婚約破棄された公爵令嬢ですが、戻らなかっただけです

王太子カイル殿下から、社交界の場で婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リュシエンヌ。

理由は――
「王太子妃には華が必要だから」。

新たに選ばれたのは、愛らしく無邪気な義妹セシリア。

誰もが思った。
傷ついた令嬢は泣き、縋り、やがて戻るのだと。

けれどリュシエンヌは、ただ一言だけ告げる。

「戻りません」

彼女は怒らない。
争わない。
復讐もしない。

ただ――王家を支えるのをやめただけ。

流通は滞り、商会は様子を見始め、焦った王太子は失点を重ねる。
さらに義妹の軽率な一言が決定打となり、王太子妃候補の座は静かに消えた。

強いざまあとは、叫ぶことではない。

自らの選択で、自らの立場を削らせること。

そして彼女は最後まで戻らない。
支えない。
奪わない。

――選ばれなかったのではない。
彼女が、選ばなかったのだ。

これは、沈黙で勝つ公爵令嬢の物語。
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