愛を知らないキミへ

樺純

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第一話

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「ごめん。遅くなった。」

「アノン…遅刻とはいい度胸してんな?」

ユサは飲み物を作りながら私をみて鼻で笑いそう言った。

A「ごめん。でも、ユサだっていつも私に任せっきりで遅刻してんじゃん?」

Y「俺はここのマスターだからいいの。アノン…お前は俺に雇われてるんだ。勘違いすんなよ?さっさと着替えてこい。」

私は口を尖らせてユサに僅かの反抗をしながら裏に行き、エプロンを付けてカウンターに出るとチラッと私を睨むユサがいた。

A「ごめんってば。」

Y「まぁ、いいけど。」

そう言いながら私に飲み物を渡し、私は少し離れた場所に座るお客様にそれを出した。

カウンターに戻りグラスを洗っているとユサが店内の様子を伺いながら私の横にきた。

Y「なんかあったのか?」

A「ん?うん………ラノン…結婚するんだって……」

私の言葉にユサは一瞬、動きを止めグラスを洗いながら話す私をジッとみつめる。

A「私の初恋の人とするんだって…同じ人を好きになるなんてやっぱり双子だよね。」

Y「だな。」

ユサはそう笑いながらお客さんの呼び出しに応えテーブル席へと向かった。

私の人生は今考えれば子どもの時から少し不器用で孤独だったのかもしれない。

私は双子として生まれ、ラノンという双子の姉がいた。

我が家の隣りの家には同い年のキヒヤという男の子がいて、産まれた時から私たち3人はの兄弟ように育った。

幼い頃の写真には当たり前のように、キヒヤは私と手を繋ぎ寄り添っていて、私たちの笑顔が数えきれないほどアルバムに貼ってある。

だが、自我が目覚め始めた5.6歳の頃だろうか?

少しずつ私とラノンの関係は変わっていった。

なんでも器用にこなし覚えの早かったラノンと何事もする事が遅く不器用だった私。

両親は次第に私とラノンを比べて評価することが増えていき、両親はラノンばかりを特別扱いし、私の存在なんてないかのように私は家の中で孤独感を感じていた。

しかし、キヒヤはいつもラノンよりも先に私の名前を呼び私の元に駆け寄ってきてくれた。

それが私にしてみてればとても嬉しくてまるでキヒヤにとって特別な存在にかのよう感じていた。

そして、小学生になった頃には私は両親に反抗するかのようにラノンが欲しがる物や身に付ける物とは逆のものを選び、髪型もラノンが伸ばせば私は短く切り、ラノンが短く切れば私は髪をのばすようになっていった。

私たちは毎日同じ家から登校するにも関わらず別々に小学校へと登校し、私はいつもキヒヤと仲良く話をしながら登校し、そんな時間がとても楽しかった。

ラノンは学校では明るくて友達が多く、人なつこい性格で、逆に私は冷めた一匹狼で人見知りな性格へと無意識になっていった。

それでもキヒヤといる時は本当に楽しくて、いつも公園でキヒヤと2人で日が暮れるまで遊び回っていた。

考えてみれば小学校に入ってから私とラノンは自然と距離を置くようになり、ラノンはクラスの友人と遊びに行き、私はキヒヤと毎日遊んでいた。

しかし、高学年になり私とキヒヤが毎日遊んでいる様子を見た同級生が私たちを冷やかすようになり、それからキヒヤとは少しずつ遊ぶ日が少なくなっていった。

キヒヤがいれば孤独なんて感じなかったがキヒヤとの距離が少し出来たような気がして寂しさを覚えたが唯一、朝の登校だけはキヒヤと一緒に過ごせた事で私は満足だった。

しかし、中学生になり私とキヒヤの関係は変わってしまった。

入学式の日、キヒヤは入学式で新入生代表の挨拶がある為、少し早く登校していた。

私は1人で登校していると突然体調が悪くなりその場にしゃがみ込んでしまった。

そんな様子をたまたま横を歩いていた生徒に気づかれた。

「大丈夫?体調悪い?もうすぐ学校だけど保健室まで歩ける?」

その人は半べその私に近づいてそう心配してくれた。

A「ごめんなさい…」

「謝らなくて大丈夫だから。新入生?」

A「はい…」

すると、その人は私の名札を見て目を細めて笑った。

「俺も同じ学年だよ。ミネトっていうんだ。よろしくね?保健室まで連れて行ってあげるよ。」

そう言ってミネトは私の手を引いて学校まで登校し保健室まで連れて行ってくれた。

M「しんどい時は無理したらダメだからな?じゃ、先生後はよろしく~!!」

そう言って私の頭を撫でてミネトは元気よく教室へと走って行った。

それが私とミネトとの出逢い。


つづく
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