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異国渡りの香の中には眠気を誘うものや、痛みを軽減する効果のある物がある。
それらを絶妙なバランスで配合した香は、こうして事が起こる度にリーゼロッテの枕もとで焚かれてきた。
そのおかげで痛みは薄れるし、何より強い導眠効果のおかげで眠っている間は何も知らないで居られる。
「……さすが、ウルティモだね。
そんな珍しいものまで手に入るんだ」
「珍しいの、かな? 」
リーゼロッテにとってはごく当たり前のものだ、別段に珍しいものではない。
「少なくともこの国ではね」
アベルは微笑みながら椅子を引き寄せて座り込む。
「少し、話していってもいい? 」
「もちろん」
いくら香を焚いてもらってあるとは言っても、一端目覚めてしまえば暫くは寝付けそうにない。
リーゼロッテは微笑みながら頷いた。
「エルマーに付いていてやれって言ったんだって?
莫迦だよね、リーゼロッテは」
呆れたようにアベルは言う。
闇の中でアベルは響き過ぎないようにとでも言うように声を落す。
「どうして? 」
「こんなチャンス。めったにないのにさ。
『怪我をしたのは殿下のせいです。だから付いていて』
っていって甘えれば良かったんだよ」
「あのね、アベル。
わたし小さな子供じゃないのよ。
そんな拗ねたこと言えるわけないじゃない。
それにこういう時は小さな子が優先でしょ? 」
「優しいんだね、リーゼロッテは…… 」
「普通でしょ? 」
リーゼロッテの返事に答えずにアベルは暫く口を閉ざす。
窓から差し込む月明かりがその端正な横顔を照らし出した。
何故だろう、アベルがじっと自分を見据えている。
「リーゼロッテさいいお母さんになりそうだよね?
ね? ヴェルナー殿下やめて僕と結婚しない? 」
アベルの口から不意に、思っても居なかった言葉が飛び出した。
「後、二ヶ月で僕十八になるんだ。
そしたら社交界に出られる。
オズワルド国王の息子じゃないけど、これでも王族の血を引いてる。
だからね、僕の花嫁になって」
「……って、どうしてそうなるのよ? 」
リーゼロッテの顔に一気に血が上った。
嬉しいのか、恥ずかしいのか、おかしいのか、それともからかわれて腹を立てている? 混乱しすぎてそれがどの感情のためなのかリーゼロッテにも良くわからない。
「ね、ヴェルナー殿下の何処がいいの?
少なくとも僕の方が、殿下ほど頭が固くないよ? 」
背けてしまったリーゼロッテの顔を覗き込むようにしてアベルが訊いてくる。
「皆、そう言うのよね。
ヴィクトール様もそう言ったわ。
でも、わたしにすればそこがいいのよ」
「どういうこと? 」
「少なくとも、それだけ頭が固ければ、後宮って言う許された場所で際限なく妾妃を抱えるようなことだけはしないだろうなって」
「なる…… 」
考えるようにアベルは首を傾げる。
「お父様だって、そうじゃなかったのよ」
自分の血を引いた子供はリーゼロッテ一人しか持てなかったエクシャーナ皇帝だが、母である皇妃意外にも何人もの妾妃を抱えていた。
まだ母が生きていた頃も、父は度々後宮の母の部屋ではない部屋に足を運んでいた。
母が亡くなってからも、リーゼロッテの顔を見に来ない日はあってもお気に入りの妾妃のところには毎晩通っていた。
「意外。
エクシャーナ皇帝ってさ、子供君だけだっていうからてっきり正妃大事で他の女性には見向きもしなかったのかと思ってた」
「それにはね。
別の理由があるみたいなんだけど、残念ながらわたしもよくは知らなくて…… 」
「姫様…… 」
首を傾げているとドアの向こうから抑えた乳母の声がした。
「じゃぁね。
こんなところ乳母殿に見られたら大騒ぎになるから、僕はこれで」
耳もとでごく小さく囁くと、アベルは窓辺に走りよる。
「ちょっと、ここ二階…… 」
何をするのか想像できて引きとめようと伸ばしたリーゼロッテの手を振り切り、少年は窓から出て行った。
「姫様?
