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しおりを挟む「レティ嬢、久しぶりだね」
レティが入室すると、ミゲルの前に座る青年がキラキラと眩い笑顔を振りまいて手を挙げた。
「殿下、お久しぶりでございます」
「つい数日前に来たばかりだろう」
レティが深々と頭を下げていると、ミゲルがレティの言いたいことをピシャリと代弁してくれた。
「本当は毎日だって来たいのにさ、なかなか忙しくてね」
困ったように笑う顔すら見目麗しい彼は、この国の王太子殿下であるアーネストだ。ミゲルとは同い年であり、学園時代からの仲である。ミゲルの父である公爵が現在宰相の地位に就いており、将来ミゲルもその地位を継ぐことになるため補佐として働いている。ミゲルはアーネストの右腕のような存在なのだ。
「殿下……もしかしてそのお言葉を妃殿下に……」
「……?ああ、言ってるけど?」
レティはつい尋ねてしまった。アーネストはミゲルだけでなく、レティも友人のようにフランクに接してくれる。そのためレティはついつい言いたいことを言ってしまうことがあった。
「……もしかして駄目だった?」
「あまり宜しくは無いかと」
レティの言葉にアーネストは美しい顔を青くして肩を落とした。
アーネストの妻である王太子妃殿下は大層美しい方だ。レティも国の式典などで何度か見掛けたことがあるが、あまりの美しさに女神だと思ったほどだ。アーネストと二人で並んでいたら絵画のような、この世のものとは思えない神々しさを醸し出している。そして、妃殿下は見目だけでなく、優秀で人望も厚いパーフェクトな女性だと評判だ。
そんな王太子夫妻は国民からの人気も高い。レティが妃殿下を見掛けた時も、二人はとても仲睦まじく見えた。まさに理想の夫婦だ、そう思っていた。そんな二人の仲が良くないなんて、この国の誰もが信じないだろう。仲が良くない……というより、アーネストが妃殿下から一方的に距離を置かれている、なんて。
「レティ、理由を教えてやれ」
「う……でも」
すっかり項垂れてしまったアーネストを見て、レティはまたやってしまったと後悔した。幼い頃から働き、また長女でもある彼女はしっかり者で少々お節介なことがある。ヘタレな王太子アーネストに口出ししては後悔することを繰り返している。
「こいつのことだ。言わんとまたやるぞ」
「……」
ミゲルの言葉にレティは反論したかった……だがレティはこれまで何度も助言しているのに、彼は何度も何度も似たような失敗を繰り返している。アーネストは王太子としては優秀だろうが恋愛面ではかなりポンコツなのだ。
※※※
このアーネスト王太子、『拗らせ王子と意地悪な婚約者』にてお邪魔虫として活躍しております。
よろしければ、ぜひお読みください♪
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