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エピソード8:焼却炉の底、隠された真実 Ver.3
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藍と蓮は、学園の隅にひっそりとたたずむ、古びた焼却炉の前に立っていた。
さびついた鉄の扉は、長年の風雨にさらされ、今にもくずれ落ちそうに見える。
藍「ここ、本当に何もなさそうだね。都市伝説でも、焼却炉の秘密なんて聞いたことないし……」
蓮「そうだね。でも、鍵が見つかったんだ。何かあるはずだよ」
蓮が焼却炉の扉に手をかけると、ギィィィと重い音を立てて、扉がゆっくりと開いた。
中はすすで真っ黒になっており、何も見えない。
二人はスマートフォンで中を照らし、すみずみまで念入りに調べた。しかし、何の手がかりも見つからない。
藍「うーん、やっぱり何もなさそうだね。鍵はどこかの引き出しの鍵だったのかな……」
藍は肩を落とし、疲れたように焼却炉の壁に手をついた。
その瞬間、未来スコープのレンズの脇にひっそりと埋め込まれた小さなランプが淡く光を放った。
藍は慌ててスコープをのぞき込む。
映し出されたのは、校長が焼却炉の床のすすを払い、床下収納のようなフタを開ける姿だった。
校長はフタの下に続く暗い階段を降りていき、その先にあった重厚な扉に、あの真ちゅう製の鍵を差し込み、カチリと音を立てて開ける姿が鮮明に映っていた。
藍「えっ、嘘でしょ!?」
藍は驚き、声を上げた。
藍「蓮くん、ここだよ!焼却炉の床の下に、隠し地下室があるんだ!」
蓮「そうゆうことか……。まさか、こんなところに」
二人は協力して、焼却炉の床に積もったすすをどかした。
すると、未来スコープの映像と寸分たがわぬ、床下収納のような四角いフタが現れた。
ギギギと鈍い音を立ててフタを持ち上げると、その下には、暗闇へと続く、古びた石の階段が現れた。
ひんやりとした空気が、階段の奥からただよってくる。
藍「ここが、学園の秘密が隠されている場所なんだ……!」
蓮「気を付けて、藍。何があるかわからない」
二人は顔を見合わせ、固くうなずき合った。
そして、スマートフォンのライトを頼りに、その暗い階段をゆっくりと降りていった。
地下室は、学園の地下深くに広がる、薄暗く湿った空間だった。
ほこりとカビのにおいが鼻を突き、壁にはびっしりとコケが生えている。
その中央には、金属製の頑丈な扉があり、藍はためらうことなく、見つけた真ちゅう製の鍵を差し込んだ。
カチリ、と軽快な音がして、鍵が開いた。
扉の奥に広がっていたのは、驚くほど整理された部屋だった。
壁一面に書類棚が並び、その棚には大量のファイルが整然と収められている。
中央には大きな机が置かれ、その上には分厚い帳簿の山が積み上げられていた。
藍「これ、もしかして……!」
藍は机に駆け寄り、積まれた帳簿を手に取った。
そこには、学園の収支に関する詳細なデータが記されている。
日付、金額、そして不自然な数字の羅列。
理事長の印鑑が押された書類も多数見つかった。
それらは、未来スコープが時計台で映し出した不正の証拠と、完全に一致していた。
藍「やった!蓮くん、これだよ!これが、学園の不正の証拠だ!」
藍は興奮して蓮に振り返った。
蓮の顔にも、安どと達成感が浮かんでいる。
藍「これがあれば、校長先生も理事長も、もうごまかせない!すぐに警察に届けよう!」
藍はそう言って、帳簿を抱え、駆け出そうとした。
しかし、蓮の腕が藍の行く手を阻んだ。
蓮「待って、藍」
藍「どうしたの、蓮くん?早く警察に届けないと!」
蓮「……それは、僕に渡してほしい」
蓮の声は、いつになく真剣だった。
藍は驚いて、蓮を見上げた。
藍「え?なんで?私たちが見つけた証拠なのに!どうして?警察に届けないの?」
蓮「今は言えない。でも、僕を信じてほしい」
蓮の瞳は、藍をまっすぐに見つめていた。
その瞳には、何か深い決意と、そして藍には理解できない複雑な感情が混じり合っていた。
藍「そんなの……嫌だよ!一緒に見つけた証拠なのに!蓮くん、まさか……」
蓮「ごめん。だけど、これは僕が持っていく」
蓮はそう言うと、藍の手から証拠の帳簿を静かに、しかし有無を言わさぬ力で取り上げた。
そして、藍の返事を待たずに、来た道を駆け上がっていった。
藍「蓮くん!待ってよ!いったいどういうこと!?」
