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3章 怪異にまつわる雑談・雑考
80「聞く側」
しおりを挟む・聞き方のとらえるものについて
――――――――――――――――――――――――
お寺で修行している知り合いの話。
「見えないけど、声だけは聞こえるって
怪談がありますよね」
彼はふとそんな話を同僚たちに振ってみた。
姿は見えないが、泣き声や叫び声が聞こえると
いうのは怖い話の定番でもあるし、心霊系の
動画でもその手のものは多い。
「でも基本的に霊と生きている人間は違う
存在ですよね?
それなのに声だけは感じるというのは―――」
同じく生きているにしろ、動物だって声は違うし
意思疎通は出来ない。
そんな事を話していると師が入ってきて、
「何の話だ?」
そこで彼らは、師匠にそれまでの話を説明した。
師はそれを聞くとう~ん、とうなり、
「声だって聞こえるようでいて、普通に
聞き逃したり聞こえていなかったり
するからなあ」
物理的には空気の振動なのだろうが、結局は
それを受け取る側……
脳や感覚の問題ではないだろうか、という。
「だから『霊とかそんなものはいない』と
認識しているのなら、何を言っても聞こえない
だろうし―――
また聞きようによっちゃ違った聞こえ方も
するんじゃねえか?」
そこで師は自身の経験を語り始めた。
ある時、遺品に憑いていた霊と問答する事が
あり、一通り希望を聞き入れ―――
これで一件落着と思われたその時、
『どうしてあなたは、そのような男言葉で
話すのでしょうか』
と質問され、『いや俺は男だが?』と返すと、
非常に驚かれたという。
「どうもあちらさんには、俺の声が女に
聞こえていたらしい」
「そんな事ってあるんでしょうか」
同僚の一人が聞き返すと、
「以前、変性男子、変性女子について話した事が
あるだろう」
体は男でも魂の性別が逆であるとの考え方で、
仏教にも転女成仏・女人変成という教えがある。
(■闇語り91話「精神」参照)
恐らくはそれに関わる事ではないか、と師は
続けたが、
「しかし、俺の中身が女ってのは……
どうなんだろうなぁ、そりゃ」
それを聞いた弟子たちは苦笑する者、
笑いをこらえる者に二分されたが、
「じゃあみんな、行くわよー♪」
師匠が女言葉を発した途端、室内は大爆笑に
包まれた。
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