お話声がしたような気がしたのですが…… 」
様子を伺うような乳母の声と同時に細くドアが開く。
小さなフェアリーランプの明かりを手に、ナイトガウン姿の女が入って着るとリーゼロッテのベッドを覗き込んだ。
「……お休みになれませんか? 」
心配そうに訊いてくれる。
「うん、少しね」
あれだけ終日眠っていれば、さすがに時間に関係なく目が冴える。
「香を足しましょうか? 」
「いいわ」
「では、ミルクでもお持ちしましょうね」
言い置いて乳母は部屋を後にした。
躯を動かすたびに生じる背中の痛みに浅い眠りから引き戻されると、誰かがそっと手を握ってくれているのにリーゼロッテは気が付いた。
柔らかで華奢で温かなその手は、乾いたニオベの物とは違う。
かといってあの時握ってくれたヴェルナーのものともかけ離れている。
リーゼロッテはぼんやりと目を開いた。
「ミス・スワン。
お水くれる? 」
熱のせいか喉の渇きを覚え口にする。
「起こしてしまいまして? 」
少しハスキーな柔らかな声が訊いてくる。
「ううん…… 」
寝起きのぼんやりとした視界が次第にはっきりしてくると、そこにはアーデルハイドの顔があった。
「ごめんなさい。
あのミス・スワンは? 」
乳母と並んでいつも側にいてくれる家庭教師の姿を探して、リーゼロッテは部屋の中を見渡した。
「お忘れですか?
リーゼロッテ様の家庭教師はこの度の仔細をお父上に報告するために、お国へ戻っていますよ」
ほんのりとした笑顔を浮かべてアーデルハイドは言った。
そうだった。
ミス・スワンはオズワルド国王の謝罪の使者と一緒に、国に戻っていた。
本来ならば乳母であるニオベの役目なのだが、リーゼロッテの側を離れられないため代わりに行ってくれている。
「ニオベは? 」
リーゼロッテはもう一つの顔を探す。
「お乳母様なら、今神殿へ清めの水を貰い受けに行っていますわ。
あの神殿には信者でなければ入ることができないそうですわね。
ですから姫様の看護のほうをわたくしが代わりにお引き受けしました」
あくまでもリーゼロッテを気遣ってか、アーデルハイドの声は普段以上に穏かだ。
「あ、お水でしたよね。
喉、渇いていらっしゃいます?
今お茶を入れますね」
ベッドの脇に引き寄せた椅子から立ち上がるとアーデルハイドは一端帳の影に消えた。
程なくして部屋の中に紅茶の香りがほのかに広がる。
「起きられますか? 」
起き上がるのに手を貸してくれた後、アーデルハイドは湯気の上がったカップを差し出してくれた。
「……おいしい」
一口、口に含むと馥郁とした華やかな香りが口腔内を満たす。
「ずっと微熱が続いていたそうですから……
でも良かったですわ、お熱も下がって
傷、まだ痛みますか? 」
「ううん、もうほとんど…… 」
リーゼロッテは空になったカップを渡すと首を横に振る。
正直言ってしまえば、まだ痛みは確かにある。
だけど、それはいつかのように我慢できないほどのものではない。
無理に動かなければもう起きられそうだ。
「エルマーは? 」
「ええ、おかげさまでもうすっかり元通りです。
今日も他の子供達と一緒にはしゃぎまわっていますわ」
「そう、良かった…… 」
リーゼロッテは息を吐く。
「本当は顔をみたいんだけどな、お邪魔するわけには行かないわよね」
「今のリーゼロッテ様にそんなことをされたら殿下が驚いて、ひっくり返ってしまうわ」
アーデルハイドが声を立てて笑った。
「今回のことは殿下も気にされていて、ずっとリーゼロッテ様の側についていたさそうな様子ですのよ」
「お忙しいヴェルナー様にそんなことしていただいたら、わたしのほうが申し訳なくなってしまうわ」
口ではそういいながらも、そこまで気に掛けてもらえるのがなんだか嬉しくて自然と顔が綻ぶ。
それをアーデルハイドにはみられたくなくてリーゼロッテは慌てて毛布を頭まで引き上げる。
「ただいま戻りました」
そこへ乳母が戻ってきた。
それらを絶妙なバランスで配合した香は、こうして事が起こる度にリーゼロッテの枕もとで焚かれてきた。
そのおかげで痛みは薄れるし、何より強い導眠効果のおかげで眠っている間は何も知らないで居られる。
「……さすが、ウルティモだね。
そんな珍しいものまで手に入るんだ」
「珍しいの、かな? 」
リーゼロッテにとってはごく当たり前のものだ、別段に珍しいものではない。
「少なくともこの国ではね」
アベルは微笑みながら椅子を引き寄せて座り込む。
「少し、話していってもいい? 」
「もちろん」
いくら香を焚いてもらってあるとは言っても、一端目覚めてしまえば暫くは寝付けそうにない。
リーゼロッテは微笑みながら頷いた。
「エルマーに付いていてやれって言ったんだって?
