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第三十七章
降り注ぐ水と音
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「へっへっへ。活躍はできねえしカードも貰うし、挙げ句にあの餓鬼のボールを頭に喰らって交代になるし。私もヤキが回ったかと思ってたけどよ、とんだご褒美が最後に待ってたって事だな!」
スポーツブラ姿になったティアさんはそう言ってカッカッカと笑った。下着にネックレスという言い方をすれば扇情的な姿だが、そこまであまりエッチさが無いのは何故だろう? もしかして俺もリーシャさんと同じく『スポーツブラだからエロくない』派に加入してしまったのか!?
「俺なんかがご褒美になりませんよ! てか頭部に衝撃を受けて下がったんだから、大人しくしていて下さい!」
そんな内心を吐露する訳にもいかないので、俺は常識を説いて暴走SBを止めに入る。
「そうか? はっきりとは見えないけど、良いケツをしてるぜ? 湯気で所々が隠れているのがまた絶妙にエロいと言うか……」
一方、ティアさんの方は何も気にする事なく、言いたい事を言う。臀部を褒められた事は光栄でトレーニングの成果が出ていると喜ぶべきだが、これ以上を見られては困る!
「み、見ないで下さい!」
俺はお湯の量が減って見通しが良くならないよう、念の為に壁のボタンを再び押した。スクリーンの音量調整は出来るのにシャワーはオンオフしか無いなんて不便な設備だ。
「見られたくないなら、お前が目を閉じてろよ。なーに、ささっと済ませてやるからよ!」
しかしティアさんは良く分からない理屈を述べて中へ入ってくる。頭上から降り注ぐお湯が彼女の全身を濡らし、スポーツブラが身体に張り付いた。
「何を済ませるんですか!?」
「心配すんな! 私はシャマーやツンカと違って彼女になりたいとかじゃないんだ。ただの女と男として、一度くらい味見を……」
『クローズユアアイしておいでよ~♪ 他の奴と違うから~♪』
『目を閉じて~♪』
と、頭上から言葉は分からなくても明らかにキーが外れているのが分かる歌声が聞こえてきた。
「なんだぁ? この音痴!」
ティアさんも思わず見上げる。その視線の先のスクリーン上ではテル&ビッドが気持ち良さそうに歌っていた。ハーピィ戦、と言うかバード天国からまあまあ経つが、こっちの方はあまり成長してないなあ。
「歌聴かせるってレベルじゃねーぞ!」
青髪のエルフはそう憤る。なるほど、ミュージシャンでもあるティアさんにからしたら到底、許せる下手さ加減ではないのだろう。あ、レベルと言えば!
『ほら、慣れた耳より~♪』
「ティアさんごめん!」
「は?」
『『『ここがどこか!! 分かるから!!』』』
謝りながら俺は操作盤の音量レベルを最大にした! 直後の歌のサビでテル&ビッドがシャウトし、シャワー室にとんでもない音量の声が響きわたる!
「痛てええええ!」
それを不意打ちで聴いてしまったティアさんが、思わず両耳を塞いでうずくまる。俺はその脇をすり抜け、服をひっ掴みながら部屋を飛び出る。
『目を閉じて~♪』
エルフとドワーフコンビの声は廊下でも余裕で聞こえた。それを聞いてやってきた誰かと遭遇すると色々と面倒だ。
「なんかこの手段で脱出するの、シャマーさんの時に続いて二度目だな。そろそろ防犯ブザーでも常備しようか……」
エルフは耳が良いが、時にそれが弱点になる。以前も大音量を浴びせてシャマーさんを怯ませ、危機を逃れた事があるのだ。俺はそんな事を呟きつつ、急いで服を着ながらその場を後にした……。
「ショーキチ殿、お帰りなさいであります!」
既に後半が始まったピッチを見ていたナリンさんがそう言って、ベンチ前へ帰ってきた俺を迎えた。
「すみません、結局ハーフタイムはノータッチになってしまって……」
俺はベースボールキャップを軽く持ち上げて頭を下げる。あの後、俺は監督室へ戻り別の予備の服――頭から酒や牛乳をかけられた経験があるので、かなりの枚数を用意している――を着てからロッカールームへ向かった。
もちろん、そんな風に時間をかけたので当然そこはもぬけの殻だった。ただ誰かが俺をからかう為に用意した帽子をゲットする事だけはできたのだ。そのお陰で、変な髪型になっている上にまだ濡れている頭部を隠すことは出来ているのである。
「いえ。士気もシステムの方も問題ないようであります。早速、レイが得点を上げましたので!」
そう明るく告げるナリンさんに促されピッチの方を見ると、件のナイトエルフを中心に歓喜の環が形成されていた。そのバックには項垂れるドワーフチームとサポーター達。もはやデジャブすら感じる風景だ。
「はやっ! 誰のアシストですか?」
「ポリンであります!」
そう応えるナリンさんの顔は非常に嬉しそうだ。その喜び方から単純に可愛い従姉妹の活躍というのではない、それ以上の何かがあるのを察する。
「このこの~。どんなマジックを使ったんですか?」
「いえ、マジックではなくロジックであります!」
こういう時は素直にノッてあげるのが良い上司だろう。俺はわざとらしく悪い顔をしてナリンさんを肘でつつき、彼女に解説を促した。
「ジノリコーチの差配でありますが……」
ナリンさんはそう言いながら作戦ボードを持ち上げ、さっそく説明を始めた……。
スポーツブラ姿になったティアさんはそう言ってカッカッカと笑った。下着にネックレスという言い方をすれば扇情的な姿だが、そこまであまりエッチさが無いのは何故だろう? もしかして俺もリーシャさんと同じく『スポーツブラだからエロくない』派に加入してしまったのか!?
