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第二部
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しおりを挟む「……うぅ」
ベッドの中で目を開けたエラは呻き声を上げた。朝、散々泣いた後でいつの間にか眠ってしまっていたようだ。頭ががんがんと痛み、エラは顔を顰めた。もう昼過ぎのようだ。窓からちらりと外を見ると、王宮騎士たちがゾロゾロと塔の周りに立っていた。中には顔に見覚えのある騎士もいる。エラが王宮からこちらに来る時に同行していた騎士たちだ。ぼんやりと彼らを見ているとコンコンとノックの音が響き、聞き慣れた声が届いた。
「おい」
彼の酷い態度と言葉を思い出し、じわりと涙が滲む。エラはいそいそとベッドに戻りそのまま寝たふりでやり過ごすことにした。だが。
「おい、寝てんのか」
「……っ、ちょっと!勝手に入らないでちょうだい!」
ガチャンと扉が開く音が聞こえたかと思えば、ずかずかと大きな足音が近づき、エラは飛び起きた。ジャックは口の端を上げ揶揄いの表情を浮かべた。
「ふん、やっぱり寝たふりか」
「違うわよ!」
ぷんぷんと怒るエラを暫く可笑しそうに眺めていたジャックだが、彼女の目元が真っ赤に腫れていることに気付くと眉尻を下げた。
「……悪かった、な」
「……っ」
「そんな顔すんな」
「……誰の、せいだと……っ」
ぽろぽろと涙が零れ落ちる。ジャックの態度に腹が立って腹が立って仕方が無かった。だけどそれ以上に突き放されたことが悲しくて、寂しくて、胸が苦しくて堪らなかった。ああ、やっぱり一人なのだと突き付けられたような気がして、言いようのない絶望に打ちひしがれた。
「……嫌わないでよ」
聞き取れないほど小さな呟きが自分の口から洩れたことにエラは目を丸くし、慌てて訂正しようとした。だが、目の前の男があまりに優しく笑うから……エラが言葉を取り消すことは叶わなかった。
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