D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

文字の大きさ
427 / 700
第二十四章

頭を突き合わせて

しおりを挟む
 ゴルルグ族の監督、マースさんとデュースさんとジョーさんはものの見事に三つの首を見合わせて悩んでいた。
 彼或いは彼らの思考はある程度読める。アローズの体調不良、これはブラフ騙しではなく真実であることを知っている。ホテルから情報が逐一、報告されているからだ。
 である以上、俺が言ったように感染の危険を犯してまで試合をする必要はない。大人しく3-0の勝利を受け入れるべきだ。
 一方でゴルルグ族の基本方針として他種族は叩きのめしたい。できるだけボコボコに。それが相手の弱味につけ込んでとならば尚更だ。不戦勝ではゴルルグ族民感情は納得しないだろう。
 とは言え感染は怖い。試合を強行して病が蔓延した時、より大きな損をするのはゴルルグ族だ。残留だけを目指すアローズと違いゴルルグ族は上を目指している。目先の感情に囚われるべきではない。
 そうそう上を目指すと言えば得失点差も重要なファクターだ。サッカードウもごく一般的なリーグと同じで勝ち点が並んだ際には得失点差がモノを言う。今回のアローズ戦はそのボーナスタイムかもしれない。
 しかし気になるのはエルフ代表が自ら自分たちの情報を開示した部分だ。普通そんな悪い情報は隠したがるものだ。自分たちゴルルグ族なら間違いなくそうする。だがエルフは隠さなかった。何か裏があるのかもしれない……。

 恐らくだが、だいたいそんな感じの思考が三つの頭の中をぐるぐる回っているようだ。
「あと30分以内に決めて貰えば一番、被害が少ないですかね?」
「なに? そんなにすぐに!?」
 俺がベノワさんの隣で外を見ながらそう言うと、ジョーさんが驚いた声を上げた。
「確かに。開催の準備が進み観客が入ってしまうと、また片づけと退場が面倒であろうな」
 ベノワさんは俺がいるのと反対の方向に首をやって、同じくスタジアム内の様子を見ながら言った。
「失礼します。もし監督の一任で決めかねるのでしたら、そちらのサッカードウ協会の方と急ぎご相談されてはどうでしょう? こちらは、私とショウキチ監督との間で常に繋がっておりますが……」
 ダリオさんが割り込む詫びを入れてからそう伝える。親切心からの助言に聞こえるが、何気にとっとと決めるかそれが無理なら上に聞いてこいとプレッシャーをかけているのである。
 相手に決めて貰うのだから考える時間をじっくり与えよう、というのは善人の考えだ。俺も相手が友人であればそうしただろう。だがサッカードウは容赦ない争いだ。善人には少し眠って貰う必要がある。
 と言うかそもそも友人相手にこういうムーブは絶対にしちゃいけないからね? 自分で考えるのが面倒だから相手に全部決めさせよう、でも時間を切って急いで考えさせようなんて最悪だから!
「いや、構いません。開催しましょう」
 マースさんが首を左右に振って――手の使用権は無い首なのかな? なんか一番大変そうなポジションなのに――言った。
「協会への相談は良いのか?」
 案の定デューさんが異論を挟む。
「アイツらに相談すると、またその中で議論になるだろう。そうこうする間により時間が無駄になる」
「そうだそうだ! アイツら、無駄に偉そうに議論しやがる!」
 マースさんの返答にジョーさんも便乗する。改めて見ても面白い風景だ。俺も心の中で複数人格を作って相談する、みたいな事をやっても良いかもしれない。
「……そうか。エルフ側もDSDKもそれで宜しいか?」
 多数決で負けたか納得したか、デューさんが俺たちに問う。
「はい」
「両者で合意がなされたなら、DSDKも開催に動くまでだ」
 俺は真面目な顔で頷き、それを見たベノワさんも首を縦に振りつつ言った。
「ただ先ほど申し上げた様に被害が拡大する可能性もあります。申し訳ありませんが、我々のロッカーやウォーミングアップスペース等は広く、みなさんとの距離も広くとって頂けますか?」
 厚かましいにも程があるが、集団衛生を考慮する上では当然の要求を俺は付け足す。
「うむ。それについては手配して、後ほど下の者から連絡させよう」
 デューさんが即決で回答する。彼は徹頭徹尾、紳士だ。優しい担当なのかな?
「ありがとうございます。難しい状況ですが良い試合をしましょう。……本来ならここで握手でもしたい所ですが、俺も隠れ感染者かもしれないので」
 俺はそう言って深々と頭を下げる。追従するようにナリンさんとダリオさんも同じ動作をした。俺が目下のところ無事なのは地球にいた時の予防接種のお陰かもしれず、エルフと免疫とか体質が異なるからかもしれない。どちらにせよキャリア保菌者である可能性はある。
「ではこれで」
「こちらも準備に戻ろう」
 頭を上げるとゴルルグ族の監督とドラゴンが別れを告げ、それぞれの方向へ去って行った。それを見送るナリンさんとダリオさんの後ろ姿を見ながらふと考える。
 同じエルフと言ってもデイエルフとドーンエルフでかなり体つきが違う。デイエルフはほぼ全員が細身で引き締まっている。ドーンエルフはそれに比べて柔らかい印象で、そもそも個体差が激しい。そういった外観で分かる違いは知っているが、俺はエルフの体組織をどの程度、理解しているのだろうか? もしかしたらちょっとドン引きするような検証をする必要があるかもしれない。
 そしてそれを提案するなら今、彼女たちに、だ。
「ナリンさんダリオさん、今回の件で俺の知識不足が発覚しました。エルフの文化的に受け入れ難い提案かもしれませんが、それも含めて相談させて下さい」
「はい?」
「大丈夫です。何でも言って下さい」
 俺がそう問うとダリオさんが首を傾げナリンさんがいつものように迷い無く応えた。
「今度、貴女達の身体を隅々まで調べたいのです!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...