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エピソード4:夢と予感、交錯する世界 Ver.18
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陽光学園の敷地は、清風学園とは比べ物にならないほど広大だった。
歴史を感じさせる重厚な図書館、最新鋭の設備が整った研究棟、そして広々としたグラウンド。
そのグラウンドの片隅にあるベンチで、一条 悟(いちじょう さとる 18歳)はスマートフォンを眺めていた。
日に焼けた健康的な肌に、涼しげな目元が特徴的だ。
「悟くん!」
明るく弾んだ声が、グラウンドに響き渡った。
一条は、スマートフォンの画面から顔を上げた。
「また、そこにいたんだ」
駆け寄ってきたのは、隣のクラスの桜井 美咲(さくらい みさき 17歳)。
陽光学園の制服を自分らしく着こなしている彼女は、ショートヘアがよく似合う快活な印象だ。
一条とは、最近になってぐっと距離が縮まったばかりの友人だった。
「桜井さん。どうしたの?」
一条が問うと、美咲は少し頬を膨らませた。
「どうしたの、じゃないよ!ほら、もうすぐ図書館閉まっちゃう時間だよ?今日、資料を探しに行くって言ってたじゃない」
美咲は呆れたような、しかし少し寂しそうな目で一条を見つめた。
一条が最近、上の空なことが多いのを心配している。
「ああ、悪い。ちょっと考え事をしてた」
「夢の、女の子のこと?」
美咲はわざと軽い調子で尋ねた。
一条がその夢の話を時々するようになってから、美咲の心は常にざわついている。
(やっと、悟くんとこうして話せるようになったのに。この関係を、壊したくない。だけど、夢に出てくるというその子を、悟くんは少し気にしているみたいで…)
夢の相手が自分ではないかと、微かな期待を抱く一方で、彼の口から語られる断片的な描写が、どうしても自分とは重ならないことに、小さな絶望を感じてもいた。
「うん…。また、あの夢を見たんだ」
一条は小さく呟いた。
ここ最近、奇妙な夢を頻繁に見ていた。
最初は断片的で曖昧だったが、徐々に鮮明さを増している。
夕焼けに染まる屋上、風になびく長い髪、そして、自分の名を呼ぶか細い声。
「君のこと、ずっと…」
顔はいつも逆光でぼやけて見えないが、唇に触れる柔らかい感触と、どこか懐かしい甘い香りは、夢とは思えないほどリアルだった。
「ふーん。で、今回はどんな夢だったわけ?」
美咲はわざと明るく振る舞いながら、一条の隣に座った。
「それがさ…今回は、もっと鮮明だったんだ。屋上だけじゃなくて、古い街並みが一瞬見えた気がした。すごく古くて、でもどこか懐かしい風景でさ」
一条は腕を組み、記憶を辿るように空を見上げた。
「へえ、古い街並みかぁ…。他に何か、夢に出てきた特徴とかってあった?」
美咲は、さりげなく、しかし必死に尋ねる。
「んー、そうだな…。やっぱり、いつも髪が長かった気がするんだ。風になびく感じが、印象的で…」
一条の言葉に、美咲は自分のショートヘアにそっと触れた。
「…そっか。長い髪、か」
美咲の声が、ほんの少し沈んだ。
(私の髪はショートだから、やっぱり私じゃないよね…。でも、もしかしたら、この髪型じゃなくて、もっと…)
「もしかして、私、髪伸ばしてみようかな…」
小さく呟く美咲の言葉は、一条の耳には届かなかった。
彼は再び、夢の風景に思いを馳せている。
美咲はそんな一条をじっと見つめる。
(悟くんの隣にいる時間が、今は何よりも大切。
この関係を保つためなら、どんなことでも。
たとえ、それが悟くんが気にする夢の女の子に繋がることだとしても…)
美咲の胸には、どうしようもない切なさと、それでも彼の一番近くにいたいという、強い想いが渦巻いていた。
「古い街並みねぇ…。それって、もしかして…」
美咲は何かを思いついたように、きらりと目を輝かせた。
彼との会話を続けたい。
そして、もしかしたら、自分が彼の夢を解き明かす手助けをすることで、彼の「夢の女の子」への想いを、少しでも自分に向けられるかもしれない。
「桜井さん、何か知ってるのか?」
一条の問いに、美咲は少し戸惑った表情を見せた。
「うーん、確信はないんだけど…。私のおばあちゃんの家、すごく古いんだけど、その家の蔵にね、昔の古い地図がたくさんあるの。
