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第52話 ノルとモミジの大冒険1
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(新星歴4817年4月24日)
茜との『封印と世界見学の旅』はおおむね順調に進んでいた。
すでに3か所は封印が終わり、残すところ2か所となっていた。
冒険の最中は今まで通り幼馴染として過ごし協力する中で、茜の俺に対する感情は完全に恋する乙女のそれになり、行動が大きく変化したのには少し戸惑っている。
「ん、猛攻あるのみ。応援する」
と、エリスラーナにいらん事を言われた茜が、なりふり構わず俺にアピールするようになったからだ。
後日しっかりとエリスラーナにお仕置きとともに言い聞かせたのは言うまでもない。
※※※※※
今回の目的地は極東の島国。
かつて俺が日本を模して創造した国だが住民が暮らす区域に来たのは実は初めてだ。
神々は何度も訪れているし、俺自身も今回の目的である3つ首岬の祠群には調査に来たことがある。
せっかくなので楽しもうじゃないか。
俺と茜はギルガンギルの塔から近くの小島へ転移し『ノル』と『モミジ』になり装備を整え、小舟を利用して入国した。
世界見学なのだ。
転移で一瞬では趣がない。
入国する関所の港には検問所があり、様々な種族の人たちが列を作っていた。
「ノル、凄く混んでるね」
「しょうがないさ。ここは食事がうまいんだ。文化も特別だから多くの観光客が来る」
「はあ、お腹空いたよ…携帯食料食べちゃおうかな」
お腹のあたりをさすりながらモミジがそんなことを言い出した。
「モミジは食いしん坊だな。でも我慢した後の飯はうまいぞ。もうちょっとだから頑張れ」
「ううー。分かった。我慢する。でも最初にご飯だからね。絶対に!」
食欲に忠実なモミジに思わず笑みがこぼれてしまう。
しばらくしてやっと俺たちの番になり、銅級の冒険者プレートを提示し入国、さっそく近くにある食事処へと向かう。
門前町のようなにぎやかな街並み。
緩やかな斜面を瓦屋根で覆われた木造の建物が理路整然と並ぶさまが風情を感じさせる。
提灯のようなものが等間隔に設置され幻想的な灯りが空間を彩っていた。
小さな鳥居の奥に、槍のようなものを掲げた人魚像が祭られており、改めて異世界なんだと思わずつぶやいてしまった。
この国の住民は着物のような服を着ている人が多い。
俺の記憶にある江戸時代を彷彿とさせる。
モミジも同じように感じたらしく「本で見た昔の日本みたい」とつぶやいていた。
しばらく歩き、目当ての『お食事処』の暖簾が出ているお店にモミジと一緒に入っていった。
久しぶりに和食が食えそうだ。
「いらっしゃい!2名様ご案内―!」
元気のよい店員の声にテンションが上がる。
店内は混みあっており、俺とモミジはカウンターに腰を下ろした。
モミジは珍しいらしくしばらくキョロキョロしていたが、御通しのお浸しの様なものがテーブルに置かれると、眼を輝かせた。
が、すぐに絶望の色を浮かべた。
「ノルー。美味しそうだけどこれじゃ全然足りないよ。はあー」
この世界での一般的な食堂では、いきなり全部の料理が運ばれることが通例なのだ。
「ハッハ。大丈夫だモミジ。どんどん来るからな。期待してろ」
板前さんが微笑ましいものを見るような表情を浮かべながら俺たちに問いかけてきた。
「お兄ちゃんたちどこから来たんだい?和食は初めてみたいだな。生の魚食えそうかい?だめなら焼き魚にしてやるけど。まあせっかく来たんだから味わってほしいけどな」
そう言って次に出てきたのは根菜の煮物。
出汁が効いていて旨そうだ。
「アナデゴーラ大陸から来たんだ。ちょっとギルドの依頼でね。生魚多分食べられるのでお願いするよ」
驚いた表情を浮かべ、そしてにっこりと笑い、魚をさばき始めた。
初めて食べる刺身に、モミジは感動して涙を流していた。
…良かったな。
その後出てきた『キンメダイ』のような煮つけとアサリの味噌汁、沢あんに、モミジが大盛りのご飯を3杯お替りしたことは皆には内緒にしておいてやろう。
いくら何でも食い過ぎだ。
久しぶりの和食は最高だった。
「また来ようね!」と満足げな笑顔のモミジの嬉しそうな顔が印象に残った。
食事を終え満足した俺たちは、腹ごなしのため町を散策した。
着物を試着したり怪しい占いを楽しんだり風鈴の涼しげな音色を楽しんだり、俺たちは時間を忘れ満喫することができた。
途中露店で、漆塗りの髪留めに目を奪われたモミジに「記念だから気にするな」と格好つけてプレゼントした。
