蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー

みーしゃ

文字の大きさ
11 / 67
第一部 王立宮廷大学を目指そう!

10. イケメンの匂い

しおりを挟む
 私に関する事になると、過剰なまでに反応してしまう兄だったが、世間では、品行方正かつ公明正大で、多くの人から羨望と尊敬の眼差しを受ける、カリスティアでも有名な人物だった。

 兄アレクシオスは、現在のルクサリス侯爵家の正式な当主であり、母から剣士としての才能と、膨大な魔力量の双方を受け継いだ、非常に優れた聖騎士だった。
 母と同じく、正義や導きを示す女神であるユースティリア神を信仰し、その実力と家柄の両方により、今では若くして神聖騎士団の副団長も務めている。

 神聖騎士団は、高潔・清廉な騎士団としても名高いが、その本質は神聖魔法を扱える神官でもある。
 いくら剣技に優れていても、一定レベルの神聖魔法が使えない限り、神聖騎士団には入団することが許されない。
 そのため我が国では、他の騎士団とは異なり、神聖騎士団の所属の騎士というだけで、一目も二目も置かれる存在なのだ。

――それだけではない。

 兄は聖女アナスタシアの子供であり、若くして剣と魔法の才能の両方を発揮し、数々の魔物討伐の実績を積み上げてきていた。
 そのため、貴族だけでなく、平民も含めた多くの人々から、尊敬や憧れの眼差しを受けている人物なのだ。

 それに加えて性格は温厚で、誰にでも優しく(ただし、私に関する過剰反応は除く)、名門侯爵家出身の独身男性で、長身でスタイルも良く、そして何よりも、何よりも、何よりも、とてつもないイケメンなのだ。


 これではモテないはずがない。

 いや、本当にモテない理由が見つからない。

 我が兄ながら、眩しい、眩しすぎる!


 今でも月に何回かは、私宛に様々な貴族から手紙が届く。
 私宛にはなっているものの、残念ながらその内容は、私に対するものではない。
 兄は多くの名家の令嬢からのお誘いを断り続けているため、事実上、兄への取り成しを目的とした内容の手紙が、私宛に続々と届くのだ。

 社交辞令とはいえ、相手の家や、相手の立場を傷つけることなく、また、恨みも買わず、さらに、可能性があると誤解させないように、内容を慎重に吟味して返事を出すことは、本当に大変なのだ。

 まるで、女性に興味がないかのように振舞っている兄だが、なぜか妹の私には、グイグイ来てるようにしか思えてならない……。
 そんな立派で、モテモテな兄を持つ私だが、今は本当に困ってしまっている……。

――はい、このようにベッタリしすぎなんです!

「……あの、お兄さま。対面にも椅子があるのに、なぜ私の隣に座っておられるのですか?」
「ん? そんなの決まっているだろう。私はカテリーナの隣に座るべきだからだよ」

――いやいやいや、その座るべき理由を知りたいんですけどっ!

 ただ……
……スンスン。

「…………?」
 アレクシオスはキョトンとした顔で、カテリーナの顔を見つめる。

 でも、匂いはイイのよね……。
 イケメンて、匂いまでいいものなのかしら?

 兄アレクシオスの匂いは、カテリーナにとって非常に落ち着くものだった。

 ベッタリすることは、それほど好きではなかったが、落ち着ける匂いのする兄の肩に頭を寄せていると、いつの間にか眠りに落ちてしまうカテリーナだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

追放された聖女は旅をする

織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。 その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。 国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。

邪神降臨~言い伝えの最凶の邪神が現れたので世界は終わり。え、その邪神俺なの…?~

きょろ
ファンタジー
村が魔物に襲われ、戦闘力“1”の主人公は最下級のゴブリンに殴られ死亡した。 しかし、地獄で最強の「氣」をマスターした彼は、地獄より現世へと復活。 地獄での十万年の修行は現世での僅か十秒程度。 晴れて伝説の“最凶の邪神”として復活した主人公は、唯一無二の「氣」の力で世界を収める――。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...