D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第十五章

スターシステムとの初戦

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「申し訳ございません。彼女はまだ未成年の学生です。守らなければなりません。なので質問の幾つかには自分が代理で答えます」
 俺がそう宣言すると不満の声が会見場に響いた。
「と、言いつついきなり情報漏洩しましたね。ええ、彼女はまだ学生です。王都の学校に通い勉学に勤しみながら、プロのサッカードウの選手を目指して頑張ってくれています」
 俺が自嘲気味に言葉を続けると、記者さんたちも少し笑いながらメモにペンを走らせた。
「その学校と言うのは?」
「アローズと提携している学校です。我々は『スカラーシップ制度』という仕組みを運用していまして。将来性のある若いエルフに学費や住む所を提供しつつ、学問とサッカードウを学んで貰っています。文武両道、学問でもサッカードウでもエルフ全体に貢献できる存在を育成するのが目的です。彼女と、あとポリンちゃ……選手がその一期生です」
 たぶん質問した方が知りたかったのは学校の具体的な名前だろうが、俺はわざと有利な方へ曲解して制度の宣伝を口にした。
「学業とサッカードウの両立、というのは大変ではないですか、レイ選手?」
「答えてええ?大丈夫?
 レイさんは返答する前にこちらを見て俺に確認をしてくれた。まさかそんな気遣いができる子になるなんて……お父さん、もとい監督は嬉しいぞ!
「いいよ」
「ほな! えっと、ウチはヨミケでも実家の漫画喫茶を手伝いながら学校行ってサッカー……ドウもやってたし、特にしんどいとは思わんです。むしろあっちでは教えて貰えへん勉強もできるし、クラスメイトもええ子ばっかりやし、ショーキチにい……監督とエルフ王家にはめっちゃ感謝してます! あ、でも宿題はちょっと減らして欲しいな!」
 レイさんは所々、つっかえながらも朗らかに言葉を紡いだ。その拙いながらも率直な物言いに報道陣も好印象を覚えたようだ。微かな笑い声と書き物の音が重なる。
 しかしこんな、各方面への気配りまで出来る子だったっけ?
「サッカードウのレベルはどうですか? 後半は向かうところ敵なし! といったところでしたが? 大洞穴と比べると正直、低いと感じられたのでは?」
「エルフ代表に入っていきなり中心選手になっていますよね? 昨シーズンまでのカイヤ選手に代わって、自分がチームを引っ張るという意気込みですか?」
 再び記者さんたちから際どい質問が飛んだ。よくよく聞けば言い方を少し換えただけで同じ様な内容である。こういう取り扱い注意な質問を執拗に繰り返して失言やビックマウスを誘い出そうという、まあありふれた手段と言えば手段なのだろう。
 その手に乗ってたまるか! と口を開きかけた俺の手を、左側に座るシャマーさんが机の下でそっと掴んだ。
「大洞穴やと同じ様な相手とばっか試合してて、もちろんそれで上手くなったスキルもあるんやけど、でも地上やと色んなチームとやれて勉強させて貰える事が多くてそっちの方が大きいです。後半、やり易くなったのは試合展開とかサポーターの応援のおかげかな!」
 手を握られシャマーさんの方を見ている間に、レイさんはさっさと一つ目の質問に答えてしまった。
「中心選手、言うたらずっとゴールマウスを守ってくれてるボナザさん、DFラインのキャプテンであるシャマーさん、あと精神的支柱であるダリオさんとか今日は出てへんけどリーシャさんとかがそれに当たると思います。カイヤさんはお会いした事ないけど、めっちゃええ選手やって聞いてます。ただウチとはタイプが違うんで、自分は自分のやり方でチームに貢献できればええな! と」
 続く二つ目の回答もなかなか感心なものだった。俺はそれを聞きながらシャマーさんの目と口を見て、ある事に気づいた。
「(シャマーさんの口が動いている……。もしかして、魔法でこっそりレイさんに助言とかしてる!?)」
 これは囁き女将ならぬ囁き主将キャプテンか!? チームの統率者に選ばれようとも決して悪戯娘のマインドを失わないエルフの姿がそこにはあった。
「レイ選手、ありがとうございます。シャマー選手、こういうしっかりした若手が出てきてキャプテンとしては頼もしいのではありませんか?」
 失言を狙った記者さんは残念さを必死に隠しながら礼を述べ、今度はシャマーさんに質問を振った。
「そうねー。プレイ面で言えばあと数年で、リーグ屈指のMFになると思うわ。でも素顔は本当に元気で愛らしい学生さんなのよ。可愛いからって、プライベートまで追い回しちゃダメよ? 既に学校中の男子が狙っているんだから!」
「ないないって! シャマーねえさんそんなことあらへん!」
 素早く魔法を解いたっぽいシャマーさんが答え、レイさんが顔を赤くしながら最後の部分を必死で否定する。
「なんと! ではクラスメイトに意中の方は?」
「好きなタイプは?」
 途端に一部のメディアが活気づいた。注目の開幕戦、という事で動員された、普段はサッカードウ担当ではない方々だろう。たぶん。
「試合に関する質問はもう無いようなので、これで良いですかね?」
 潮時だろう。俺がそう訊ねると、DSDKの担当者は黙って頷いた。
「みなさんのお陰で今日は素晴らしい雰囲気で試合を迎えられましたし、開幕戦を無事、勝利で収められました。ホーム2連戦、次はガンス族代表とです。熱い試合を見せたいと思っておりますので、引き続き足を運んで頂ければ幸いです」
 そんな言葉で会見を締めるとメディア陣の大半から拍手が起こった。ゴシップ狙いのマスコミたちも、流石に同じ報道陣がその姿勢だと文句は言えないらしい。諦めてそれに追従する。
 俺たちはその様子に笑顔を浮かべ手を振って記者会見場を後にした。
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