熱いまなざしで「ありがとう。ずっと大事にするね」とうるんだ瞳で見つめられ、逆にこっちが戸惑ってしまったが。
慣れないことはするものではない。
まあ…可愛かったのは認めざるを得ない。
あたりに夜のとばりが落ち始めたころ。
食後押さえておいた、以前モンスレアナが調査に訪れた時に宿泊し絶賛していた『夕霧亭』に向かった。
1泊金貨1枚の高級旅館だ。
高額な宿泊代にモミジが目を回したのはご愛敬、せっかくなので奮発した。
「の、の、ノル?!大丈夫?すごく高いけど」
「まあね。普通銅級が泊まれる部屋ではないけど、ここにはとっておきがあるんだよ。まあ楽しみにしておけ」
※※※※※
「ふうー。生き返る…温泉やばいな。さすが本場は違う」
ギルガンギルの塔にあるかけ流し温泉の惨状が目に浮かび、遠い目をしてしまう。
これが高額の理由。
部屋にプライベート温泉がある。
先に飛び込む勢いで温泉を楽しんでのぼせたモミジは、今畳の上の布団で夢の中だ。
「連れてこられて良かった‥‥‥喜んでくれて、本当に良かった」
病気に侵され懸命に生きてきた命に対し、地球はあまりにも無慈悲だった。
普通の暮らしができず空っぽだった茜に、少しでも経験をしてもらいたかったんだ。
思いをはせていた俺は、眼を閉じうっすらと硫黄の匂いが立ち込める温泉を楽しんだ。
※※※※※
のぼせる前に上がった俺は、横ですやすやと眠っている茜を確認し、用意されている布団に入り目を閉じた。
温まった体に、ひんやりとした布団が気持ちよい。
うとうとし始めたころ、突然茜が俺の布団に入ってきて抱き着いてきた。
浴衣越しに伝わるなまめかしい柔らかな感触に思わず言葉を失ってしまう。
「っ!?…なっ?!…あ、茜?」
「…光喜さんは酷い人です…妹扱いして…幼馴染みたいにして……我慢してたのにっ!…優しくて…どんどん大切にしてくれて…あふれて」
「いつでも私を…見てくれて…守ってくれて…そんなの……好きになっちゃう…もう…好きなの……もう、止められないよ…」
本能を刺激するような、風呂上がりの仄かに甘い女性の匂いが俺を包む。
俺にしがみつく茜の腕に力がこもる。
怖いのだろう、小刻みに震えている。
「大好きです…抱いて…ください…光喜さん、欲しいです…」
暗がりに薄っすらと浮かぶ茜の顔は、真っ赤に染まり、瞳には涙が浮かんでいた。
驚くほど美しかった。
嬉しかった。
対等に見てくれ勇気を出してくれたのだから。
真核の成長とともに、すっかり大人の女性の体を手に入れた茜は、魅力的だった。
茜との『封印と世界見学の旅』はおおむね順調に進んでいた。
すでに3か所は封印が終わり、残すところ2か所となっていた。
冒険の最中は今まで通り幼馴染として過ごし協力する中で、茜の俺に対する感情は完全に恋する乙女のそれになり、行動が大きく変化したのには少し戸惑っている。
「ん、猛攻あるのみ。応援する」
と、エリスラーナにいらん事を言われた茜が、なりふり構わず俺にアピールするようになったからだ。
後日しっかりとエリスラーナにお仕置きとともに言い聞かせたのは言うまでもない。
※※※※※
今回の目的地は極東の島国。
かつて俺が日本を模して創造した国だが住民が暮らす区域に来たのは実は初めてだ。
神々は何度も訪れているし、俺自身も今回の目的である3つ首岬の祠群には調査に来たことがある。
せっかくなので楽しもうじゃないか。
俺と茜はギルガンギルの塔から近くの小島へ転移し『ノル』と『モミジ』になり装備を整え、小舟を利用して入国した。
世界見学なのだ。
転移で一瞬では趣がない。
入国する関所の港には検問所があり、様々な種族の人たちが列を作っていた。
「ノル、凄く混んでるね」
「しょうがないさ。ここは食事がうまいんだ。文化も特別だから多くの観光客が来る」
「はあ、お腹空いたよ…携帯食料食べちゃおうかな」
お腹のあたりをさすりながらモミジがそんなことを言い出した。
「モミジは食いしん坊だな。でも我慢した後の飯はうまいぞ。もうちょっとだから頑張れ」
「ううー。分かった。我慢する。でも最初にご飯だからね。絶対に!」
食欲に忠実なモミジに思わず笑みがこぼれてしまう。
しばらくしてやっと俺たちの番になり、銅級の冒険者プレートを提示し入国、さっそく近くにある食事処へと向かう。
門前町のようなにぎやかな街並み。
緩やかな斜面を瓦屋根で覆われた木造の建物が理路整然と並ぶさまが風情を感じさせる。
提灯のようなものが等間隔に設置され幻想的な灯りが空間を彩っていた。
小さな鳥居の奥に、槍のようなものを掲げた人魚像が祭られており、改めて異世界なんだと思わずつぶやいてしまった。
