【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ

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 ソフィアは、シャワーを浴びながら、一瞬でもミルフィーユに心を揺るがせてしまった自分に苛立っていた。



(はぁ~・・・次からは気を付けないと。)



 せっかく五年もの間、隠していたソフィアの好物がバレてしまった。以前、ソフィアがマスカットが好きだとハロルドに知られた時も大変だった。美味しいマスカットを探してきては、プレゼントされるので、ソフィアはマスカットを食べ過ぎて嫌いになった程だ。

 今後はミルフィーユの美味しい店を探して、揺さぶってくるだろう。用意周到なハロルドに、流されないようにソフィアは毎回必死だった。





 コンコン。


 ドアのノックの音が聞こえて、慌てて駆け寄る。この時間帯、よく管理人が預かった郵便物を持ってきてくれる。その為、ソフィアはドアの外に誰がいるか確認もせずにドアを開けてしまった。





「ソフィア。」


 嬉しそうなハロルドの顔に、ソフィアは眉間に皺を寄せた。



「急に来てごめんね。これを渡すだけだから。」


 ハロルドから手渡された紙袋には、先程話していた新しく出来たばかりのカフェの店名が書かれている。




「あ、ありがとうございます・・・。」


 ハロルドのことだ。受け取らなければ、また処分することを匂わすだろう。ソフィアは諦めて渋々受け取った。




「お風呂上がりだね。可愛い。」


 ハロルドは、ソフィアの短く切り揃えられた髪の一房を手に取った。



「止めてください。」


 ハロルドの手を払い落とすと、ソフィアはさっさとドアを閉めた。こんな失礼な態度を取られても、ハロルドは全く気にしていなかった。





 ソフィアは部屋に戻り、ぱくぱくとミルフィーユを口に入れながら、改めて思った。もう美丈夫には関わりたくない、と。そして、ドアの外にいる人間は必ず確認しよう、と。
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