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故意か偶然かわからないけど、とりあえずヴェルナーが大使の興味を逸らせてくれた。我を張って無下にしては申し訳ない。
「姫君、少し涼みに出ませんか? 」
一人もくもくと食事を済ませデザートのスプーンを置くと、そっと声を掛けられた。
「でもっ…… 」
リーゼロッテは上座に視線を向け戸惑った声をあげた。
主催者の国王はまだ杯を傾けている。
こうした正式の晩餐会の場合、主が席を立つ前に引き上げるのはマナー違反だ。
「大丈夫だ。あの分だとまだとうぶん国王は呑んでるよ。下手すれば日付が変わるまで。
酒を少し過して気分を悪くしたので退出したことにすれば、問題ないから」
言いながらヴェルナーが手を差し出してくれた。
「どの婦人も皆使っている手だから気にしなくていい」
その手を取るのをまだためらっていると、手首をつかまれ強引に立たされる。
見回すと男の言葉どおり確かに、あちこち婦人の座っていた席だけが空になっていた。
「行こう。
ぐずぐずしていると誰かに引き止められる」
掴んだ手首に力が篭ると引き寄せられた。
「あの、さっきはありがとう…… 助かりました」
広い庭園に出るとリーゼロッテはそう口にして背の高い男の顔を見上げた。
明るすぎる月明かりが逆光になりその表情は良く見えない。
「ん? 」
「アルゴス大使の気を逸らせて下さったでしょ? 」
「ああ、別に。
俺は大使の物言いが気に入らなかっただけ。
いくら国の倫理だからって、ご婦人が身を飾って咎められるんじゃかわいそうだろう?
特に君みたいな若い女の子が、着飾ったご婦人たちの中に放り込まれた時にさ、自分だけ見劣りしたらどんな気持ちになるか。
わからないほうがデリカシーないだろう。
しかも君は大国の皇女だ」
言いながらヴェルナーの手が遠慮がちにリーゼロッテの首筋に伸びる。
その指がリーゼロッテの細く白い首筋を僅かに掠めると背中に跳ね上げた漆黒の巻き毛を掬い上げる。
ふわりとした柔らかな感触とともに、巻き毛がデコルテに下ろされた。
何が起きているのかわからずにリーゼロッテは向かいに立つ男の顔を見上げる。
「この方がいい、白い肌が黒い髪に良く映える」
ふっと、笑みをこぼしたヴェルナーの顔がこの上なく近寄り頬に唇が落された。
それだけのことでリーゼロッテの顔は一気に上気する。
「デザートのリキュールでも利きすぎていたか? 」
薄らと桜色に染まったリーゼロッテの顔に目を留めてヴェルナーが確認するように訊いてきた。
「えっと、そんなことないです。
ダイニング少し暑かったから」
リーゼロッテは言い繕うと男の視線から逃れようと顔を背ける。
「ならいいが…… 」
ヴェルナーの顔が少し綻んだようだ。
「そういえば、先日の菓子の礼をまだしていなかったな。
何がいい? 」
思い出したように男が口にした。
「お礼なんて!
お父様、同じお菓子ばかり山ほど届けて下さったの。
あちこちにお配りした一端だからお気になさらないで」
「いや、子供達もものすごく喜んでいたから、何か礼をさせてもらわないと俺の気も済まないから」
「本当に、そのお言葉だけで充分ですから。
ただ……
あのね、以前からお願いしたいことがあったの。
できたら…… 」
「何なりと、お姫様」
「じゃ、街に連れて行ってくれる? 」
ヴェルナーの顔に視線を戻すとリーゼロッテは言ってみる。
きっと、危ないからとか、警護がどうとかの理由をつけられ却下されることはわかっているけど。
もう一度あの市場の光景を見ておきたい。
「……君の」
案の定ヴェルナーは難しい顔をして暫く黙ってしまった。
しかしすぐに気を取り直したようにリーゼロッテの首筋に手を伸ばす。
躊躇うようにしながらも優しくリーゼロッテの胸元に垂れた巻き毛をもう一度掬い上げた。
「乳母殿、次第だな。
君が乳母を説得できたら連れて行こう。
それでいいか? 」
「ええ! 」
リーゼロッテの顔が一気に綻んだ。
「じゃ、俺はまだ戻らなくちゃならないけど、早く部屋にお帰り。
乳母殿が眠気をこらえて待っているだろう? 」
もう一度笑みを浮かべると男はリーゼロッテの髪から手を下ろす。
「…… 」
もう少しこのままで居たい。
そんな思いが湧きあがる。
しかし、それを口にできるわけもなく。リーゼロッテは言葉なくヴェルナーの顔を見上げた。
「お休み、皇女殿下」
何故か少し照れたような表情を浮かべ、ヴェルナーはリーゼロッテに背を向けた。
乳母が待っている……
確かにそうなんだけど……
穏かに風の吹き渡る庭園でリーゼロッテは足を止めたままでいた。
何だろう?