ただ、すごく年代物で、もうほとんど文字が読めなくなっちゃってて…。
写真も、すごく古くて、今じゃほとんど判別できないくらいなの。
だから、もし本当に悟くんの夢と関係あるなら、図書館とかでちゃんと調べるしかないかなって…」
美咲の言葉に、一条の目がわずかに見開かれた。
「そうか、そういうことか…。じゃあ、まずは図書館で資料を探してみよう。古道について書かれた本とか、何かないかな」
一条の脳裏に、夢で見た古びた街並みの断片がフラッシュバックした。
それは、もしかしたら美咲の言う幻の古道に点在する、昔の建物の名残なのかもしれない。
「うん!喜んで。もしかしたら、悟くんの夢にぴったり合うような、そんな場所が見つかるかもしれないね」
美咲の提案に、一条の顔に僅かながら期待の色が浮かんだ。
彼は夢の相手が誰なのか、それが本当に存在するのか、ずっと知りたかった。
そして、もし美咲がその手がかりになるなら、これほど心強いことはない。
「本当か!?ありがとう、桜井さん。助かるよ」
一条の言葉に、美咲は複雑な笑みを浮かべた。
(彼の役に立てるのは嬉しい。
でも、それが、私じゃない夢の女の子に繋がっちゃうのかな…。それでも、悟くんが喜んでくれるなら…)
胸の奥が少しだけチクリと痛んだ。
それでも、彼のためにできることがあるならと、美咲は精一杯の笑顔を作った。
二人は立ち上がり、図書館へ向かった。
一条は夢の続きを探し、美咲は彼の隣で、自分たちの未来がどこへ向かうのか、漠然とした不安を抱えながらも、彼を支えようと決めていた。
図書館は、陽光学園の敷地の中でもひときわ大きな建物だった。
高い天井、ずらりと並んだ書架は圧巻だ。
一条と美咲は、歴史や郷土史のコーナーへと足を向けた。
「おばあちゃんの話だと、その幻の古道は、昔の街道の一部だったらしいの。
今はもう地図にも載ってないから、本当に幻みたいになってるんだけど」
美咲は書架から何冊かの郷土史の本を引っ張り出しながら話す。
「なるほど。じゃあ、まずはその古道の痕跡を探すことからだな」
一条は真剣な表情で本の目次を眺めた。
彼の頭の中は、夢で見た風景と、美咲の話が結びつき始めていた。
(悟くん、やっぱり夢の女の子のことを気にしているんだな…。私じゃ、ダメなのかな…)
美咲は、一条の横顔を見つめながら、本のページをめくるふりをした。
その日は結局、具体的な手がかりは見つからなかった。
それでも、一条は美咲の話に希望を見出し、図書館での調べ物を続けることを決めた。
美咲もまた、彼のそばにいられる時間を大切にしようと、毎日図書館に通うようになった。
数日後。
「悟くん、これ見て!」
図書館の郷土史コーナーで、美咲が小さな声で興奮したように言った。
彼女が指差すページには、古びた白黒写真が掲載されていた。
それは、美咲の夢で見たものと酷似した、苔むした石段と、その先に続く森の小道の写真だった。
写真の下には、『湯河原しとどの窟奥隠された古道の一部』と記されている。
「これ…!」
一条は写真に釘付けになった。
彼の夢に出てくる街並みの雰囲気に、驚くほど近かった。
「おばあちゃんが言ってた場所と、きっとここだね!この本に、この古道の詳しい場所が載ってるみたいだよ!」
美咲は本の地図のページを指差した。
「本当か!ありがとう、桜井さん!これで、場所が特定できるかもしれない!」
一条は心からの感謝を美咲に伝えた。
美咲は一条の笑顔を見て、胸のチクリとした痛みを感じながらも、やはり嬉しかった。
(これで、また一歩、悟くんが気になる場所に近づけたんだ。
それが私のためじゃなくても、悟くんの役に立てたなら…)
美咲は複雑な思いを胸に秘めつつ、一条と共に、本の地図の場所へと目を向けた。
二人は電車とバスを乗り継ぎ、湯河原の山間へと向かった。
車窓から見える景色は、賑やかな街並みから次第に緑深い山へと変わっていく。
バスを降りると、そこには人工の気配が薄れ、鳥のさえずりや風の音が響くばかりの、しんとした静寂が広がっていた。
「わぁ…本当にこんなところに、古道があるんだね」
美咲は思わず声を上げた。
空気がひんやりと澄んでいて、都会の喧騒とはかけ離れた雰囲気に、少しだけ緊張が走る。
「地図だと、この辺りから道が続いてるはずなんだけど…」
