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第一王子のこと
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「クリストファー殿下!」
パーティー会場を出た一行に声をかけるものがいた。
クリストファーの唯一の側近候補で、昨年一年早く学園を卒業したアルバート ノートン。アリシアの兄であり、次期ノートン公爵だった。
「アルバート!!!」
アルバートの姿を見たクリストファーはアルバートに飛び付いた。抱き合って再会を喜ぶ二人。その姿にぎょっとするマーガレット。やれやれと呆れる第二王子と第一王子の婚約者。さっきまでの断罪劇などなかったようにアルバートしか目に入らない様子のクリストファー。
「アルバート!何でお前がここにいるんだ!?領地はいいのか?」
「クリストファー殿下の卒業祝いに駆け付けたに決まってるじゃないですか!領地を出るのが遅くなって会場に入るのが遅くなりました。すいません。」
そこは妹の卒業祝いじゃないのかという突っ込みを容れる気にもならない一行は、クリストファーのことはアルバートに任せて先に王宮に向かう馬車に乗り込んだ。
「いいのだ!お前が来てくれただけでいいのだ!お前に会える以上の喜びはない!アルバート、会えて嬉しい!」
「私もクリストファー殿下にお会いできてこれ以上の喜びはありません。」
そう、一年前アルバートが卒業して領主教育の為に公爵領に帰ってしまってからクリストファーはずっと寂しかったのだ。
側近候補としてずっと一緒にいたアルバートがいなくなって、他にいた筈の側近候補はいつの間にか弟の第二王子の側近候補に鞍替えされていた。婚約者のアリシアは王子妃教育で忙しく、たまに会ってもからかわれて遊ばれるだけ。学園の生徒は親しくはしてくれるけれど王子に対して遠慮もあり踏み込んでは来ない。クリストファーはいつも何か足りない寂しさを抱えて過ごしていた。
そんな時、学園の裏庭で鳩に餌をやっている処にやって来たのがマーガレットだった。
マーガレットは優しかった。アリシアにそんな姿を見られたら、鳩に勝手に餌をやってはいけないと鳩の糞被害の話なんかを絡めてクリストファーが反論出来ない様に叱られただろう。だか、アリシアは鳩に餌をやっていたクリストファーを素直に、優しいんですね。と言って褒めてくれたのだ。その後もマーガレットは会う度クリストファーを手放しで褒めた倒した。
孤独なクリストファーに、マーガレットのなん含みもない単純な称賛は染み込んだ。
いじめを受けているというマーガレットに
、自分が護ってやらなければと庇護欲を掻き立てられた。
自分を好きだと言って、叶わない恋なのだと涙する様が可愛いと思ってキスしていた。因みにファーストキスだった。
マーガレットを好きだと思った。
これこそが、真実の愛だと思った。
ねだられるまま、卒業パーティーでアリシアと婚約破棄してマーガレットと結婚する約束をした。
クリストファーとて、すんなりと一方的な婚約破棄が通るとも、何も咎めがなく済むとも思っていなかった。
でも、クリストファーは寂しくて疲れていて、ずっと満たされなくて、このまま、アリシアと結婚して王太子になって国王になる未来が嫌だったのだ。だって未だ、クリストファーは第一王子なのに王太子ではないのだから。
いっそ壊してでもやめたかったのだ。
だが、今アルバートに会えて嬉しくて嬉しくて…
「クリストファー殿下ご卒業おめでとうございます。」
難しく考えていたこと全部どうでも良くなるくらい、満面の笑顔のアルバートに満たされるものを感じて、クリストファーは自分を満たしてくれるものに気付いた。
――――――――――
「所詮、貴女も私も当て馬でしかないのよ。」
パーティー会場を出た一行に声をかけるものがいた。
クリストファーの唯一の側近候補で、昨年一年早く学園を卒業したアルバート ノートン。アリシアの兄であり、次期ノートン公爵だった。
「アルバート!!!」
アルバートの姿を見たクリストファーはアルバートに飛び付いた。抱き合って再会を喜ぶ二人。その姿にぎょっとするマーガレット。やれやれと呆れる第二王子と第一王子の婚約者。さっきまでの断罪劇などなかったようにアルバートしか目に入らない様子のクリストファー。
「アルバート!何でお前がここにいるんだ!?領地はいいのか?」
「クリストファー殿下の卒業祝いに駆け付けたに決まってるじゃないですか!領地を出るのが遅くなって会場に入るのが遅くなりました。すいません。」
そこは妹の卒業祝いじゃないのかという突っ込みを容れる気にもならない一行は、クリストファーのことはアルバートに任せて先に王宮に向かう馬車に乗り込んだ。
「いいのだ!お前が来てくれただけでいいのだ!お前に会える以上の喜びはない!アルバート、会えて嬉しい!」
「私もクリストファー殿下にお会いできてこれ以上の喜びはありません。」
そう、一年前アルバートが卒業して領主教育の為に公爵領に帰ってしまってからクリストファーはずっと寂しかったのだ。
側近候補としてずっと一緒にいたアルバートがいなくなって、他にいた筈の側近候補はいつの間にか弟の第二王子の側近候補に鞍替えされていた。婚約者のアリシアは王子妃教育で忙しく、たまに会ってもからかわれて遊ばれるだけ。学園の生徒は親しくはしてくれるけれど王子に対して遠慮もあり踏み込んでは来ない。クリストファーはいつも何か足りない寂しさを抱えて過ごしていた。
そんな時、学園の裏庭で鳩に餌をやっている処にやって来たのがマーガレットだった。
マーガレットは優しかった。アリシアにそんな姿を見られたら、鳩に勝手に餌をやってはいけないと鳩の糞被害の話なんかを絡めてクリストファーが反論出来ない様に叱られただろう。だか、アリシアは鳩に餌をやっていたクリストファーを素直に、優しいんですね。と言って褒めてくれたのだ。その後もマーガレットは会う度クリストファーを手放しで褒めた倒した。
孤独なクリストファーに、マーガレットのなん含みもない単純な称賛は染み込んだ。
いじめを受けているというマーガレットに
、自分が護ってやらなければと庇護欲を掻き立てられた。
自分を好きだと言って、叶わない恋なのだと涙する様が可愛いと思ってキスしていた。因みにファーストキスだった。
マーガレットを好きだと思った。
これこそが、真実の愛だと思った。
ねだられるまま、卒業パーティーでアリシアと婚約破棄してマーガレットと結婚する約束をした。
クリストファーとて、すんなりと一方的な婚約破棄が通るとも、何も咎めがなく済むとも思っていなかった。
でも、クリストファーは寂しくて疲れていて、ずっと満たされなくて、このまま、アリシアと結婚して王太子になって国王になる未来が嫌だったのだ。だって未だ、クリストファーは第一王子なのに王太子ではないのだから。
いっそ壊してでもやめたかったのだ。
だが、今アルバートに会えて嬉しくて嬉しくて…
「クリストファー殿下ご卒業おめでとうございます。」
難しく考えていたこと全部どうでも良くなるくらい、満面の笑顔のアルバートに満たされるものを感じて、クリストファーは自分を満たしてくれるものに気付いた。
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「所詮、貴女も私も当て馬でしかないのよ。」
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