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第一部 王立宮廷大学を目指そう!
7. 支配される家
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カテリーナは、ルクサリス家において、本来の序列は現当主である兄に次ぐ順位であった。
しかし、義母カリスタは、子供たちの後見人兼教育係という立場と、屋敷内の運営責任者としての立場を上手く利用し、現在では、実質的にカテリーナの立場と逆転させることに成功していた。
「カテリーナ、その姿勢は何!? 背中をまっすぐに伸ばしたまま会釈ができないと、この家の家格まで落とすことになるのよっ! 魔力がないのであれば、せめて見た目だけは貴族らしく振る舞いなさい!」
「あっ、あっ、申し訳ございません」
カリスタは、「魔力がない」という言葉を付け加えて、皆の前で叱る事が常だった。
本人の努力ではどうしようもできない、持って生まれた劣った部分を強調して、人格を否定して、心をえぐっていく。
その言葉には、カテリーナを傷つけるだけではなく、魔力量で優る義妹や義弟たちを上位に印象付け、また、使用人たちにもカテリーナはダメな存在なのだと、刷り込ませていく意図が込められていた。
それでも、先代からの恩を感じ、当初はカテリーナの味方をする使用人も一定数以上存在していた。
しかし、義母カリスタの巧みな人事操作により、それも覆されていった。
カテリーナに味方する使用人たちには、きつくて嫌な仕事があてがわれ、カテリーナに味方しない使用人たちには、楽な仕事があてがわれ、カリスタに従順な使用人たちには、使用人に指示する仕事があてがわれた。
その結果、一人、また一人とカテリーナの味方は減っていき、やがて、屋敷内でカテリーナを庇う使用人はほとんどいなくなってしまった。
「あーあ、またカテリーナさまが失敗しているよ」
「あの方は、本当に何をやらせてもダメねぇ・・・」
屋敷内では、魔力も無く失敗の多いカテリーナは、蔑ろにしてもよいという図式が、徐々に成立していった。
そのような味方もいない状況の中、あまりにもカリスタの教育が厳しかったため、カテリーナ自身も、父に訴え出たことが何度かあった。
父ネフィリオスも、何度もカリスタに意見は言うのだが、その度にカリスタから猛反論を受けていた。
「もう少し、優しくしたらどうだ?」
「魔力を持たない貴族の娘は、せめて、マナー、教養、立ち振る舞いだけは超一流にしていかなければ、結婚自体もできなくなるのです! 子供の将来を考えたとき、あなたは本当にそれで良いのですか!」
貴族の娘は、出来るだけ良い家に嫁がせることが、一番望ましいという考え方が、当時の貴族の一般常識であった。
ときどき、女性でありながら、実母アナスタシアのように活躍する女性は出たものの、貴族出身の女性の多くは、よりよい世継ぎを育てきることが一番の幸せであり、また、義務であると考える者が多かった。
「ごめん、カテリーナ。あれはあれなりにお前の事を考えての事らしい。まあ、若い内の苦労だと思って、もう少しだけ辛抱してくれ」
「……はい」
ネフィリオスは結局、カリスタに言いくるめられてしまうことが多く、正直、カテリーナの力にはなれてはいなかった。
ネフィリオスは、将来の結婚が厳しい状態にあるカテリーナのために、自分は出来る限り働いて、カテリーナが一生涯困らない程の財産を残しておかなければ、という考えを持っていた。
そのため、父ネフィリオスは、カテリーナからの「助けて」という心からの声に、本当の意味で気付くことができなかった。
しかし、義母カリスタは、子供たちの後見人兼教育係という立場と、屋敷内の運営責任者としての立場を上手く利用し、現在では、実質的にカテリーナの立場と逆転させることに成功していた。
「カテリーナ、その姿勢は何!? 背中をまっすぐに伸ばしたまま会釈ができないと、この家の家格まで落とすことになるのよっ! 魔力がないのであれば、せめて見た目だけは貴族らしく振る舞いなさい!」
「あっ、あっ、申し訳ございません」
カリスタは、「魔力がない」という言葉を付け加えて、皆の前で叱る事が常だった。
本人の努力ではどうしようもできない、持って生まれた劣った部分を強調して、人格を否定して、心をえぐっていく。
その言葉には、カテリーナを傷つけるだけではなく、魔力量で優る義妹や義弟たちを上位に印象付け、また、使用人たちにもカテリーナはダメな存在なのだと、刷り込ませていく意図が込められていた。
それでも、先代からの恩を感じ、当初はカテリーナの味方をする使用人も一定数以上存在していた。
しかし、義母カリスタの巧みな人事操作により、それも覆されていった。
カテリーナに味方する使用人たちには、きつくて嫌な仕事があてがわれ、カテリーナに味方しない使用人たちには、楽な仕事があてがわれ、カリスタに従順な使用人たちには、使用人に指示する仕事があてがわれた。
その結果、一人、また一人とカテリーナの味方は減っていき、やがて、屋敷内でカテリーナを庇う使用人はほとんどいなくなってしまった。
「あーあ、またカテリーナさまが失敗しているよ」
「あの方は、本当に何をやらせてもダメねぇ・・・」
屋敷内では、魔力も無く失敗の多いカテリーナは、蔑ろにしてもよいという図式が、徐々に成立していった。
そのような味方もいない状況の中、あまりにもカリスタの教育が厳しかったため、カテリーナ自身も、父に訴え出たことが何度かあった。
父ネフィリオスも、何度もカリスタに意見は言うのだが、その度にカリスタから猛反論を受けていた。
「もう少し、優しくしたらどうだ?」
「魔力を持たない貴族の娘は、せめて、マナー、教養、立ち振る舞いだけは超一流にしていかなければ、結婚自体もできなくなるのです! 子供の将来を考えたとき、あなたは本当にそれで良いのですか!」
貴族の娘は、出来るだけ良い家に嫁がせることが、一番望ましいという考え方が、当時の貴族の一般常識であった。
ときどき、女性でありながら、実母アナスタシアのように活躍する女性は出たものの、貴族出身の女性の多くは、よりよい世継ぎを育てきることが一番の幸せであり、また、義務であると考える者が多かった。
「ごめん、カテリーナ。あれはあれなりにお前の事を考えての事らしい。まあ、若い内の苦労だと思って、もう少しだけ辛抱してくれ」
「……はい」
ネフィリオスは結局、カリスタに言いくるめられてしまうことが多く、正直、カテリーナの力にはなれてはいなかった。
ネフィリオスは、将来の結婚が厳しい状態にあるカテリーナのために、自分は出来る限り働いて、カテリーナが一生涯困らない程の財産を残しておかなければ、という考えを持っていた。
そのため、父ネフィリオスは、カテリーナからの「助けて」という心からの声に、本当の意味で気付くことができなかった。
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