【完結】就職氷河期シンデレラ!

たまこ

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第一部

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「まっ、待ってくれ……っ!」

 漸くこの場から去ることができると、一息ついていたナスタジアだがチャーリーの邪魔が入り、うんざりしてしまう。そして、それは隣に立つイザードも同じようだった。


「ナスタジア!何だ、その男は!お前っ、私の婚約者でありながら浮気していたのかっ!」

 語気を荒げ、怒り狂うチャーリーを見て、ナスタジアは更にうんざりしてしまう。この男、どう料理してやろうか。だがナスタジアが口を開く前にわなわなと怒りで震える国王の怒号が響いた。


「馬鹿者っ!!こちらの方は隣国の王太子殿下、イザード殿だ。口を慎めっ!!」


「へ……?隣国?王太子?」

 チャーリーは間抜け面で国王の言葉を復唱するだけだ。

 チャーリーも大馬鹿ではあるがこの国の王太子。同じ立場ではないかと思われるかもしれないが、この国は小国、隣国は魔術で栄える大国だ。名前は同じだろうが、その立場は雲泥の差がある。


「縁あってナスタジアと知り合い、ずっと求婚し続けていました。ですが彼女にはがいるようでしたので、もしその婚約が解消になれば私の妻になってほしいとお願いしていたのです。嬉しいことに、先程その婚約は破棄されたようでしたので、この機会を逃さぬようこちらの国王陛下にもお許しいただいたのです……勿論、これまでナスタジアには指一本触れていませんよ、貴方とは違って。」

「そ、そんな……」

 がくりと項垂れるチャーリーを慰める者はいない。エラは放心状態で使い物にならないし、周りの貴族達も距離を取り遠巻きに見ているだけだ。


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