藍の叫び声が、薄暗い地下室にむなしく響いた。
蓮の背中は、あっという間に暗闇に消えていった。
さびついた鉄の扉は、長年の風雨にさらされ、今にもくずれ落ちそうに見える。
藍「ここ、本当に何もなさそうだね。都市伝説でも、焼却炉の秘密なんて聞いたことないし……」
蓮「そうだね。でも、鍵が見つかったんだ。何かあるはずだよ」
蓮が焼却炉の扉に手をかけると、ギィィィと重い音を立てて、扉がゆっくりと開いた。
中はすすで真っ黒になっており、何も見えない。
二人はスマートフォンで中を照らし、すみずみまで念入りに調べた。しかし、何の手がかりも見つからない。
藍「うーん、やっぱり何もなさそうだね。鍵はどこかの引き出しの鍵だったのかな……」
藍は肩を落とし、疲れたように焼却炉の壁に手をついた。
その瞬間、未来スコープのレンズの脇にひっそりと埋め込まれた小さなランプが淡く光を放った。
藍は慌ててスコープをのぞき込む。
映し出されたのは、校長が焼却炉の床のすすを払い、床下収納のようなフタを開ける姿だった。
校長はフタの下に続く暗い階段を降りていき、その先にあった重厚な扉に、あの真ちゅう製の鍵を差し込み、カチリと音を立てて開ける姿が鮮明に映っていた。
藍「えっ、嘘でしょ!?」
藍は驚き、声を上げた。
藍「蓮くん、ここだよ!焼却炉の床の下に、隠し地下室があるんだ!」
蓮「そうゆうことか……。まさか、こんなところに」
二人は協力して、焼却炉の床に積もったすすをどかした。
すると、未来スコープの映像と寸分たがわぬ、床下収納のような四角いフタが現れた。
ギギギと鈍い音を立ててフタを持ち上げると、その下には、暗闇へと続く、古びた石の階段が現れた。
ひんやりとした空気が、階段の奥からただよってくる。
藍「ここが、学園の秘密が隠されている場所なんだ……!」
蓮「気を付けて、藍。何があるかわからない」
二人は顔を見合わせ、固くうなずき合った。
そして、スマートフォンのライトを頼りに、その暗い階段をゆっくりと降りていった。
地下室は、学園の地下深くに広がる、薄暗く湿った空間だった。
ほこりとカビのにおいが鼻を突き、壁にはびっしりとコケが生えている。
その中央には、金属製の頑丈な扉があり、藍はためらうことなく、見つけた真ちゅう製の鍵を差し込んだ。
カチリ、と軽快な音がして、鍵が開いた。
扉の奥に広がっていたのは、驚くほど整理された部屋だった。
壁一面に書類棚が並び、その棚には大量のファイルが整然と収められている。
中央には大きな机が置かれ、その上には分厚い帳簿の山が積み上げられていた。
藍「これ、もしかして……!」
藍は机に駆け寄り、積まれた帳簿を手に取った。
そこには、学園の収支に関する詳細なデータが記されている。
日付、金額、そして不自然な数字の羅列。
理事長の印鑑が押された書類も多数見つかった。
それらは、未来スコープが時計台で映し出した不正の証拠と、完全に一致していた。
藍「やった!蓮くん、これだよ!これが、学園の不正の証拠だ!」
藍は興奮して蓮に振り返った。
蓮の顔にも、安どと達成感が浮かんでいる。
藍「これがあれば、校長先生も理事長も、もうごまかせない!すぐに警察に届けよう!」
藍はそう言って、帳簿を抱え、駆け出そうとした。
しかし、蓮の腕が藍の行く手を阻んだ。
蓮「待って、藍」
藍「どうしたの、蓮くん?早く警察に届けないと!」
蓮「……それは、僕に渡してほしい」
蓮の声は、いつになく真剣だった。
藍は驚いて、蓮を見上げた。
藍「え?なんで?私たちが見つけた証拠なのに!どうして?警察に届けないの?」
蓮「今は言えない。でも、僕を信じてほしい」
蓮の瞳は、藍をまっすぐに見つめていた。
その瞳には、何か深い決意と、そして藍には理解できない複雑な感情が混じり合っていた。
藍「そんなの……嫌だよ!一緒に見つけた証拠なのに!蓮くん、まさか……」
蓮「ごめん。だけど、これは僕が持っていく」
蓮はそう言うと、藍の手から証拠の帳簿を静かに、しかし有無を言わさぬ力で取り上げた。
そして、藍の返事を待たずに、来た道を駆け上がっていった。
藍「蓮くん!待ってよ!いったいどういうこと!?」
藍の叫び声が、薄暗い地下室にむなしく響いた。
蓮の背中は、あっという間に暗闇に消えていった。
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