莫迦だよね、リーゼロッテは」
呆れたようにアベルは言う。
闇の中でアベルは響き過ぎないようにとでも言うように声を落す。
「どうして? 」
「こんなチャンス。めったにないのにさ。
『怪我をしたのは殿下のせいです。だから付いていて』
っていって甘えれば良かったんだよ」
「あのね、アベル。
わたし小さな子供じゃないのよ。
そんな拗ねたこと言えるわけないじゃない。
それにこういう時は小さな子が優先でしょ? 」
「優しいんだね、リーゼロッテは…… 」
「普通でしょ? 」
リーゼロッテの返事に答えずにアベルは暫く口を閉ざす。
窓から差し込む月明かりがその端正な横顔を照らし出した。
何故だろう、アベルがじっと自分を見据えている。
「リーゼロッテさいいお母さんになりそうだよね?
ね? ヴェルナー殿下やめて僕と結婚しない? 」
アベルの口から不意に、思っても居なかった言葉が飛び出した。
「後、二ヶ月で僕十八になるんだ。
そしたら社交界に出られる。
オズワルド国王の息子じゃないけど、これでも王族の血を引いてる。
だからね、僕の花嫁になって」
「……って、どうしてそうなるのよ? 」
リーゼロッテの顔に一気に血が上った。
嬉しいのか、恥ずかしいのか、おかしいのか、それともからかわれて腹を立てている? 混乱しすぎてそれがどの感情のためなのかリーゼロッテにも良くわからない。
「ね、ヴェルナー殿下の何処がいいの?
少なくとも僕の方が、殿下ほど頭が固くないよ? 」
背けてしまったリーゼロッテの顔を覗き込むようにしてアベルが訊いてくる。
「皆、そう言うのよね。
ヴィクトール様もそう言ったわ。
でも、わたしにすればそこがいいのよ」
「どういうこと? 」
「少なくとも、それだけ頭が固ければ、後宮って言う許された場所で際限なく妾妃を抱えるようなことだけはしないだろうなって」
「なる…… 」
考えるようにアベルは首を傾げる。
「お父様だって、そうじゃなかったのよ」
自分の血を引いた子供はリーゼロッテ一人しか持てなかったエクシャーナ皇帝だが、母である皇妃意外にも何人もの妾妃を抱えていた。
まだ母が生きていた頃も、父は度々後宮の母の部屋ではない部屋に足を運んでいた。
母が亡くなってからも、リーゼロッテの顔を見に来ない日はあってもお気に入りの妾妃のところには毎晩通っていた。
「意外。
エクシャーナ皇帝ってさ、子供君だけだっていうからてっきり正妃大事で他の女性には見向きもしなかったのかと思ってた」
「それにはね。
別の理由があるみたいなんだけど、残念ながらわたしもよくは知らなくて…… 」
「姫様…… 」
首を傾げているとドアの向こうから抑えた乳母の声がした。
「じゃぁね。
こんなところ乳母殿に見られたら大騒ぎになるから、僕はこれで」
耳もとでごく小さく囁くと、アベルは窓辺に走りよる。
「ちょっと、ここ二階…… 」
何をするのか想像できて引きとめようと伸ばしたリーゼロッテの手を振り切り、少年は窓から出て行った。
「姫様?
