D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第三十五章

何時でも何処でも仕事

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 アリスさんの件が片づいた後、俺は幾つかの仕事と連絡を終えて早々に自宅へと帰った。
 時間で言えばまだ夕方前だがチームは夜には帰国し、寮住まいの選手などはクラブハウスへやってくる――クラブハウスと選手寮は隣の建物で、食堂やお風呂はクラブハウス側にしかない――だろう。それに出くわすと色々と面倒だ。さっさと退却するに限る。
 そもそも今日はオフの日でもあるしね。この時間に帰っても許される筈だ。と言うことはセンシャに参加している選手たちは休日出勤なのか!? となるがそこはそこ。彼女らの方は明日もオフである。敗戦した場合はセンシャも含めて二日空くという事は前もって決めてあった。前回の敗戦時はデニス老公会に拉致されていたので、体験するのは初めてだけど。
 そうなってくると今度はスケジュールがキツキツになるが、安心して下さい。ドワーフ戦は月曜日に入ってますよ! だ。
 そう、ドワーフ戦はアローズ初の『マンデー・ナイト・フットボール』である。一試合だけ月曜に回して全大陸に中継して、注目を集める大一番なのだ!
 もともとエルフVSドワーフは『エルドワクラシコ』と称される重要な試合ではあったが。しかし今シーズンはプレシーズンマッチで先にやってしまっているし、盛り上がるのはエルフとドワーフが中心で他の種族はそこまでだし、いっちょ月曜に回して人気度を上げてみよう! みたいな目論見なのだろう。DSDKも色々と考えているんだよ。
 ともかく。そんな訳で日程は依然として厳しいもののややマシで、しかも後ろにずれるのでイベントを仕込む余裕もできた。逆にドワーフ戦後からアウェイのミノタロス戦までがしんどいのだが……それはまた考えよう!
「久しぶりに静かな夜を楽しみますか!」
 持ち帰りの仕事用書類を抱えつつ家に着いた俺は、そんな風に自分へ気合いを入れつつ階段を登った。


 万年雪山の上に月が登った。シソッ湖の水面はその月の銀と王都の灯りを照らして眩しいくらいだ。とは言え書類が読めるほどではないので、俺は風呂の横のテーブルに置いたランタンで資料を照らしてノンビリとそれを眺める。
「あ、ドワーフの鉱山も温泉があるんだっけ? 前はそこまで余裕なかったから、今度はいきたいなあ」
 つい、思考がわき道へ逸れる。しかし風呂に浸かっている状態ならそれも致し方ないだろう。そう、今の俺は大仕事を終え自宅の風呂を楽しんでいるのであった。
 数時間前、家へ帰った俺は真っ先に寝室の寝具類をまとめて洗濯籠へ放り込み、外へ出した。シンディさんとターカオさんは一応シーツ類を畳んで脇へ積んでおいてくれたが、なんとなく気配は残っていたのだ。それを洗濯へ出すのは当然なのだが、土足で踏みつけた客人用の寝具もやはりクリーニングするべきだし部屋も結構、放置気味で荒れ始めていたし……。
 とどのつまり、急に気になって自宅の大掃除をやってしまったのである。俺の家は巨木と船が絡み合ったようなツリーハウスだ。非常に格好良いし落ち着くし最高なのだが、一人暮らしにはちと部屋数が多い。全てをとりあえず納得いく程度に綺麗にした頃には汗だくになり、空は暗くなっていた。
 そこで……俺は風呂へ入る事にしたのだ。幸い、替えの寝具や衣服については一人分くらいはある。俺は大掃除で汚れた服を後日持って行く用の洗濯物の上へ放りなげ、裸になって湯を満たした湯船に身を沈めた。
 途中で
「風呂に浸かりながら資料に目を通すだけはしよう」
と思ったのは、監督として意識の高さと言って良いだろう……。

「これくらいなら何時もの『ナイトエルフ頼みのクソサッカー』で良いかなー」
 気が緩くなった俺は、思わず以前も少し漏らした単語を使う。この『○○頼みのクソサッカー』、基本的には負けたチームのサポーターが勝ったチームへ向かって放つ悪口で、○○には主に外国の名前が入る。
 自国の選手で引きこもって守り、攻めは前線に並べたクオリティの高い外国籍の選手に任せる、というやり方はその国の選手のレベルによっては非常に有効なのだ。もちろん、その前線を揃えるだけのスカウト能力と財力が必要ではあるが。
 で、そんなチームに負けたチームのサポーターとしては何となく相手がサッカー的に志低そうに思うし、財力が羨ましいし、そんな悪口を言ってしまう……という仕組み。
 アローズの場合、外国籍の選手というのがナイトエルフに置き換わる。もちろんやってるサッカードウは引いて守ってカウンターではないのだが、デイエルフとドーンエルフの連中でプレスをかけて奪った後、クエンさんがパスを展開しレイさんがチャンスを作りリストさんが決めるという流れが非常にそれっぽい。
 あとナイトエルフの三娘はサッカードウスキルも見た目も独特で、気分的にはやはり助っ人外国籍選手に近いというのもある。性格的にはかなり打ち解けていて、もはや区別はないのだが。
「ドワーフ相手だと特にはまるんだよなあ」
 俺はプレシーズンマッチでのデータを確認して苦笑いを浮かべる。その言葉通り、ドワーフはたぶんナイトエルフに弱い。あの土の種族は真面目で根性があるのだがその分、頭が固い。地下のエルフたちのトリッキーさに良いように翻弄されがちなのだ。
「おおっと!」
 ちょうどそんな事を考えている時に、俺はレイさんのフェイントで体勢を崩したドワーフDFのようバランスを崩し、資料を地面に落とした。
「あわわ!」
 湯船のすぐ横の大地は、風呂に入った時に溢れ出たお湯で濡れている。書類をそこから救出しようと手を伸ばして俺はあることに気づいてしまった。
 大地が揺れている! つまりさっきのは俺が安定を失ったのではなく、世界の方に原因があったのだ!
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