一条は手に持った地図を広げ、周囲を見回す。
鬱蒼と茂る木々の中に、かろうじて人が通ったような痕跡が見える。
一条が足を踏み入れようとした時、美咲がそっと彼の袖を引いた。
(悟くんの夢、本当に叶うのかな。それが私じゃないとしても…)
彼女の胸には、少しの不安と、彼への複雑な想いが入り混じっていた。
しかし、一条の瞳の奥に宿る真剣な光を見て、美咲は小さく頷いた。
苔むした石段を登り、細い山道を分け入る。
歩き慣れない道に美咲の足元がふらついた時、一条がすかさず手を差し伸べた。
「大丈夫か、桜井さん?」
「うん、ありがとう、悟くん」
美咲は一条の手に触れ、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
(こんなふうに二人きりで、まるでデートみたいだ。
この時間が、ずっと続けばいいのに…)
やがて、二人は開けた場所に出た。
そこには、書籍の写真で見た通りの、古びた鳥居がひっそりと佇んでいた。
鳥居の奥には、さらに厳かな雰囲気をまとった、苔むした石の祠が鎮座している。
周囲には、時が止まったかのような静寂が漂っていた。
「ここだ…!」
一条は吸い寄せられるように祠へと近づき、そっと手を触れた。
その瞬間、彼の耳の奥に、水琴窟のような神秘的な『カラン…』という音が響き渡った。
静寂の中で、その音は彼だけに聞こえているようだった。
美咲は一条の異変に気づき、心配そうに彼の顔を覗き込む。
「悟くん、どうしたの?何かあった?」
「いや、なんでもない…。」
「ねぇ、悟くん。戻って、途中にあった資料館に寄ってみない?何か、この古道について詳しくわかることがあるかもしれないよ」
美咲の提案に、一条は頷いた。郷土資料館の館内は訪れる人も少なく、静まり返っていた。
一条が古道のことを尋ねると、受付にいた高齢の職員が驚いたように顔を上げた。
「おや、あそこの古道にいらっしゃいましたか。
珍しい。あそこはもう、訪れる人もほとんどおらんから…」
職員は、一条と美咲の熱心さに興味を引かれたようだ。
「ええ、少し昔の地図を見て、興味があって…。それに、そこで不思議な音を聞いたんです。水琴窟のような…『カラン…』と」
一条の言葉に、職員の顔から血の気が引いた。
その表情には、驚きと、そしてどこか畏敬の念が混じっていた。
「水琴窟のような音…『カラン』…だと…!?まさか、あんた、その音が聞こえたのか!?」
職員は震える声で呟いた。
その目に宿る驚愕と、一条を見る視線に、ただならぬものが宿る。
美咲は、そのただならぬ雰囲気に息を呑んだ。
「その音は、特別な者にしか聞こえぬ音じゃ。
水琴窟の音は伝説として、わしの家系にだけ密かに引き継がれてきて、誰も知らぬ話じゃった。
秘密裏に引き継がれてきた伝説…。
まさか、あんたがその音を聞くとはのう…!
あの伝説は本当だったのか…!神の啓示か…!」
職員は深いため息をつき、覚悟を決めたように一条と美咲に向き直った。
その顔は、何か重いものを背負ったようだったが、同時に、運命を受け入れたかのような穏やかさも宿していた。
「ワシの家系はな、この古道の言い伝えを、代々口伝で引き継いできた。
本当は、決して口外してはならぬことじゃったが…あんたのように、実際にその音を聞いた者に出会った以上、語らぬわけにはいかぬ」
職員は、声を潜めて語り始めた。
「その『カラン…』という音、それは『共鳴の響き』と呼ばれるものじゃ。
そして、その響きを聞いた二人だけが、持つことを許された道具がある。
それは…『夢紡ぎ鏡(ゆめつむぎきょう)』じゃ」
一条と美咲の顔に、驚愕の表情が浮かんだ。
特に一条は、その言葉に雷に打たれたような衝撃を受ける。
「『夢紡ぎ鏡』はな、古くからこの地に伝わる伝説じゃ。
それは、結ばれぬ恋の想いを、時を超えて未来へと繋ぎ、永遠に紡ぐと言われておる。
異なる時空にいる二人が、この『共鳴の響き』によって繋がり、片や、その『夢紡ぎ鏡』で未来を見、片や、その未来を夢で見る…。
そして、その響きが完全に一つになった時、二人は、真の運命の相手と巡り合うのじゃ」
職員は、まるで古の物語を語るかのように続けた。
その言葉は、一条の心に深く刻み込まれていく。
(僕の夢に出てくるあの子が…『夢紡ぎ鏡』を持っているのか…!?