お話声がしたような気がしたのですが…… 」
様子を伺うような乳母の声と同時に細くドアが開く。
小さなフェアリーランプの明かりを手に、ナイトガウン姿の女が入って着るとリーゼロッテのベッドを覗き込んだ。
「……お休みになれませんか? 」
心配そうに訊いてくれる。
「うん、少しね」
あれだけ終日眠っていれば、さすがに時間に関係なく目が冴える。
「香を足しましょうか? 」
「いいわ」
「では、ミルクでもお持ちしましょうね」
言い置いて乳母は部屋を後にした。
躯を動かすたびに生じる背中の痛みに浅い眠りから引き戻されると、誰かがそっと手を握ってくれているのにリーゼロッテは気が付いた。
柔らかで華奢で温かなその手は、乾いたニオベの物とは違う。
かといってあの時握ってくれたヴェルナーのものともかけ離れている。
リーゼロッテはぼんやりと目を開いた。
「ミス・スワン。
お水くれる? 」
熱のせいか喉の渇きを覚え口にする。
「起こしてしまいまして? 」
少しハスキーな柔らかな声が訊いてくる。
「ううん…… 」
寝起きのぼんやりとした視界が次第にはっきりしてくると、そこにはアーデルハイドの顔があった。
「ごめんなさい。
あのミス・スワンは? 」
乳母と並んでいつも側にいてくれる家庭教師の姿を探して、リーゼロッテは部屋の中を見渡した。
「お忘れですか?
リーゼロッテ様の家庭教師はこの度の仔細をお父上に報告するために、お国へ戻っていますよ」
ほんのりとした笑顔を浮かべてアーデルハイドは言った。
そうだった。
ミス・スワンはオズワルド国王の謝罪の使者と一緒に、国に戻っていた。
本来ならば乳母であるニオベの役目なのだが、リーゼロッテの側を離れられないため代わりに行ってくれている。
「ニオベは? 」
リーゼロッテはもう一つの顔を探す。
「お乳母様なら、今神殿へ清めの水を貰い受けに行っていますわ。
あの神殿には信者でなければ入ることができないそうですわね。
ですから姫様の看護のほうをわたくしが代わりにお引き受けしました」
あくまでもリーゼロッテを気遣ってか、アーデルハイドの声は普段以上に穏かだ。
「あ、お水でしたよね。
喉、渇いていらっしゃいます?
今お茶を入れますね」
ベッドの脇に引き寄せた椅子から立ち上がるとアーデルハイドは一端帳の影に消えた。
程なくして部屋の中に紅茶の香りがほのかに広がる。
「起きられますか? 」
起き上がるのに手を貸してくれた後、アーデルハイドは湯気の上がったカップを差し出してくれた。
「……おいしい」
一口、口に含むと馥郁とした華やかな香りが口腔内を満たす。
「ずっと微熱が続いていたそうですから……
でも良かったですわ、お熱も下がって
傷、まだ痛みますか? 」
「ううん、もうほとんど…… 」
リーゼロッテは空になったカップを渡すと首を横に振る。
正直言ってしまえば、まだ痛みは確かにある。
だけど、それはいつかのように我慢できないほどのものではない。
無理に動かなければもう起きられそうだ。
「エルマーは? 」
「ええ、おかげさまでもうすっかり元通りです。
今日も他の子供達と一緒にはしゃぎまわっていますわ」
「そう、良かった…… 」
リーゼロッテは息を吐く。
「本当は顔をみたいんだけどな、お邪魔するわけには行かないわよね」
「今のリーゼロッテ様にそんなことをされたら殿下が驚いて、ひっくり返ってしまうわ」
アーデルハイドが声を立てて笑った。
「今回のことは殿下も気にされていて、ずっとリーゼロッテ様の側についていたさそうな様子ですのよ」
「お忙しいヴェルナー様にそんなことしていただいたら、わたしのほうが申し訳なくなってしまうわ」
口ではそういいながらも、そこまで気に掛けてもらえるのがなんだか嬉しくて自然と顔が綻ぶ。
それをアーデルハイドにはみられたくなくてリーゼロッテは慌てて毛布を頭まで引き上げる。
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