【本編完結済み】卒業パーティーで婚約破棄をやらかした王子が『真実の愛』に辿り着くまでの話

むちこ

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蛇足、そして悪役令嬢の一人語り

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私、別にクリストファー様の事を嫌っていたわけではないのよ。だってあの方可愛らしいでしょ?純真で、単純で、真っ直ぐで、すぐ人を信じてしまうお人好し。人としてはまあ、いい方ですわよね。
王として一国を率いる器かは別として。

それだって、回りに優秀な人材はいくらでもいるんですもの、私が眼を光らせて舵取りしていけば国政は上手くまわせたと思いますわ。現に、国王陛下はそのつもりで私をクリストファー様の婚約者に選んだんですもの。陛下もクリストファー様のこと可愛がっていらっしゃいましたもの。
私も公爵家に生まれた女。王命で選ばれた以上、クリストファー様をお支えして大任を果たすつもりでいましたのよ。
そこに男女の愛はなくとも、単純なクリストファー様を手の平の上で転がして平和な国王一家を演出するくらい訳ないですもの。
でも、私は恋をしてしまいましたの!
一つ年下だけど、凛々しくて賢くて素敵な方!
貴族社会の後黒いことも知っていて、それは王家も同じこと、綺麗事では国は治められない事をちゃんとわかっていらっしゃる方。

将来、国王陛下になった時クリストファー様は国益の為に残酷な決断を迫られても選択出来るのか?代わりに、私が決断した時に私は一人で耐えなくてはいけなくなるのではなくて?私にはクリストファー様と分かち合っていけると信じることが出来なかった。一緒にお互いがお互いを支え合える相手と結婚したかった。
私はその支え合える人を見つけてしまった。もう止まることは出来なかった。

お兄様がクリストファー様を愛しているのは気付いていたわ。粘着質なところがさみしがり屋のクリストファー様にはピッタリ!!きっとクリストファーも幸せになれるわ!お兄様に早速相談したら乗り気で、クリストファー様の回りの側近候補たちを第二王子派に誘導して、学園に入る頃にはクリストファー様の側にいるのはお兄様だけ、流石の手腕でしたわ。

どうやって私とクリストファー様の婚約を取消して、第二王子を立太子させるか?決定打をみつけられずに、対応を決めかねていた時にマーガレットが学園に編入して来たの。彼女凄かったわ!色々な男子生徒や教師まで手懐けて、貢がせたり、成績を優遇してもらったり、自分に有益な男性を次々虜にしていったのよ。身一つで学園を伸し上っていく姿には感服たしわ。
一つ年上のお兄様が卒業してクリストファー様が寂しく感じている時にマーガレットがクリストファー様に近付いて、二人は急接近したの。こんなチャンスないと思わない?優しいけど、それ以上の関係に発展しないクリストファー様に業を煮やしてマーガレットが自作自演のいじめを訴えて、同情と使命感で二人の中は親密になった。でも、王族として大切に純粋培養されたクリストファー様が簡単に未婚の女性に手を出す筈もなく、寂しくて関係を持った男達を切れなかったマーガレット。大半の相手がマーガレットとは遊びだったようだから、彼女も悪女に成りきれない抜けた人だったわね。男爵家から籍を抜かれて平民に戻った後、学園時代に貢がせていた商人の息子と結婚したんですって。あんな醜聞を撒き散らしたマーガレットとの結婚に親御さんはもちろん反対されたそうだけど、頭を下げて許してもらって独立して二人で商売を一から始める事にしたそうよ。それこそ真実の愛ってものではないかしら。

卒業パーティーで、クリストファー様とマーガレットが婚約破棄を発表するのは知っていたわ。

マーガレットが接触する前、クリストファー様はお兄様が卒業して領地に戻ってから様子がおかしかったからそろそろ限界だったのが傍目にはよくわかったわ。お兄様はご自分の卒業まではクリストファー様にべったりで囲み込んで、クリストファー様が依存するように仕組んでいらした。それが急になくなって放り出されたらどうなるのかしら?愛する相手にそれが出来てしまうお兄様って、怖いお人よね。

私の書いたシナリオでは、卒業パーティーでクリストファー様とマーガレットをもっと追い詰めて、反対に断罪されて地位を失ったクリストファー様をお兄様が公爵領で囲う予定だったんだけど。陛下とロバート様に邪魔されてしまったわね。結果、目的は達成出来たから結果オーライだったのかしら。

クリストファー様の辺境行きは見事な采配で、国王陛下の方が私達よりずっと上手だったわ。

元々ウェスト領地は、火山の噴火で住民が避難した後復興できずに持て余して、王家に返上された土地で、火山活動も今は落ち着いているし、火山灰のお陰で土壌自体は耕作地に適しているから開発予定ではあったのよね。でも、元々降水量が少ないのに水源が乏しくて開拓するには大規模な水源確保の工事が必要なものだから後回しにされて放置されていたのよ。工事には莫大なお金がかかるもの。

本来かかる筈の莫大な開発費を、クリストファー様の個人資産とお兄様への遺産分配という名の公爵家のお金で賄えて、開拓も勝手にしてくれる、上手く行けば食料生産量も上がる。

更にクリストファー様にお兄様が着いていくと践んで公爵家の後継者を産まれたばかりの弟にすげ替え、表立って公爵家に罰はないように見せて公爵家にしっかり罰を受けさせた。これで父は現役を数十年は退けなくった。引退して母と領地に籠るのを望む父には十分な痛手でしょう。陛下のお前だけ楽はさせないという声が聞こえてきそうですわ。

陛下には私達兄妹の企みなんてお見通しだったんでしょうね。その上でお慈悲を下さった。大切なお子を私達兄妹に預けて下さったんですもの。

私は私の務めを全力で果たしましょう。

愛する方と結ばれて、愛する方を支えられる。私の望んだ幸せを手に入れた。これ以上の喜びを私は知らない。
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