そして、あの音は、その鏡が発する『共鳴の響き』…!!)
一条は、自身の夢の相手がただの幻ではないこと、そして、その相手が「未来を見る道具」を持っていることを、確信した。
(悟くん、やっぱり夢の女の子のことを気にしているんだな。
こんな伝説まで、真剣に聞いちゃって…。
だけど、私は、やっぱり悟くんが…)
美咲は、隣で真剣な表情を浮かべる一条をじっと見つめた。
彼の役に立てるのは嬉しい。
けれど、それが、自分ではない夢の女の子に繋がるかもしれないと思うと、胸の奥が少しだけチクリと痛んだ。
それでも、彼のためにできることがあるならと、美咲は精一杯の笑顔を作った。
郷土資料館を後にし、一条は美咲を駅まで送った。
別れ際、美咲がふと一条の目を見て尋ねる。
「悟くん…本当に、その夢の女の子のこと、知りたい?」
「ああ。きっと、それが僕の、今一番やりたいことなんだ。
この『夢紡ぎ鏡』が、本当に存在するなら…その子も、きっとどこかにいるはずだから。僕は、その子を探すよ」
一条のまっすぐな返事に、美咲は小さく頷いた。
「そっか。応援してるよ」
美咲は精一杯の笑顔を作り、踵(かかと)を返した。
しかし、その背中は、どこか寂しげに見えた。
その夜、一条は自室のベッドで横になっていた。
郷土資料館で聞いた『夢紡ぎ鏡』の伝説と、『共鳴の響き』の全てが、彼の心を埋め尽くしていた。
彼の見ていた夢は、単なる夢ではなかった。
それは、遥か遠い時を超え、彼に語りかけようとしている、もう一人の運命の相手からのメッセージだったのだ。
一条は、ゆっくりと目をつぶり、夢の彼女の姿を思い描く。
(僕は、あの子を探す。あの『共鳴の響き』で繋がっている、僕の運命のひとを…!)
枕元に置いてあった湯河原で買ったお土産の袋から、湯河原レモンパイを取り出して口にした。
「あ、これ、おいしい!」
歴史を感じさせる重厚な図書館、最新鋭の設備が整った研究棟、そして広々としたグラウンド。
そのグラウンドの片隅にあるベンチで、一条 悟(いちじょう さとる 18歳)はスマートフォンを眺めていた。
日に焼けた健康的な肌に、涼しげな目元が特徴的だ。
「悟くん!」
明るく弾んだ声が、グラウンドに響き渡った。
一条は、スマートフォンの画面から顔を上げた。
「また、そこにいたんだ」
駆け寄ってきたのは、隣のクラスの桜井 美咲(さくらい みさき 17歳)。
陽光学園の制服を自分らしく着こなしている彼女は、ショートヘアがよく似合う快活な印象だ。
一条とは、最近になってぐっと距離が縮まったばかりの友人だった。
「桜井さん。どうしたの?」
一条が問うと、美咲は少し頬を膨らませた。
「どうしたの、じゃないよ!ほら、もうすぐ図書館閉まっちゃう時間だよ?今日、資料を探しに行くって言ってたじゃない」
美咲は呆れたような、しかし少し寂しそうな目で一条を見つめた。
一条が最近、上の空なことが多いのを心配している。
「ああ、悪い。ちょっと考え事をしてた」
「夢の、女の子のこと?」
美咲はわざと軽い調子で尋ねた。
一条がその夢の話を時々するようになってから、美咲の心は常にざわついている。
(やっと、悟くんとこうして話せるようになったのに。この関係を、壊したくない。だけど、夢に出てくるというその子を、悟くんは少し気にしているみたいで…)
夢の相手が自分ではないかと、微かな期待を抱く一方で、彼の口から語られる断片的な描写が、どうしても自分とは重ならないことに、小さな絶望を感じてもいた。
「うん…。また、あの夢を見たんだ」
一条は小さく呟いた。
ここ最近、奇妙な夢を頻繁に見ていた。
最初は断片的で曖昧だったが、徐々に鮮明さを増している。
夕焼けに染まる屋上、風になびく長い髪、そして、自分の名を呼ぶか細い声。
「君のこと、ずっと…」
顔はいつも逆光でぼやけて見えないが、唇に触れる柔らかい感触と、どこか懐かしい甘い香りは、夢とは思えないほどリアルだった。
「ふーん。で、今回はどんな夢だったわけ?」
美咲はわざと明るく振る舞いながら、一条の隣に座った。
「それがさ…今回は、もっと鮮明だったんだ。屋上だけじゃなくて、古い街並みが一瞬見えた気がした。すごく古くて、でもどこか懐かしい風景でさ」
一条は腕を組み、記憶を辿るように空を見上げた。
「へえ、古い街並みかぁ…。他に何か、夢に出てきた特徴とかってあった?」
美咲は、さりげなく、しかし必死に尋ねる。
