてる筈です」
「それは良いとして……私が降りたら真ん中に誰もいなくない?」
カイヤさんは右ウイングからのセンタリングの軌道を黒板に描く。
「ええ。ですからしとめるのはCFじゃなくて……逆のウイングです」
俺は石を握ったままの彼女の手を上から掴み、描かれたボールの軌道を逆まで伸ばす。俺の肘が偶然、偶然に彼女の胸を掠める。やっ、柔らかい……。
「じゃあ柔らかいのじゃ駄目だね」
「はい!?」
「センタリング」
「あ、はい、そうです!」
やべえ心が読まれたのかと思った。
「ここへ……低くて速いボールを入れる予定です。『逆サイドのウイングが追いつけないかも?』て心配になるくらいのスピードのを」
繋がったままだと(手がね!)心を読まれそうな気がして別の石であるエリアに楕円形を描く。相手DFとGKの間だ。
「高いボールをいい感じに跳ね返されるのが一番、嫌な結果です。それを避けれるなら、そのままボールが流れて敵陣深くで相手スローインでも全然おっけーです。むしろ嬉しいくらい」
数学的に言えばスローイン時はむしろ投げ入れる側が不利だ。スロワーが外にいる分、中の人数が一人少ないのだから。まして、自陣深くとなれば一つのミスでピンチに繋がる。
「また、対応されてDFとGKのスペースが消されるようになったら、ウイングにはここまで入ってマイナスのクロスを入れて貰う予定です」
今度はゴールエリア横に描く。
「その場合はペナルティスポットより少し自陣側へ走り込んで下さい。このシチュエーションならならそのエリアが一番確率高いし、出す側も見ずに感覚で出せるので」
「スポットより浅いところ、ね」
「ええ。まとめます。一つ、中盤に降りてパスの受け手となる。オフサイドを取った後のリスタートのボールとかもお願いします。二つ、ウイングにパス。三つ、ペナルティスポット手前へ走る」
「降りて受ける……出す……スポットへ浅く……」
カイヤさんはため息を吐くような口調で反芻する。その鼓動で揺れる二房。これはもう俺アカンかもしれんね……。
「ああ、駄目だー!」
俺の声ではない。再びスタジアムを揺るがす歓声と悲鳴が聞こえたのだ。これはもう1失点したな?
「帰ってくるよ! 準備して!」
その直後に笛とどよめき。前半が終了したらしい。スタッフが慌ただしく動き出す。
「よし俺も選手交代と作戦指示……の前に自己紹介しなきゃ! カイヤさん、お願いします!」
俺はイメトレしてたカイヤさんに呼びかける。彼女ははっと我に返るとウインクして「ついてきて」と手招きした。キュートに。
いや俺は惚れない。惚れないと思う。惚れないんじゃないかな。まあ覚悟だけはしとけ……。
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