この国の住民は着物のような服を着ている人が多い。
俺の記憶にある江戸時代を彷彿とさせる。
モミジも同じように感じたらしく「本で見た昔の日本みたい」とつぶやいていた。
しばらく歩き、目当ての『お食事処』の暖簾が出ているお店にモミジと一緒に入っていった。
久しぶりに和食が食えそうだ。
「いらっしゃい!2名様ご案内―!」
元気のよい店員の声にテンションが上がる。
店内は混みあっており、俺とモミジはカウンターに腰を下ろした。
モミジは珍しいらしくしばらくキョロキョロしていたが、御通しのお浸しの様なものがテーブルに置かれると、眼を輝かせた。
が、すぐに絶望の色を浮かべた。
「ノルー。美味しそうだけどこれじゃ全然足りないよ。はあー」
この世界での一般的な食堂では、いきなり全部の料理が運ばれることが通例なのだ。
「ハッハ。大丈夫だモミジ。どんどん来るからな。期待してろ」
板前さんが微笑ましいものを見るような表情を浮かべながら俺たちに問いかけてきた。
「お兄ちゃんたちどこから来たんだい?和食は初めてみたいだな。生の魚食えそうかい?だめなら焼き魚にしてやるけど。まあせっかく来たんだから味わってほしいけどな」
そう言って次に出てきたのは根菜の煮物。
出汁が効いていて旨そうだ。
「アナデゴーラ大陸から来たんだ。ちょっとギルドの依頼でね。生魚多分食べられるのでお願いするよ」
驚いた表情を浮かべ、そしてにっこりと笑い、魚をさばき始めた。
初めて食べる刺身に、モミジは感動して涙を流していた。
…良かったな。
その後出てきた『キンメダイ』のような煮つけとアサリの味噌汁、沢あんに、モミジが大盛りのご飯を3杯お替りしたことは皆には内緒にしておいてやろう。
いくら何でも食い過ぎだ。
久しぶりの和食は最高だった。
「また来ようね!」と満足げな笑顔のモミジの嬉しそうな顔が印象に残った。
食事を終え満足した俺たちは、腹ごなしのため町を散策した。
着物を試着したり怪しい占いを楽しんだり風鈴の涼しげな音色を楽しんだり、俺たちは時間を忘れ満喫することができた。
途中露店で、漆塗りの髪留めに目を奪われたモミジに「記念だから気にするな」と格好つけてプレゼントした。
熱いまなざしで「ありがとう。ずっと大事にするね」とうるんだ瞳で見つめられ、逆にこっちが戸惑ってしまったが。
慣れないことはするものではない。
まあ…可愛かったのは認めざるを得ない。
あたりに夜のとばりが落ち始めたころ。
食後押さえておいた、以前モンスレアナが調査に訪れた時に宿泊し絶賛していた『夕霧亭』に向かった。
1泊金貨1枚の高級旅館だ。
高額な宿泊代にモミジが目を回したのはご愛敬、せっかくなので奮発した。
「の、の、ノル?!大丈夫?すごく高いけど」
「まあね。普通銅級が泊まれる部屋ではないけど、ここにはとっておきがあるんだよ。まあ楽しみにしておけ」
※※※※※
「ふうー。生き返る…温泉やばいな。さすが本場は違う」
ギルガンギルの塔にあるかけ流し温泉の惨状が目に浮かび、遠い目をしてしまう。
これが高額の理由。
部屋にプライベート温泉がある。
先に飛び込む勢いで温泉を楽しんでのぼせたモミジは、今畳の上の布団で夢の中だ。
「連れてこられて良かった‥‥‥喜んでくれて、本当に良かった」
病気に侵され懸命に生きてきた命に対し、地球はあまりにも無慈悲だった。
普通の暮らしができず空っぽだった茜に、少しでも経験をしてもらいたかったんだ。
思いをはせていた俺は、眼を閉じうっすらと硫黄の匂いが立ち込める温泉を楽しんだ。
※※※※※
のぼせる前に上がった俺は、横ですやすやと眠っている茜を確認し、用意されている布団に入り目を閉じた。
温まった体に、ひんやりとした布団が気持ちよい。
うとうとし始めたころ、突然茜が俺の布団に入ってきて抱き着いてきた。
浴衣越しに伝わるなまめかしい柔らかな感触に思わず言葉を失ってしまう。
「っ!?…なっ?!…あ、茜?」
「…光喜さんは酷い人です…妹扱いして…幼馴染みたいにして……我慢してたのにっ!…優しくて…どんどん大切にしてくれて…あふれて」
「いつでも私を…見てくれて…守ってくれて…そんなの……好きになっちゃう…もう…好きなの……もう、止められないよ…」
本能を刺激するような、風呂上がりの仄かに甘い女性の匂いが俺を包む。
俺にしがみつく茜の腕に力がこもる。
怖いのだろう、小刻みに震えている。
「大好きです…抱いて…ください…光喜さん、欲しいです…」
暗がりに薄っすらと浮かぶ茜の顔は、真っ赤に染まり、瞳には涙が浮かんでいた。
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