「俺なんかがご褒美になりませんよ! てか頭部に衝撃を受けて下がったんだから、大人しくしていて下さい!」
そんな内心を吐露する訳にもいかないので、俺は常識を説いて暴走SBを止めに入る。
「そうか? はっきりとは見えないけど、良いケツをしてるぜ? 湯気で所々が隠れているのがまた絶妙にエロいと言うか……」
一方、ティアさんの方は何も気にする事なく、言いたい事を言う。臀部を褒められた事は光栄でトレーニングの成果が出ていると喜ぶべきだが、これ以上を見られては困る!
「み、見ないで下さい!」
俺はお湯の量が減って見通しが良くならないよう、念の為に壁のボタンを再び押した。スクリーンの音量調整は出来るのにシャワーはオンオフしか無いなんて不便な設備だ。
「見られたくないなら、お前が目を閉じてろよ。なーに、ささっと済ませてやるからよ!」
しかしティアさんは良く分からない理屈を述べて中へ入ってくる。頭上から降り注ぐお湯が彼女の全身を濡らし、スポーツブラが身体に張り付いた。
「何を済ませるんですか!?」
「心配すんな! 私はシャマーやツンカと違って彼女になりたいとかじゃないんだ。ただの女と男として、一度くらい味見を……」
『クローズユアアイしておいでよ~♪ 他の奴と違うから~♪』
『目を閉じて~♪』
と、頭上から言葉は分からなくても明らかにキーが外れているのが分かる歌声が聞こえてきた。
「なんだぁ? この音痴!」
ティアさんも思わず見上げる。その視線の先のスクリーン上ではテル&ビッドが気持ち良さそうに歌っていた。ハーピィ戦、と言うかバード天国からまあまあ経つが、こっちの方はあまり成長してないなあ。
「歌聴かせるってレベルじゃねーぞ!」
青髪のエルフはそう憤る。なるほど、ミュージシャンでもあるティアさんにからしたら到底、許せる下手さ加減ではないのだろう。あ、レベルと言えば!
『ほら、慣れた耳より~♪』
「ティアさんごめん!」
「は?」
『『『ここがどこか!! 分かるから!!』』』
謝りながら俺は操作盤の音量レベルを最大にした! 直後の歌のサビでテル&ビッドがシャウトし、シャワー室にとんでもない音量の声が響きわたる!
「痛てええええ!」
それを不意打ちで聴いてしまったティアさんが、思わず両耳を塞いでうずくまる。俺はその脇をすり抜け、服をひっ掴みながら部屋を飛び出る。
『目を閉じて~♪』
エルフとドワーフコンビの声は廊下でも余裕で聞こえた。それを聞いてやってきた誰かと遭遇すると色々と面倒だ。
「なんかこの手段で脱出するの、シャマーさんの時に続いて二度目だな。そろそろ防犯ブザーでも常備しようか……」
エルフは耳が良いが、時にそれが弱点になる。以前も大音量を浴びせてシャマーさんを怯ませ、危機を逃れた事があるのだ。俺はそんな事を呟きつつ、急いで服を着ながらその場を後にした……。
「ショーキチ殿、お帰りなさいであります!」
既に後半が始まったピッチを見ていたナリンさんがそう言って、ベンチ前へ帰ってきた俺を迎えた。
「すみません、結局ハーフタイムはノータッチになってしまって……」
俺はベースボールキャップを軽く持ち上げて頭を下げる。あの後、俺は監督室へ戻り別の予備の服――頭から酒や牛乳をかけられた経験があるので、かなりの枚数を用意している――を着てからロッカールームへ向かった。
もちろん、そんな風に時間をかけたので当然そこはもぬけの殻だった。ただ誰かが俺をからかう為に用意した帽子をゲットする事だけはできたのだ。そのお陰で、変な髪型になっている上にまだ濡れている頭部を隠すことは出来ているのである。
「いえ。士気もシステムの方も問題ないようであります。早速、レイが得点を上げましたので!」
そう明るく告げるナリンさんに促されピッチの方を見ると、件のナイトエルフを中心に歓喜の環が形成されていた。そのバックには項垂れるドワーフチームとサポーター達。もはやデジャブすら感じる風景だ。
「はやっ! 誰のアシストですか?」
「ポリンであります!」
そう応えるナリンさんの顔は非常に嬉しそうだ。その喜び方から単純に可愛い従姉妹の活躍というのではない、それ以上の何かがあるのを察する。
「このこの~。どんなマジックを使ったんですか?」
「いえ、マジックではなくロジックであります!」
こういう時は素直にノッてあげるのが良い上司だろう。俺はわざとらしく悪い顔をしてナリンさんを肘でつつき、彼女に解説を促した。
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