蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー

みーしゃ

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第一部 王立宮廷大学を目指そう!

55. 興奮の報告

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 アレクシオスは、カテリーナが宿泊している宿屋の部屋で、落ち着かない様子で何度も部屋の中を歩き回っていた。

「お戻りになりました!」

 侍女の声に、アレクシオスはすぐに宿屋の入口へと向かった。
 そこには、二人の衛士と笑顔で談笑しながらこちらに歩いてくるカテリーナの姿があった。

「お兄さま、やりましたっ!」

 カテリーナは駆け寄ると、勢いよくアレクシオスに抱きついた。
 その仕草から、アレクシオスはカテリーナの喜びを感じ取り、胸の奥でようやく安堵の息をつくのだった。

「……その様子だと、上手くいったんだね」
「はい! でも、最初は試験を辞退しようかとも考えたんです……」

「えっ!?」

 アレクシオスは思わず声を上げ、動揺を隠せなかった。

「と、とりあえず服も汚れているし、先に着替えよう。もうすぐ食事の時間だ。そのときにゆっくり聞かせて」
「はい!」


   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


 テーブルの中央にはパンやチーズ、ナッツが彩りよく並び、それぞれの席の前には香ばしく食欲をそそる肉料理と、根菜と鶏肉をじっくり煮込んだスープが湯気を立てていた。

「いただきます!」

 試験の緊張から解放されたカテリーナは、疲労もあってか、ものすごい勢いで食べ始めた。

「あ、あのカテリーナ……もう少しゆっくり、よく噛んで食べようね」
「ヴぁいっ!」

 義母カリスタの前では決して見せない姿だった。
 普段は上品さが身についているカテリーナも、信頼できる人しかいない場では心のタガが外れ、張り詰めていた神経の反動で、抑えきれない食欲があふれ出していた。
 それほどまでに、実技試験――特に対人戦は、彼女に計り知れないほどの緊張と負担を与えていたのだった。

 一通り食事が進み、ようやく落ち着いた頃、アレクシオスが口を開いた。

「……で、試験はどうだったんだい?」
「はい。まず、魔力鑑定を待つ列で、名誉を汚される出来事がありました」

「何っ!?」

 アレクシオスが、勢いよく立ち上がる。

 カテリーナが事情を話し終えると、アレクシオスは怒りを爆発させた。

「決闘だッ! よくもカテリーナの名誉を汚してくれたな! 絶対に許さんッ!」
「ままままま、ちょ、ちょっと待ってくださいお兄さま!」

「我が家は私兵を総動員してでも、家同士の全面戦争も辞さないぞ!」

――まずい! お兄さまは、私のことになるとすぐ暴走するんだった……!

 カテリーナは深呼吸し、冷静に言葉を選んだ。

「……お兄さま。私の名誉ですから、私の手で回復させてください! 私も騎士を志す者ですので」
「あ、ああ……そうだな。だが、魔法ありの決闘なら当然、私も参戦するぞッ!」

「まあ、待ってください。もしかしたら、選抜者騎士トーナメントで相まみえるかもしれません」
「そうなのか?……だが、もし戦う機会がなければ、我がルクサリス家の名誉を賭けて、私も全力でいくぞ!」

――えぇっ!? このままじゃカリスティア王国で内戦が起きちゃう! どうか、アイツと私がトーナメントで当たりますように……!

 カテリーナは心の中で女神さまに必死に祈るのだった。

「ああ、興奮してすまない。次の実技試験はどうだった?」
「はい。まず攻撃の型の試験ですが、上手くいったと思います」

「詳しく話して」
「集団で同じ型を披露したのですが、明らかに……その……他の受験生の動きにキレがありませんでした」

 アレクシオスは満足げに頷く。

「披露が終わったあと、気のせいかもしれませんが……騎士の方々から、何か認められたような視線を感じました」

「素晴らしい! まあ、当然だろう。カテリーナの型なら受験生とはレベルが違うはずだからね!」
「……そうなのですか?」

「そうだよ。僕は150%を目標に仕上げたからね。あの型をカテリーナのレベルまで極めてきた受験生なんて、他にいないさ」
「なら、よかったです!」

「では、防御の型は?」
「はい。ここでもちょっとトラブルが……」

「何っ!?」

 再び、アレクシオスが勢いよく立ち上がる。

――あっ! いけない、言い方を考えなきゃ。

「お兄さまの予想通り右側の方へ配置されたのですが、その組に左利きは私しかおらず、最右翼でした」

 アレクシオスは真剣な表情でうなずく。

「女性ということで目立っていたせいか、教官からかなり激しい当たりを受けました。しかし、お兄さまとの訓練の成果もあって、全く崩れることはなかったのですが……」

 アレクシオスの眉がピクリと動く。

「教官が苛立ち始め、ついに剣を抜いてきました。そこで、お兄さまに教わった盾で剣の勢いをらす技を使いました」
「それで!?」

「それが上手くはまって、教官役の方が転んでしまいました!」
「素晴らしい! “らし”が決まったんだね!」

「はい。ですが激昂されてしまって……えーっと、マルキアノス団長さんでしたっけ、その教官を交代させました」
「えっ!? マルキアノス・ファレグス殿が……そうか……」

「その後は、別の教官のもと最後まで滞りなく進みましたので、問題はなかったと思います」
「うん、それなら大丈夫そうだね」

「ただ、外された教官が捨て台詞を残して去ったのですが……次の対戦実技の二戦目に、また出てきたんです!」
「何っ!?」

 カテリーナの説明は、アレクシオスの感情を何度も揺さぶるのだった。
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