「んー、そうだな…。やっぱり、いつも髪が長かった気がするんだ。風になびく感じが、印象的で…」
一条の言葉に、美咲は自分のショートヘアにそっと触れた。
「…そっか。長い髪、か」
美咲の声が、ほんの少し沈んだ。
(私の髪はショートだから、やっぱり私じゃないよね…。でも、もしかしたら、この髪型じゃなくて、もっと…)
「もしかして、私、髪伸ばしてみようかな…」
小さく呟く美咲の言葉は、一条の耳には届かなかった。
彼は再び、夢の風景に思いを馳せている。
美咲はそんな一条をじっと見つめる。
(悟くんの隣にいる時間が、今は何よりも大切。
この関係を保つためなら、どんなことでも。
たとえ、それが悟くんが気にする夢の女の子に繋がることだとしても…)
美咲の胸には、どうしようもない切なさと、それでも彼の一番近くにいたいという、強い想いが渦巻いていた。
「古い街並みねぇ…。それって、もしかして…」
美咲は何かを思いついたように、きらりと目を輝かせた。
彼との会話を続けたい。
そして、もしかしたら、自分が彼の夢を解き明かす手助けをすることで、彼の「夢の女の子」への想いを、少しでも自分に向けられるかもしれない。
「桜井さん、何か知ってるのか?」
一条の問いに、美咲は少し戸惑った表情を見せた。
「うーん、確信はないんだけど…。私のおばあちゃんの家、すごく古いんだけど、その家の蔵にね、昔の古い地図がたくさんあるの。
ただ、すごく年代物で、もうほとんど文字が読めなくなっちゃってて…。
写真も、すごく古くて、今じゃほとんど判別できないくらいなの。
だから、もし本当に悟くんの夢と関係あるなら、図書館とかでちゃんと調べるしかないかなって…」
美咲の言葉に、一条の目がわずかに見開かれた。
「そうか、そういうことか…。じゃあ、まずは図書館で資料を探してみよう。古道について書かれた本とか、何かないかな」
一条の脳裏に、夢で見た古びた街並みの断片がフラッシュバックした。
それは、もしかしたら美咲の言う幻の古道に点在する、昔の建物の名残なのかもしれない。
「うん!喜んで。もしかしたら、悟くんの夢にぴったり合うような、そんな場所が見つかるかもしれないね」
美咲の提案に、一条の顔に僅かながら期待の色が浮かんだ。
彼は夢の相手が誰なのか、それが本当に存在するのか、ずっと知りたかった。
そして、もし美咲がその手がかりになるなら、これほど心強いことはない。
「本当か!?ありがとう、桜井さん。助かるよ」
一条の言葉に、美咲は複雑な笑みを浮かべた。
(彼の役に立てるのは嬉しい。
でも、それが、私じゃない夢の女の子に繋がっちゃうのかな…。それでも、悟くんが喜んでくれるなら…)
胸の奥が少しだけチクリと痛んだ。
それでも、彼のためにできることがあるならと、美咲は精一杯の笑顔を作った。
二人は立ち上がり、図書館へ向かった。
一条は夢の続きを探し、美咲は彼の隣で、自分たちの未来がどこへ向かうのか、漠然とした不安を抱えながらも、彼を支えようと決めていた。
図書館は、陽光学園の敷地の中でもひときわ大きな建物だった。
高い天井、ずらりと並んだ書架は圧巻だ。
一条と美咲は、歴史や郷土史のコーナーへと足を向けた。
「おばあちゃんの話だと、その幻の古道は、昔の街道の一部だったらしいの。
今はもう地図にも載ってないから、本当に幻みたいになってるんだけど」
美咲は書架から何冊かの郷土史の本を引っ張り出しながら話す。
「なるほど。じゃあ、まずはその古道の痕跡を探すことからだな」
一条は真剣な表情で本の目次を眺めた。
彼の頭の中は、夢で見た風景と、美咲の話が結びつき始めていた。
(悟くん、やっぱり夢の女の子のことを気にしているんだな…。私じゃ、ダメなのかな…)
美咲は、一条の横顔を見つめながら、本のページをめくるふりをした。
その日は結局、具体的な手がかりは見つからなかった。
それでも、一条は美咲の話に希望を見出し、図書館での調べ物を続けることを決めた。
美咲もまた、彼のそばにいられる時間を大切にしようと、毎日図書館に通うようになった。
数日後。
「悟くん、これ見て!」
図書館の郷土史コーナーで、美咲が小さな声で興奮したように言った。
彼女が指差すページには、古びた白黒写真が掲載されていた。
それは、美咲の夢で見たものと酷似した、苔むした石段と、その先に続く森の小道の写真だった。
写真の下には、『湯河原しとどの窟奥隠された古道の一部』と記されている。