上気した頬の熱が下がってくれない。
このまま部屋に戻ったら、乳母に年甲斐もなく酒を召したと小言を言われそうだ。
それに首筋に触れたヴェルナーの優しい手の感触がまだ残っている。
それを実感するだけで鼓動が早くなる。
「綺麗だね、そのドレス…… 」
闇の中から響いてきた声にリーゼロッテは視線を向ける。
「あなた、えっと…… 」
月光に浮かび上がる細身のシルエットにリーゼロッテは呼びかけようと開いた口が止る。
「アベルだよ」
リーゼロッテの戸惑いを察したように少年はさらりと名乗る。
「そのドレス、リーゼロッテの瞳の色だよね?
誰の見立て? 」
「多分、ミス・スワンかな?
選んだ憶えがないんだけど、ここに来た時には荷物の中にあったの」
思い出しながらリーゼロッテは答える。
「暫くここに滞在するお話が決まったとき、ミス・スワンが先に来て色々手配をしてくれたから。
こんなドレスもそうだけど、わたしの国じゃ思うような品物が手に入らない物もあったから」
いくら帝国の領土が広くても、宗教上の問題もありこうしたデコルテの広く開いたドレスやそれ専用の下着など扱っている業者は限られている。
何枚かは国で出入りの業者を呼んで仕立てさせたがどうしても手が回らない上に、リーゼロッテが気に入らなかったこともあり、一足先に入国した家庭教師がそれらを誂えてくれていた。
「さすがに、姫様の側にずっと居る人だよね。
どんな色が似合うか良くわかってる」
闇の中で逆光のため表情が見えない声で言われると、その声は何故かアーデルハイドのものと良く似ているような気がする。
「ありがとう。
あのね? 妙なこと訊いていい? 」
「何? 」
「アベルって、もしかしてヴェルナー様の奥様のご兄弟? 」
「違うよ」
意味ありげに少年は笑みを浮かべる。
「そう? 絶対そうだと思ったんだけどな」
「じゃ、従兄弟とか? 」
「それも全く違う。
それよりさ……
ヴェルナー様との仲、進展した? 」
話題を変えるためだろうか、茶化すように訊いてきた。
「進展するにも何も、奥様がいらっしゃるんだもの…… 」
リーゼロッテはそっと睫を伏せ視線を落す。
その言葉を口にするだけで、胸が絞られるように痛い。
そう、はじめて父親以外の異性でもっと側にいたい、触れて欲しいと思った人。
だけれども、それはもう他の女性の物で……
「でもさ、リーゼロッテ最初に言ったんだって?
『奥さんごと引き受けます』って」
「って、何処でそれっ! 」
羞恥でリーゼロッテの顔に一気に血が上る。
「君さ、その話何処でしたか憶えてる? 」
アベルが突然笑い出した。
「何処って、確か…… 」
ヴェルナーにはじめて逢った時に言った言葉。
場所は確か町のレストランだかカフェのテラスだ。
そして、その場所には、ヴェルナーだけでなく、街の人々が集まっていた。
「まさか、訊かれてた? 」
呆然と呟く。
「そ、普通はさ。そういうデリケートなことは人気のないところでするものだろう?
