蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー

みーしゃ

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第一部 王立宮廷大学を目指そう!

47. 一人目の対戦相手

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 防御の型の実技試験を終えたあと、カテリーナは昼食を済ませ、しばし休息を取っていた。
 これも兄アレクシオスの助言によるものだった。

「カテリーナは魔法の実技試験を受けない分、制限時間に余裕がある。二つの型の試験が終わったこのタイミングで食事と休息を取っておけば、対戦実技に全力を出せるはずだ」

 最初こそ動揺したものの、型の試験を無事やり遂げたことで気持ちが落ち着き、兄の言葉通りしっかりと休むことができた。

――大学受験は戦略と準備が重要だと、お兄さまが言っていたけれど……まさしくその通りね。

 軽いトレーニングで身体を整え、いよいよ試験最大の山場である対戦実技の場所へ向かう。
 水晶に受験票をかざして列に並ぶと、そこには緊迫した空気が漂っていた。

 対戦実技は、現役の騎士三名と無作為に模擬戦を行う形式だった。
 その騎士たちは、受験生と面識がないことと、手を抜かないことを神聖魔法の元で誓約され、さらに治療魔法で万全の状態に整えられてから対戦に臨む。
 受験生にとっては、格上相手に不利な条件になるため、勝利まで求められるわけではなく、あくまで実力や可能性を評価される試験だった。

 列に並んでいる間も、兄の言葉が頭をよぎっていた。

「対戦実技で教官役に勝てば、無条件で最高評価の5が与えられる。カテリーナはこれを狙うんだ!」

 アレクシオスは宮廷大学出身で、さらに神聖魔法の担当者としても試験に関わった経験があった。
 その知識をもとに、魔法を使えないカテリーナのために最適な戦略を考え抜いていた。
 対戦実技に最も時間を費やし、カテリーナ本人に非常に厳しい訓練を課した。
 しかし、その訓練をやり切ったカテリーナは、本人の予想以上の実力を身に着けていたのだった。

 順番が近づいてきた。
 事前に装備を確認する担当者は、彼女を見て目を丸くした。
 鎧も盾も身に着けず、動きやすそうな服装に、左腕にのみ皮の籠手を装備し、突き専門の剣を持っているだけだったからだ。

「そんな装備で大丈夫か?」
「大丈夫です。問題ありません!」

「……では、前の二名の試合が終わったら君の番だ」

 対戦場所は幕で覆われているため、並んでいる受験生は試合の様子を観戦できない。
 これは、いずれ対戦するかもしれない教官の動きや装備を事前に見て、有利になることがないように配慮されていたためだった。

 そのため、聞こえてくるのはぶつかる金属音や悲鳴ばかりで、並んでいるほとんどの受験生は、緊張感で押し潰されそうになっていた。
 しかしカテリーナだけは、兄との稽古を思い返し、イメージトレーニングをしながら、平常心で順番を待つことができていた。


   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 ついに彼女の番が来た。
 カテリーナが幕をくぐると、一人目の対戦相手が待っていた。
 剣と盾を装備し、標準的な武装を整えている騎士だった。

「よろしくお願いします!」

 礼を交わし、お互いに剣を構える。
 しかし、カテリーナは、対戦相手の騎士の隙だらけの姿に違和感を感じていた。

――あえて、隙を見せているのかしら……?

「始めっ!」

 その言葉の瞬間だった。

――一閃。

 試合開始と同時に、勝負は決まった。
 カテリーナがその隙を「先」で突き、騎士の喉元に剣をピタリと止めたのだ。

「一本! それまで!」

 審判の声と同時に、見守っていた騎士たちから「おおー」という歓声が上がる。

「ちょ、ちょっと待て!」

 誇りある剣の騎士団の騎士として、何もできずに終わったことに対してプライドが許さず、思わず抗議の声をあげてしまったのだ。

 それに対し、剣の騎士団の団長であり、実技試験の責任者でもあるマルキアノスから、叱責の声が飛んだ。
 午前中は型の試験を監督し、思うところがあって、午後は対戦の試験を監督しにきていたのだった。

「見苦しいぞ! 決着はついた! 命懸けの戦いに対する心構えではなく、受験生に教えようというような甘い心構えが、お前の隙を生んだのだ!」

 敗者の騎士は黙って礼をし、静かにその場を去っていった。

 実技試験の採点には、この対戦役の騎士も採点に加わる。
 しかし、対戦役の騎士が負けた場合、今回のように本人が納得しない場合もあるため、公平な採点がされるように、自動的に最高評価の5が与えられる決まりになっていた。

 この試合の様子を、険しい目で見つめている者がいた。
 防御の型の試験で恥をかかされ、一方的に逆恨みを募らせていた騎士パナギオティスだった。

――あの女……必ず叩き潰し、受験を失敗させてやる!

 その表情は、騎士や試験官のものとは程遠い、嫉妬と憎悪に染まった卑しい顔だった。
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