D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第二十二章

匂いによる匂わせ

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「じゃあ、ショーキチさん。元気でね」
「はい、バートさんも」
 翌朝。お手洗いからの帰り道に迷って出くわしたリストさんの部屋へ行った、という俺の言い訳をバートさんはあっさりと受け入れ、一旦分かれてそれぞれ帰国と見送りの準備をした。
 そして昼前には再び顔を合わせここ、ルーク聖林しょうりんの瞬間移動魔法陣で別れの挨拶をしているのである。
「なんかオマエ等……空気がイヤラシイな!」
 そんな俺たちの横にステフがやってきて大声で不埒な事を言う。
「そっ……」
「そんなことないって!」
 ステフを諫めようとした俺よりずっと大きな声で、バートさんが叫ぶ。
「強く否定する方が怪しい……」
 目を細めるステフに異論はあったが、俺もバートさんの過剰反応にやや戸惑ってはいた。まあ昨晩、少しイヤラシイ空気になったのは事実だし。
「……と、根拠も無く言うステフさんは昨日までの話だ! シャマー?」
「はーい!」
 急に呼びかけたダスクエルフに魔法陣の調整を行っていたドーンエルフの魔術師が答える。ちなみにここの魔法陣もルーク聖林の例に漏れず巨大な樹木の中にあり、暗く広い部屋をそれ自身の発光で照らしている。
「例の品を」
「ちゃちゃちゃ、ちゃっちゃちゃーん! 感度5000倍のくすりー!」
 シャマーさんはそう言って差し出されたステフの掌に、小さな瓶を載せた。
「感度5000倍!?」
「と言うのは言葉のアヤで、実際は嗅覚を数倍にする程度だよー。本当に5000倍になったら風のそよぎや衣服の擦れで死ぬからねー」
 なんや試した事あるんか? と言うかエッチな漫画の悪役ってやけに媚薬とその効果に詳しいよな? と益体もない事を考える俺の前で、ステフが瓶の蓋をそっと開け中から立ち上った煙を少しだけ吸った。
「それでは失敬して……」
 そう言うとステフはまず俺の側に立ち、鼻を近づけた。
「クンクンふむふむ……。ショーキチからはそんなに? いや甘い香りとジャンクな臭いが……あっ!?おまえ昨晩、菓子パお菓子パーティーしたな!?」
 そんな事も分かるんかい! あ! そう言えばインセクターのフェロモンを嗅ぎ分ける為の薬をシャマーさんにお願いしてたな? それか!
「菓子パ! 何故オレを呼ばなかったぴよ? 許せないぴい!」
「ほんまやで! ウチもしたかった!」
 珍しく祭りと聞いて我慢できず駆けつけられなかったスワッグとレイさんが脇から入ってきた。君たち本当にそういう話になると早いな!
「リストさんとクエンさんが、デニス老公会の誰と誰をどうかけるのが良いかとかを一晩中、語ってたんですよ! 俺は眠る事も許されずお菓子を貪り喰うしかなかったんだから!」
 この部分は何一つ偽りがないので、俺は堂々と無罪を訴えた。
「そっ、それはご愁傷様だぴよ……」
「ほなウチとシャマーねえさんの部屋に来たら良かったのに! まあ眠る事を許されず貪るって部分は一緒やったかもしれんけど!」
「ねー!」
 スワッグは同情を寄せてくれたがレイさんは意味深な事を言ってシャマーさんと微笑み合った。
「まあまあ。続いてアビーは、と」
 それぞれが勝手な事を言い合う中、ステフはバートさんに近寄って鼻を動かした。
「アビーじゃなくてバートって呼んで!」
「はいはい、そうだったな……んん!?」
 バートさんの指摘を軽く流しながら、ステフは眉間に皺を寄せた。今、バートさんを選手時代の名前で呼んだな? そう言えばスワッグも誰ともトモダチ手帳を更新してないし、全員古い知り合いだったのか?
「酒、全身にショーキチの匂い、汗に……あ、これは本当に話すとあれモンだからコメント控えるわ」
「「はあ!?」」
 ほぼ全員が驚きの声を出した。
「あれモンって、本当にイヤラシー事したん!?」
「詳細を教えろぴい!」
「拙者たちの前にいたのはニセモン!?」
「確かに影というか存在感は薄かったっす!」
「ノーコメント! ノーコメント!」
 詰め寄るナイトエルフとグリフォンに、ステフは首を横に振った。あのお喋りなステフがそういう態度をとっちゃったら、逆に信憑性を強めちゃうじゃん!
「そうなんだー。ショーちゃんやるじゃん!」
「違います! アレモンてのはブラジルの選手の名前で京都や横浜でも活躍したけど残念ながら……あの、バートさん!」
 ニヤニヤ笑うシャマーさんに支離滅裂な事を説明しつつ、俺は顔を赤らめて俯くバートさんに声をかけた。
「俺たち、酒を少し飲んでそれぞれお手洗いへ行って、その後は今朝まで会ってませんよね!?」 
 確かに酒を飲んでいる最中にちょっとした事があったのは事実だ。だがそれだけでステフにそんな言われ方をするだろうか?
「うん……。私は昨晩お手洗いへ行った後、ショーキチさんの部屋へ戻ったよ。で、待ったけど帰ってこなかったから残りのお酒を飲んで……ショーキチさんのベッドで……」
「おおう!? ちょっと待つでござる! バート殿が大事な事を言うでござるぞ!」
 まだ騒いでいた連中をリストさんが沈めた。それはもう、在りし日の朝まで〇テレビの田原さん並に。
「ショーキチさんのベッドで、独りで寝た。ショーキチさんの匂いに包まれてドキドキしながら。眠っちゃった後の事は……知らない」
「「おおーっ!」」
 おおーっ! じゃねえよ! 独りで寝たんだからそれで終了だろ!
「うむ。アタシの鼻もそれに嘘はないと語っている」
「で、俺の方はリストさん達の部屋にずっといた、と。まあ心と言うか魂はあの部屋に無かったかもしれませんが、身体はありましたからね。はい、それでおしまい!」
 ステフの言葉に続いて俺はそう宣言した。
「……そうなんや」
「あーなるほどっす」
「悪かったでござる」
 なんだこの空気は?
「じゃあ、そろそろ行こっかー!」
 気不味い顔をするエルフ達に、シャマーさんが明るい声をかけて呪文を唱え始め、皆が頷いて魔法陣の方へ歩き始める。
「え? どういう事? 俺にも説明を……」
「あ、ショーキチさん待って!」
 追いかけようとした俺の手をバートさんが掴んだ。
「バートさん、どうもお世話になりました。もっとちゃんとお礼を言いたいけどなんかみんな急ぐみたい……うっ!」
 急ぎ別れの言葉を紡ぐ俺の唇を、バートさんの熱い唇と舌が塞いだ。
「(ちょ!?)」
「さよなら、ショーキチさん。次に会う時は独りじゃなく……」
 バートさんは一方的にキスを中断すると、俺を輝きだした魔法エネルギーの方へ突き飛ばした。
「え? 何です!?」
 ぎりぎりまで何か訊ねようとした俺の視界を、魔法の光が覆った……。
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