だからそれも含めて街じゅうで噂になってる。
『神経の太いどこぞの大国の箱入り姫さんが、妻子持ちの殿下に自分から求婚した』って」
「やだ、どうしよう…… 」
恥ずかしくて耳まで火照ってきた。
このみっともない顔……
いつものようにヴェールを被っていれば引き下げて隠してしまいたいところだ。
だけど、今日のこの装いでは、髪まで結い上げてありそれで隠すこともままならない。
仕方なくリーゼロッテは少年に見えないように月の光に背を向ける。
「姫君、少し涼みに出ませんか? 」
一人もくもくと食事を済ませデザートのスプーンを置くと、そっと声を掛けられた。
「でもっ…… 」
リーゼロッテは上座に視線を向け戸惑った声をあげた。
主催者の国王はまだ杯を傾けている。
こうした正式の晩餐会の場合、主が席を立つ前に引き上げるのはマナー違反だ。
「大丈夫だ。あの分だとまだとうぶん国王は呑んでるよ。下手すれば日付が変わるまで。
酒を少し過して気分を悪くしたので退出したことにすれば、問題ないから」
言いながらヴェルナーが手を差し出してくれた。
「どの婦人も皆使っている手だから気にしなくていい」
その手を取るのをまだためらっていると、手首をつかまれ強引に立たされる。
見回すと男の言葉どおり確かに、あちこち婦人の座っていた席だけが空になっていた。
「行こう。
ぐずぐずしていると誰かに引き止められる」
掴んだ手首に力が篭ると引き寄せられた。
「あの、さっきはありがとう…… 助かりました」
広い庭園に出るとリーゼロッテはそう口にして背の高い男の顔を見上げた。
明るすぎる月明かりが逆光になりその表情は良く見えない。
「ん? 」
「アルゴス大使の気を逸らせて下さったでしょ? 」
「ああ、別に。
俺は大使の物言いが気に入らなかっただけ。
いくら国の倫理だからって、ご婦人が身を飾って咎められるんじゃかわいそうだろう?
特に君みたいな若い女の子が、着飾ったご婦人たちの中に放り込まれた時にさ、自分だけ見劣りしたらどんな気持ちになるか。
わからないほうがデリカシーないだろう。
しかも君は大国の皇女だ」
言いながらヴェルナーの手が遠慮がちにリーゼロッテの首筋に伸びる。
その指がリーゼロッテの細く白い首筋を僅かに掠めると背中に跳ね上げた漆黒の巻き毛を掬い上げる。
ふわりとした柔らかな感触とともに、巻き毛がデコルテに下ろされた。
何が起きているのかわからずにリーゼロッテは向かいに立つ男の顔を見上げる。
「この方がいい、白い肌が黒い髪に良く映える」
ふっと、笑みをこぼしたヴェルナーの顔がこの上なく近寄り頬に唇が落された。
それだけのことでリーゼロッテの顔は一気に上気する。
「デザートのリキュールでも利きすぎていたか? 」
薄らと桜色に染まったリーゼロッテの顔に目を留めてヴェルナーが確認するように訊いてきた。
「えっと、そんなことないです。
ダイニング少し暑かったから」
リーゼロッテは言い繕うと男の視線から逃れようと顔を背ける。
「ならいいが…… 」
ヴェルナーの顔が少し綻んだようだ。
「そういえば、先日の菓子の礼をまだしていなかったな。
何がいい? 」
思い出したように男が口にした。
「お礼なんて!
お父様、同じお菓子ばかり山ほど届けて下さったの。
あちこちにお配りした一端だからお気になさらないで」
「いや、子供達もものすごく喜んでいたから、何か礼をさせてもらわないと俺の気も済まないから」
「本当に、そのお言葉だけで充分ですから。
ただ……
あのね、以前からお願いしたいことがあったの。
できたら…… 」
「何なりと、お姫様」
「じゃ、街に連れて行ってくれる? 」
ヴェルナーの顔に視線を戻すとリーゼロッテは言ってみる。
きっと、危ないからとか、警護がどうとかの理由をつけられ却下されることはわかっているけど。
もう一度あの市場の光景を見ておきたい。
「……君の」
案の定ヴェルナーは難しい顔をして暫く黙ってしまった。
しかしすぐに気を取り直したようにリーゼロッテの首筋に手を伸ばす。
躊躇うようにしながらも優しくリーゼロッテの胸元に垂れた巻き毛をもう一度掬い上げた。
「乳母殿、次第だな。
君が乳母を説得できたら連れて行こう。
それでいいか? 」
「ええ! 」
リーゼロッテの顔が一気に綻んだ。
「じゃ、俺はまだ戻らなくちゃならないけど、早く部屋にお帰り。
乳母殿が眠気をこらえて待っているだろう? 」
もう一度笑みを浮かべると男はリーゼロッテの髪から手を下ろす。
「…… 」
もう少しこのままで居たい。
そんな思いが湧きあがる。
しかし、それを口にできるわけもなく。リーゼロッテは言葉なくヴェルナーの顔を見上げた。
「お休み、皇女殿下」
何故か少し照れたような表情を浮かべ、ヴェルナーはリーゼロッテに背を向けた。
乳母が待っている……
確かにそうなんだけど……
穏かに風の吹き渡る庭園でリーゼロッテは足を止めたままでいた。
何だろう?
