【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ

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 ソフィアの生家であるリドリー家は、代々美形が生まれる家系である。親戚一同、美形揃いで、それはソフィアの両親も弟も同様である。



 髪色も瞳の色も綺麗なブロンド色で、目鼻立ちもハッキリしている。対して、ソフィアは平凡な髪色と瞳の色で、目は小さいし、鼻は丸っこい。リドリー家の女性は、皆スタイルが良く凹凸のある体型だが、ソフィアは普通体型のぺったんこである。



 そんなソフィアを、両親も弟も「可愛い」と昔から、しつこいほど言ってくるが、ソフィアは物心ついた頃には自分の容姿のレベルをよく理解していた。というのも、リドリー家の長女ということで、どんなに可愛らしい娘だろうと期待して近付いてくる人たちが、ガッカリした顔を見せることは幼い頃から日課のように頻繁にあったからだ。



 ガッカリするくらいなら良い。聞こえよがしに、ソフィアの容姿を馬鹿にしたり、酷いときは母親の不貞を疑う者もいた。ソフィアに会わずに婚約を申し込み、実際に会ったらあちらから断るような無礼なこともしょっちゅうあった。




 両親は、ソフィアを愛してくれていたが、それ故に「うちの娘は可愛いから!」と外で断言しており、それを聞いた人はソフィアの容姿に期待してしまい、婚約話が余計増えてしまっていた。




 こんな幼少期を過ごしたソフィアは、婚約話にうんざりし、学園に入学する頃には「絶対に結婚しない。」と断言し、漸く婚約話は持ち込まれなくなった。一人で生きていくことを決めたソフィアは、上位貴族の侍女を目指し、学園でも必死に勉強していた。






◇◇◇




「ソフィア。」




 今日も宿舎への帰り道に、待ち伏せていたハロルドに声を掛けられる。ソフィアは知らんぷりして歩き続けるが、ハロルドは気にせず後ろを着いてくる。




「今から、飲みに行かない?明日休みだろう。」



「いえ。お酒は飲まないので。」



「じゃあ、新しく近くに出来たカフェに行こう。ミルフィーユが美味しいらしいんだ。」



 ソフィアは一瞬静止した後、また歩き始めた。その様子を見たハロルドはにんまりと笑う。


「・・・いえ。行きません。」



「皆に評判みたいだよ、ミルフィーユ。」



「いっ、行かないですから!」



 ソフィアは、走り出し、止まらなかった。ハロルドの声が聞こえるが、聞こえない振りをして、自室まで振り向かなかった。

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