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第二話
しおりを挟む入学式の次の日
なぜか今まで私と一緒に登校していたキヒヤは何を思ったのか突然、ラノンと登校するようになった。
その頃かな?キヒヤへの恋心に気づいたのは…
私の数メートル先をキヒヤとラノンが楽しそうに登校している姿を見て、私の胸は締め付けられ、私は目に涙をためながら登校した。
その辺りからキヒヤは何故か私の連絡も無視するようになり、たまにしか返信が返ってこなくなった。
キヒヤに話しかけても愛想のない返事だけで目も合わせてくれない日が続き、寂しくて泣きそうになったが、何故かいつもタイミング良くそういう時にはミネトが私のそばにいてくれるようになった。
M「アノンってさ?ラノンと双子なの?」
ラノンと同じクラスになったミネトは入学して何週間も経ってから初めて私にそう問いかけて来た。
A「あぁ…うん。」
M「へぇ~でも、全然似てねぇな?」
確かに私とラノンは性格や雰囲気は真逆だが、顔は誰が見ても瓜二つだというほどよく似ている一卵性の双子で、逆にミネトのようにそう言う人の方が珍しい。
A「…ラノンは私と違って明るくて友達も多いし人なつこいから周りから人気もあるからね…」
M「ふ~ん。でも、アノンはラノンとは違って俺と友達なんだからそれでいいじゃん?俺、入学してすぐに学年の人気者になったんだぜ?まぁ、アノンの幼なじみのキヒヤも俺と肩並べて人気だけど。アノンってさ…キヒヤのこと好きなの?」
ミネトは私の顔を覗き込むようにしてそう問いかけた。
A「え!?急になに!?」
M「入学式の次の日、キヒヤとラノンが一緒にいるとこ見て泣いてたからさ…好きなら早く告っちまえよ!」
ミネトとはそんな話をしながら仲良く過ごす時間が増え、私たちはいつしか毎日一緒に過ごす親友になっていた。
中2になった時くらいにはキヒヤからの連絡は完全に途絶え、喧嘩をしたわけでもなく怒らせたわけでもないのはずなのに、キヒヤはいつしか私のことを避けるようになった。
私はそれが子供心に物凄く悲しくて耐えられず、泣きながら部活帰りのキヒヤを呼び止めて問い詰めた。
A「キヒヤ!…なんで私のこと避けるの?私…キヒヤになんかした?」
K「別にそんなんじゃないから。」
A「じゃなんで?なんでラノンとは毎日登校するのに私とはしてくれないの!?」
K「アノンは俺がいなくても楽しそうにしてるじゃん…それとも俺はミネトがいない時の穴埋めわけ?」
A「そんなわけ…」
K「あんま話しかけないでウザいから。」
私はキヒヤのその言葉に深く傷つき…それからキヒヤとは一切、口を利かなくなった。
そして、次の変化があったのは私たちが中学3年生の春だった。
相変わらず私はキヒヤともラノンとも口を利かない日々を過ごしていた。
そして、ミネトと一緒に登校していたある日…
キヒヤとラノンが手を繋いで学校へと登校していた。
それを見て気づいたんだ…2人は付き合ったんだなって。
すると、横にいたミネトがまた、あの日みたいに私の腕を引きながら言った。
M「しんどい時は無理したらダメだからな?今日はもう…学校サボるか!?」
そう言ってミネトは無言で涙を流す私の腕を引いて学校とは逆の方向へと向かった。
そして、連れていかれた場所は…
A「カフェ?」
M「俺の幼なじみのじいちゃんがやってる店なんだ。その幼なじみはここでパティシエになるために高校を中退して今はここで料理やお菓子作りの手伝いしてる。成人して高卒認定が取れたらパティシエの勉強もして店出すのが夢なんだって。」
A「へぇ…すごいね。」
ミネトはそう言って私の腕を引いたままそのカフェへと入った。
M「ユサくんやっほー!」
Y「やっほー!!じゃねぇよ。学校は?お前受験生だろ?また、サボったのか?」
そこにいたのは少し無愛想で怖そうな印象の男性だった。
M「今日はこの子のためにサボったんだよ。ねぇ、ユサくん!ユサくんの得意なパンケーキ作ってよ!」
Y「都合のいいように言いやがって。」
M「この子さ?アノンって言うんだけど、大好きな幼なじみを双子の姉に取られちゃってさ~落ち込んでるんだよね。甘いものは人の心を癒すんだってユサくん言ってたじゃ~ん!だからアノンの傷ついた心を癒してあげてよ~。」
Y「面倒くさ。まぁ、適当に座って待ってろ。」
少し冷たそうな顔をしたそのユサという人はチラッと私を見ながらキッチンの方へと向かった。
M「あの人、あぁ見えて悪い人じゃないから。どっちかといえば良い人?」
ミネトは笑いながらそう言うと、私のことを笑わせようとしているのか、何気ない話をしながらいつもより戯けてみせていた。
しばらくするとユサさんが可愛いお皿にふわふわのパンケーキを乗せて持ってきた。
Y「はい。お待ちどうさん。」
A「うわぁ…美味しそう!ユサさんありがとうございます。」
ユサさんはミネトの横に座ってテーブルに肘をつき、じっと私を見て言った。
Y「ユサでいいよ。敬語も使わなくていい。これも俺が奢ってやる。だから、辛い時に無理して笑おうとするな…見てるこっちが辛くなる。ほら、早く食え。」
特別めちゃくちゃ優しい言葉ってわけでもなく、無愛想なその顔に優しい笑顔もない。
なのにユサのあの言葉でぶわぁっと涙が溢れ出して、涙でぐちゃぐちゃになりながら食べたあのパンケーキの味は今でも忘れられない。
それが私とユサの出逢い。
つづく
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