「これ…!」
一条は写真に釘付けになった。
彼の夢に出てくる街並みの雰囲気に、驚くほど近かった。
「おばあちゃんが言ってた場所と、きっとここだね!この本に、この古道の詳しい場所が載ってるみたいだよ!」
美咲は本の地図のページを指差した。
「本当か!ありがとう、桜井さん!これで、場所が特定できるかもしれない!」
一条は心からの感謝を美咲に伝えた。
美咲は一条の笑顔を見て、胸のチクリとした痛みを感じながらも、やはり嬉しかった。
(これで、また一歩、悟くんが気になる場所に近づけたんだ。
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「わぁ…本当にこんなところに、古道があるんだね」
美咲は思わず声を上げた。
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「地図だと、この辺りから道が続いてるはずなんだけど…」
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(悟くんの夢、本当に叶うのかな。それが私じゃないとしても…)
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しかし、一条の瞳の奥に宿る真剣な光を見て、美咲は小さく頷いた。
苔むした石段を登り、細い山道を分け入る。
歩き慣れない道に美咲の足元がふらついた時、一条がすかさず手を差し伸べた。
「大丈夫か、桜井さん?」
「うん、ありがとう、悟くん」
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この時間が、ずっと続けばいいのに…)
やがて、二人は開けた場所に出た。
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鳥居の奥には、さらに厳かな雰囲気をまとった、苔むした石の祠が鎮座している。
周囲には、時が止まったかのような静寂が漂っていた。
「ここだ…!」
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その瞬間、彼の耳の奥に、水琴窟のような神秘的な『カラン…』という音が響き渡った。
静寂の中で、その音は彼だけに聞こえているようだった。
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「いや、なんでもない…。」
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「おや、あそこの古道にいらっしゃいましたか。
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まさか、あんたがその音を聞くとはのう…!
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その顔は、何か重いものを背負ったようだったが、同時に、運命を受け入れたかのような穏やかさも宿していた。
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本当は、決して口外してはならぬことじゃったが…あんたのように、実際にその音を聞いた者に出会った以上、語らぬわけにはいかぬ」
職員は、声を潜めて語り始めた。
「その『カラン…』という音、それは『共鳴の響き』と呼ばれるものじゃ。
そして、その響きを聞いた二人だけが、持つことを許された道具がある。
それは…『夢紡ぎ鏡(ゆめつむぎきょう)』じゃ」
一条と美咲の顔に、驚愕の表情が浮かんだ。
特に一条は、その言葉に雷に打たれたような衝撃を受ける。
「『夢紡ぎ鏡』はな、古くからこの地に伝わる伝説じゃ。
それは、結ばれぬ恋の想いを、時を超えて未来へと繋ぎ、永遠に紡ぐと言われておる。
異なる時空にいる二人が、この『共鳴の響き』によって繋がり、片や、その『夢紡ぎ鏡』で未来を見、片や、その未来を夢で見る…。
そして、その響きが完全に一つになった時、二人は、真の運命の相手と巡り合うのじゃ」
職員は、まるで古の物語を語るかのように続けた。
その言葉は、一条の心に深く刻み込まれていく。
(僕の夢に出てくるあの子が…『夢紡ぎ鏡』を持っているのか…!?
