高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】

きど

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第四話

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「はぁっ…んっ」

月明かりだけに照らされた私室の中、自分のくぐもった声が虚しく響く。
何度果てても、冷めない体の熱を少しでも逃がそうと、とめどなく愛液を溢す後孔に指を入れ自分を慰める。

「んっ…アーシュっ…あっ」

好きな人を思い浮かべ自分の弱い所を的確に攻め上げれば、体は快感をもっと得ようと自分の指を締め上げる。

「もっとぉ…アーシュ、好きぃ」

快楽を得ることだけしか考えられなくなり、誤魔化しのない本能のままの言葉が口をついて出てくる。

「好きぃ…あっ、はぁっ」

中に挿れてる指の注挿のスピードを早めていけば体はいとも簡単に高みに上り詰める。自身のものから白濁を、後孔からは更に愛液が溢れ出すのを感じながら僕は意識を手放した。遠くでカチャリと扉が開く音が聞こえた気がした。


「あっ…はぁっ…ひぁ」

体を貫く圧倒的な快感に落ちていた意識が引き戻される。自分の口からは快感に応える様に嬌声があがる。

「もっとぉっ…ひっ、あっ、あっ」

快感が欲しくて、もっとと強請れば脈打つ熱に弱い所が攻め立てられて体が弓形になる。

「ここ、相変わらず弱いね。ヴィル。」

「アーシュっ!…んくっ、アーシュっ!」

固く閉じていた瞳を開くと、僕を愛おしそうに見つめる藍色の瞳と視線が交わる。そのことが無償に嬉しくて愛おしい人の名前を夢中で呼ぶ。そうすると、アーシュが応える様にキスを落とす。

「んっ…ふぅ…んあっ…ふっ…もっとぉ」

「可愛い。いっぱい俺をねだって。」

唇の隙間から舌を差し込まれ、歯列をなぞり
舌を絡めとられれば体がズクリと疼く。舌を強く吸った後、唇が離れつぅっと銀の糸が二人の唇を繋ぐ。

「頭…撫でて」

「ヴィル。俺の可愛いヴィル。」

「…ひぁ、やぁっ」

この間執務室で、カリーノの頭を撫でていたことを思い出しそれを強請る。アーシュは愛を囁きながら優しく頭を撫でた後、先程よりも強く腰を強く穿つ。

「アーシュっ…もぉっ」

「イッていいよ。何度でも。」


アーシュはピストンをしながら、僕自身を柔らかく握り扱いていく。

「はぁ、アーシュっ。…イく。」

「俺もっ」

前と後ろ両方の刺激により僕はあっけなく果てる。そしてアーシュも僕の中で熱を爆ぜさせる。その残滓を一滴も残らず絞り取ろうと体が彼のものを締め上げる。

「…お腹、あっつい。…もっとちょうだい。」

「もちろん。発情期が終わるまで何度でも。ヴィル、誰よりも愛してる。」

アルファ特有の長い射精を腹の奥で受け止めるも、体はもっともっとと貪欲に求めて熱も冷める気配はない。
アーシュから与えられる快感が、囁かれる愛がもっと欲しくて、彼の頬に手を添えそう願う。そうしたら、アーシュは僕の手に手を重ね合わせ、最上級の愛を僕にくれる。

あぁ、このまま、ずっと愛されていたい。
僕は熱で思考もままならない中、それだけを強く願った。

* * *

「殿下、お目覚めになりましたか?」
暖かな心地よさの微睡みから覚めると、普段と何一つ変わらないアーシュがベッドサイドに立っていた。

「…発情期の間は僕に、近づくなと言っていただろう。」

「はい。なので、終わった頃を見計らって参りました。僭越ながら、殿下をお風呂には入れさせていただいております。」

状況を理解すると、アーシュに抱かれたことは発情期の都合のいい幻想だったのだと思い知る。発した自分の声が大分枯れていて、喉も心なしか痛む。

「また勝手なことを。」

「発情期が明けたばかりの乱れた姿を他の者に見せる訳にはいきませんので。殿下、お声が辛そうですが、お身体は怠くはありませんか?」

「腰が重だるいだけだ。他は何ともない。」

番候補らしく、一応体は気遣ってくれる。
本当は後孔にまだ何か入っている様な感覚はあるが、さすがにそれは言いたくはない。

「そうですか。では、明日の使節団との面会は問題はありませんね。明日は、殿下とカリーノ殿下の他に番候補の私とレトア卿も同席いたしますので。」

「…分かった。」

現実のアーシュは、僕を愛おしそうに見つめることもなければ、愛の言葉を伝えることなく、淡々と要件を伝えていく。
それを苦々しく思い表情が歪む。

「明日の面会時には、その様なお顔はお控えください。相手は大国からの使者ですので機嫌を損ねる訳にはいきません。」

「……」

「では、私からは以上になります。
朝のご準備があるでしょうから、失礼させていただきます。」

誰のせいだと思っているんだと半ば八つ当たりにも似た気持ちが湧き無視すると、アーシュは僕の機嫌をこれ以上損ねない様に気を回してしまう。

僕がどんなに拒絶しても一歩も引かないくせに、肝心なときに踏み込んでこない。

「あんな奴、嫌いだ」

アーシュの出て行った扉を見つめ
気持ちと正反対の言葉を自分に言い聞かせる様に呟いた。




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