D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第十五章

クールダウン

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 シャマーさんとレイさんを伴ってピッチへ戻ると、既にザックコーチの指導で整理運動が始まっていた。俺は2名をグランドへ送り出し、ナリンさんと合流しようと歩き出す。
「ブヒ! ショーキチ監督!!」
 そこへ一頭のオークが駆け寄ってくる。確かオーク代表のベンチにいて、マイラさんが水をバラ撒いた時に笑ってたコーチだ。
「どうしました?」
 既にドラゴンさんによる魔法無効化のフィールドは消えている。俺は翻訳アミュレットを通してオークのコーチさんへ訊ねた。
「これ、サンダー親分からの贈り物だブヒ」
「ああ、センシャの鑑賞券ですか!」
 魔法の眼鏡までは持ってきていないので文面は分からないが、渡されたチケットのようなモノを見てだいたい、察する。
「要らないってちゃんと言えば良かった……」
 ご丁寧に5、6枚はある。さっきの言い方だとプラチナチケット満員御礼になっているだろうに……義理堅い姉御だ。
「ショーキチ監督、見つからなくて探したブヒよ?」
「ああ、すみません! ありがとうございます」
「アレは何をしているブヒ?」
 オークのコーチさんはピッチで柔軟体操をしているアローズを指さして言った。
「アレは整理運動、いわゆるクールダウンってヤツです」
「それはなんだブヒ?」
「ウォーミングアップの逆の概念で激しい運動、この場合サッカードウの試合ですが、その後に心拍数を落とし熱や緊張を持った筋肉関節を冷やし、疲労が抜けやすいようにする運動です」
「ブヒイ! そんなものが」
 この世界、ウォーミングアップまでは普及している――というか50年以上前は戦争してた訳だし、流石にあるよな――様だが、科学的系統的に運動生理学がある訳ではないしな。
「試合の後はキツイ酒飲んで交尾エッチして寝るもんだと思ってたブヒ!」
「ちょ!」
 いやオークのイメージ通りだけどそんな事、大声で言わないで!
「それぞれの種族とチームでやり方があるとは思いますけど、基本的にはやった方が良いと思いますよ?」
 オーク代表はフィジカルではリーグ上位の方だ。だがその武器を大事に、そして有効に使えているとは言えない。お節介かもしれないが、俺は一言付け足さずにはいられなかった。
「そうか……。さっそくサンダー監督に言ってみるブヒ! じゃ!」
 オークのコーチさんはそう言って立ち去り……かけ、戻って俺に耳打ちした。
「(そのセンシャだブヒが……ちゃんと行った方が良いブヒよ?)」
「(えっ!? 何でですか?)」
「(ショーキチ監督が娶る予定のコックちゃん達が出店で料理を振る舞うブヒ。そこで腕前と気立てをちゃんとチェックした方が良いブヒ)」
 なんとそんな事が!
「料理もあっちも事前の味見が大事ブヒ!」
 そして舌なめずりを一つ。オークのコーチさんは駆け足で去って言った。
「あっちの味見はしませんって!」
 そう叫んだ俺の声は届いていないだろう。しかしさっきの言葉……たぶん俺の助言のお礼としての助言で、それだけに真実なんだろう。
「行くか……でも誰と?」
 俺は貰ったチケットを広げて悩む事となった。

 試合後の整理運動も終わり全員でエルヴィレッジへ帰った頃には、空は既に暗くなっていた。今日は全員で夕食を取りその後は自由解散、メディカルルームでマッサージを受ける選手もいれば自宅へ帰るエルフも、明日のオフへ向けて遊びの準備をする元気な子もいる、といった状況だ。
「ショーキチ殿、何ですかそれは?」
 俺も今日はクラブハウスの食堂で夕食をとっていた。端の方の広いテーブルにつき、食事が載ったトレイの横にチケットを置いて悩む俺に皿を持ったナリンさんが座りながら問いかけてくる。
「ああ、これがサンダー監督がくれたセンシャの鑑賞券です。見に行かないつもりでしたが、コックのみなさんがお店を出すそうなので、その料理の腕前とかは見ておいた方が良いのかな? と」
「なるほど、選抜の参考になりますものね。しかも一名じゃなくて二名ですから、大変ですよね」
「はい……」
 ナリンさんの言葉に俺は憂鬱げに頷いた。そうだ、いつの間にか二名、受け入れる事になっていたのを俺は帰路でナリンさんから聞いていた。ていつの間にかじゃなく試合直後のサンダー監督とのアレだし、通訳したのもナリンさんだしな。
「けど何名か連れていけるんで。基本的にナリンさんにはお願いしたいとして……あとは誰だろ?」
「ありがとうございます! そうですね、料理人として共に働くので料理長のラビンさん、多様な種族がいるので物知りのステフさんは必須として……」
 ナリンさんは何故か礼を言った後で指折り考えながら食堂を見渡す。
「できる範囲でですが性格とかも見たいので、そういう事の観察眼があるエルフが望ましいのですが……」
 若くして聡明、という事も無くはないが、やはり観察眼という観点では年齢がモノを言う。よってレイさんポリンさんといった若手は弾かれる。ダリオさんムルトさんティアさんは鋭い分析をするが、それぞれ王族の公務、会計、音楽活動と既にオフに予定を入れている。
「シャマーにお願いしないのですか?」
「あー彼女も予定あるらしくて」
「そうですか。でもショーキチ殿からお願いすれば……」
「なになに? どーしたの監督?」
 そこへ大量の皿を抱えたユイノさんとリーシャさんが通りかかった。
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