上気した頬の熱が下がってくれない。
このまま部屋に戻ったら、乳母に年甲斐もなく酒を召したと小言を言われそうだ。
それに首筋に触れたヴェルナーの優しい手の感触がまだ残っている。
それを実感するだけで鼓動が早くなる。
「綺麗だね、そのドレス…… 」
闇の中から響いてきた声にリーゼロッテは視線を向ける。
「あなた、えっと…… 」
月光に浮かび上がる細身のシルエットにリーゼロッテは呼びかけようと開いた口が止る。
「アベルだよ」
リーゼロッテの戸惑いを察したように少年はさらりと名乗る。
「そのドレス、リーゼロッテの瞳の色だよね?
誰の見立て? 」
「多分、ミス・スワンかな?
選んだ憶えがないんだけど、ここに来た時には荷物の中にあったの」
思い出しながらリーゼロッテは答える。
「暫くここに滞在するお話が決まったとき、ミス・スワンが先に来て色々手配をしてくれたから。
こんなドレスもそうだけど、わたしの国じゃ思うような品物が手に入らない物もあったから」
いくら帝国の領土が広くても、宗教上の問題もありこうしたデコルテの広く開いたドレスやそれ専用の下着など扱っている業者は限られている。
何枚かは国で出入りの業者を呼んで仕立てさせたがどうしても手が回らない上に、リーゼロッテが気に入らなかったこともあり、一足先に入国した家庭教師がそれらを誂えてくれていた。
「さすがに、姫様の側にずっと居る人だよね。
どんな色が似合うか良くわかってる」
闇の中で逆光のため表情が見えない声で言われると、その声は何故かアーデルハイドのものと良く似ているような気がする。
「ありがとう。
あのね? 妙なこと訊いていい? 」
「何? 」
「アベルって、もしかしてヴェルナー様の奥様のご兄弟? 」
「違うよ」
意味ありげに少年は笑みを浮かべる。
「そう? 絶対そうだと思ったんだけどな」
「じゃ、従兄弟とか? 」
「それも全く違う。
それよりさ……
ヴェルナー様との仲、進展した? 」
話題を変えるためだろうか、茶化すように訊いてきた。
「進展するにも何も、奥様がいらっしゃるんだもの…… 」
リーゼロッテはそっと睫を伏せ視線を落す。
その言葉を口にするだけで、胸が絞られるように痛い。
そう、はじめて父親以外の異性でもっと側にいたい、触れて欲しいと思った人。
だけれども、それはもう他の女性の物で……
「でもさ、リーゼロッテ最初に言ったんだって?
『奥さんごと引き受けます』って」
「って、何処でそれっ! 」
羞恥でリーゼロッテの顔に一気に血が上る。
「君さ、その話何処でしたか憶えてる? 」
アベルが突然笑い出した。
「何処って、確か…… 」
ヴェルナーにはじめて逢った時に言った言葉。
場所は確か町のレストランだかカフェのテラスだ。
そして、その場所には、ヴェルナーだけでなく、街の人々が集まっていた。
「まさか、訊かれてた? 」
呆然と呟く。
「そ、普通はさ。そういうデリケートなことは人気のないところでするものだろう?
だからそれも含めて街じゅうで噂になってる。
『神経の太いどこぞの大国の箱入り姫さんが、妻子持ちの殿下に自分から求婚した』って」
「やだ、どうしよう…… 」
恥ずかしくて耳まで火照ってきた。
このみっともない顔……
いつものようにヴェールを被っていれば引き下げて隠してしまいたいところだ。
だけど、今日のこの装いでは、髪まで結い上げてありそれで隠すこともままならない。
仕方なくリーゼロッテは少年に見えないように月の光に背を向ける。
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