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第五章 おもい
47.緊急事態
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私の様子がおかしいことに気付いたアキくんは、パソコンから目を離してこちらに。
「ユキちゃん、どうしたの?」
「い、今、付喪神たちが来て、葵さんが蔵を燃やすつもりだって……!」
混乱して上手く話せない私と違って、アキくんはそれを聞くと真剣な顔で黙りこんだ。
「金品を狙ってる葵さんが燃やす理由はないはずだけど……ねえ、どうしてそう思ったのか聞いてもいい?」
『あの女、ライターを持っていったの!私の物にならないんなら、全部なくなってしまえって!』
『怖い顔をしてた!怖い顔をしてた!』
なんて八つ当たりだ。怒りがわいてくるのをぐっと堪えてその言葉を伝えると、アキくんは目の色を変えてパソコンを操作する。
「こういう蔵って必ず消防システムがあるはずなんだけど……あった!」
そして目的の物を見つけると、私の方に画面を向けた。蔵の間取りだ。
「これを起動させれば、たとえ火をつけられなくても目くらましにはなると思う。水が出るタイプならいいんだけど、分からないな……」
アキくんは地図上の一点を指したが、私には全く見当もつかない。
この付近をやみくもに探すしかないのかと考えていると、肩に止まっていた金色の鳥が口を開いた。
『消防システムなら見たことあるわ。私が連れてってあげる!』
「あ、付喪神が案内してくれるって!私行ってくるから、アキくんはここで葵さんたちを見張って!」
そう言って立ち上がった瞬間、がしっと腕を掴まれた。
「待って。火がつけられるかもしれない場所に、ユキちゃん一人を行かせられないよ」
「でも、ここを空けるわけにはいかないよ。まだ何かが起きるかもしれないのに」
「じゃあぼくが行く!」
「付喪神が見えないアキくんじゃあ見つけるのが遅くなっちゃう」
アキくんがぐっと押し黙る。ふと、颯馬くんの言葉を思い出した。
「アキくん。私がここに残っても、いざって時に警察とかに上手く事情を説明できないよ。だから、私は私にできることをやるの」
「…………でも」
「中に入らないから。約束するよ」
アキくんはじっと私の目を見つめると、やがて根負けしたようにうなずいた。
「……約束だよ」
「うん!」
話がついた瞬間、金色の鳥はひらりと飛び上がった。
『ついてきて』
「分かった!」
私は慌ててその後を追いかける。
(自分の物にならないから燃やすなんて、そんなの許せない!)
あそこに置いてあったのは、どれもたくさんの人の手を渡ってきた物ばかりだ。
いろんな思いがあって、今あの蔵で眠っている。そんな理由で、私の友達のように消えるなんて絶対に許せない!
私は全力で蔵まで走ると、金色の鳥の案内に沿って裏側に回る。
ここは後から建てられた場所だからか、すぐ近くに木がたくさん生えている。蔵に火の手が上がれば、あっという間に燃え広がってしまうだろう。
『ここよ。緑のボタンを押せばいいって言っていたわ』
消防システムは、蔵の裏の中央にあった。地面すれすれにあるそれは、壁と同化するように設置されている。
しゃがんで蓋を開ければ、中からコントロールパネルが出てきた。見た目に合わず意外と現代的だ。
(あ、でもこれじゃいつ起動させればいいか分からない……)
とりあえずまだ何事もなさそうなことに安心して、少し息を整える。
どこかで中の様子を確認できるところはないかと周りを見渡せば、私は消防システムの少し右に変わった形のレンガが埋まっていることに気が付いた。
よく見ればそれは換気口で、試しに触ってみれば見た目にそぐわずすぐ取り外せた。
「これって器物破損にならないよね……?」
とうとう私まで悪いことをしてしまったと思いつつ、私は身をかがめて聞き耳を立てた。
「ユキちゃん、どうしたの?」
「い、今、付喪神たちが来て、葵さんが蔵を燃やすつもりだって……!」
混乱して上手く話せない私と違って、アキくんはそれを聞くと真剣な顔で黙りこんだ。
「金品を狙ってる葵さんが燃やす理由はないはずだけど……ねえ、どうしてそう思ったのか聞いてもいい?」
『あの女、ライターを持っていったの!私の物にならないんなら、全部なくなってしまえって!』
『怖い顔をしてた!怖い顔をしてた!』
なんて八つ当たりだ。怒りがわいてくるのをぐっと堪えてその言葉を伝えると、アキくんは目の色を変えてパソコンを操作する。
「こういう蔵って必ず消防システムがあるはずなんだけど……あった!」
そして目的の物を見つけると、私の方に画面を向けた。蔵の間取りだ。
「これを起動させれば、たとえ火をつけられなくても目くらましにはなると思う。水が出るタイプならいいんだけど、分からないな……」
アキくんは地図上の一点を指したが、私には全く見当もつかない。
この付近をやみくもに探すしかないのかと考えていると、肩に止まっていた金色の鳥が口を開いた。
『消防システムなら見たことあるわ。私が連れてってあげる!』
「あ、付喪神が案内してくれるって!私行ってくるから、アキくんはここで葵さんたちを見張って!」
そう言って立ち上がった瞬間、がしっと腕を掴まれた。
「待って。火がつけられるかもしれない場所に、ユキちゃん一人を行かせられないよ」
「でも、ここを空けるわけにはいかないよ。まだ何かが起きるかもしれないのに」
「じゃあぼくが行く!」
「付喪神が見えないアキくんじゃあ見つけるのが遅くなっちゃう」
アキくんがぐっと押し黙る。ふと、颯馬くんの言葉を思い出した。
「アキくん。私がここに残っても、いざって時に警察とかに上手く事情を説明できないよ。だから、私は私にできることをやるの」
「…………でも」
「中に入らないから。約束するよ」
アキくんはじっと私の目を見つめると、やがて根負けしたようにうなずいた。
「……約束だよ」
「うん!」
話がついた瞬間、金色の鳥はひらりと飛び上がった。
『ついてきて』
「分かった!」
私は慌ててその後を追いかける。
(自分の物にならないから燃やすなんて、そんなの許せない!)
あそこに置いてあったのは、どれもたくさんの人の手を渡ってきた物ばかりだ。
いろんな思いがあって、今あの蔵で眠っている。そんな理由で、私の友達のように消えるなんて絶対に許せない!
私は全力で蔵まで走ると、金色の鳥の案内に沿って裏側に回る。
ここは後から建てられた場所だからか、すぐ近くに木がたくさん生えている。蔵に火の手が上がれば、あっという間に燃え広がってしまうだろう。
『ここよ。緑のボタンを押せばいいって言っていたわ』
消防システムは、蔵の裏の中央にあった。地面すれすれにあるそれは、壁と同化するように設置されている。
しゃがんで蓋を開ければ、中からコントロールパネルが出てきた。見た目に合わず意外と現代的だ。
(あ、でもこれじゃいつ起動させればいいか分からない……)
とりあえずまだ何事もなさそうなことに安心して、少し息を整える。
どこかで中の様子を確認できるところはないかと周りを見渡せば、私は消防システムの少し右に変わった形のレンガが埋まっていることに気が付いた。
よく見ればそれは換気口で、試しに触ってみれば見た目にそぐわずすぐ取り外せた。
「これって器物破損にならないよね……?」
とうとう私まで悪いことをしてしまったと思いつつ、私は身をかがめて聞き耳を立てた。
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