そして、あの音は、その鏡が発する『共鳴の響き』…!!)
一条は、自身の夢の相手がただの幻ではないこと、そして、その相手が「未来を見る道具」を持っていることを、確信した。
(悟くん、やっぱり夢の女の子のことを気にしているんだな。
こんな伝説まで、真剣に聞いちゃって…。
だけど、私は、やっぱり悟くんが…)
美咲は、隣で真剣な表情を浮かべる一条をじっと見つめた。
彼の役に立てるのは嬉しい。
けれど、それが、自分ではない夢の女の子に繋がるかもしれないと思うと、胸の奥が少しだけチクリと痛んだ。
それでも、彼のためにできることがあるならと、美咲は精一杯の笑顔を作った。
郷土資料館を後にし、一条は美咲を駅まで送った。
別れ際、美咲がふと一条の目を見て尋ねる。
「悟くん…本当に、その夢の女の子のこと、知りたい?」
「ああ。きっと、それが僕の、今一番やりたいことなんだ。
この『夢紡ぎ鏡』が、本当に存在するなら…その子も、きっとどこかにいるはずだから。僕は、その子を探すよ」
一条のまっすぐな返事に、美咲は小さく頷いた。
「そっか。応援してるよ」
美咲は精一杯の笑顔を作り、踵(かかと)を返した。
しかし、その背中は、どこか寂しげに見えた。
その夜、一条は自室のベッドで横になっていた。
郷土資料館で聞いた『夢紡ぎ鏡』の伝説と、『共鳴の響き』の全てが、彼の心を埋め尽くしていた。
彼の見ていた夢は、単なる夢ではなかった。
それは、遥か遠い時を超え、彼に語りかけようとしている、もう一人の運命の相手からのメッセージだったのだ。
一条は、ゆっくりと目をつぶり、夢の彼女の姿を思い描く。
(僕は、あの子を探す。あの『共鳴の響き』で繋がっている、僕の運命のひとを…!)
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それは、未来を“見る”だけでなく、“触れたものの行く末を映す”装置だった。
好奇心旺盛な藍は、未来スコープを通して、学園に潜む都市伝説や不可解な出来事の真相に迫っていく。
旧校舎の謎、転校生・蓮の正体、そして学園の奥深くに潜む秘密。
見えた未来が、藍たちの運命を大きく揺るがしていく。
未来スコープが映し出すのは、甘く切ないだけではない未来。
誰かを信じる気持ち、誰かを疑う勇気、そして真実を暴く覚悟。
藍は「信じるとはどういうことか」を問われていく。
この物語は、好奇心と正義感、友情と疑念の狭間で揺れながら、自分の軸を見つけていく少女の記録です。
感情の揺らぎと、未来への探究心が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第3作。
読後、きっと「誰かを信じるとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP
じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】
悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。
「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。
いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――
クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
パンダを演じたツキノワグマ:愛されたのは僕ではなく、塗りたくった小麦粉だった
tom_eny
児童書・童話
「なぜ、あいつばかりが愛される?」
山奥の孤独なツキノワグマ・ゴローは、人々に熱狂的に愛される「パンダ」に嫉妬した。
里で見つけた小麦粉を被り、彼は偽りのアイドルへと変貌を遂げる。
人々を熱狂させた「純白の毛並み」。
しかし、真夏の灼熱がその嘘を暴き出す。
脂汗と混じり合い、ドロドロの汚泥となって溶け落ちる自己肯定感。
承認欲求の果てに、孤独な獣が最後に見つけた「本当の自分」の姿とは。
SNS時代の生きづらさを一頭の獣に託して描く、切なくも鋭い現代の寓話。
#AI補助利用
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ【完結】
旅する書斎(☆ほしい)
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】
魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。
ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。
「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」
不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。
甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!
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