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第126話 魔王の消失と奇跡の光
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違う世界線があるとして。
きっと今日ファルスーノルン星は滅びていた。
だが結果として。
運命で導かれたネルと。
神々の渾身の権能と。
運命のいたずらで出会えた勇者茜によって。
極帝の魔王の暴走は抑えられた。
遠いギルガンギルの塔で計測された暴走時のノアーナの存在値は。
800000を超えていた。
だがその代償は。
ノアーナの消滅だった。
※※※※※
(新星歴4818年1月14日)
「やべえな」
俺は北の空に目をやり思わずつぶやいた。
鱗がピリピリとする。
これはまずい事が起こる時の前兆だ。
「おい、アズガイヤ、お前ひとっ走り海辺の『マサオのなごみ亭』の隣の宿屋へ行け。俺の名前を出せば問題ない。絶対に守れ」
「おう。ナハムザートはどうするんだ」
「いいからいけ。ルガロ、おまえは迎賓館へ行け。おそらく辺境伯がいるはずだ。そこで守れ」
「おう、わかった。……なんかやばそうだ。さっきから鱗がピリピリしやがる」
「頼むぞ。俺は北上する。……ダール、こっち来れるか?」
空間が軋み、ダールとイレーザ、グスタード、ブラッドの4人が転移してきた。
「ナハムザート、まずい、どんどんいやな気配が北の方から近づいてくる」
「ああ、ダールも感じたか。おい、イレーザとグスタード、お前ら出来ればガイワットの方へ行ってくれないか?すでに風の神モンスレアナ様の眷属がいると思うが協力してくれ。ノアーナ様の名を出せばわかるから」
「おう、わかった」
「はい。了解です」
「ブラッドは俺たちに付いてきてくれ」
「ああ、了解だ」
その時怖気が全身を駆け抜け、あり得ないノアーナの魔力が俺たちを、いやおそらく世界を包み込んだ。
「っ!??!!!?」
全員思わず膝をついてしまう。
「ぐっ、グああ…ぐあああああああ………」
寒いミユルの町の雪が一瞬で溶けて消えた。
空が魔力でゆがんでいる。
空気が肺に突き刺さる。
くっ、なんだ?殺されそうだ……
魔力の圧だけで……
周りの皆も蹲り苦しんでいる。
「くっ、ノアーナ様……だめだ……それは…」
怒りの波動があたりを包み込む。
空間がゆがみだした。
「うああ、ああ………」
涙が零れ落ちた。
世界が崩壊する。
キ―――――――――――――――――――――ン…
突然澄んだ音が世界に響き渡った。
先ほどの魔力が嘘のように霧散していた。
倒れていた皆が立ち上がる。
「…おい、俺とダールは一回グースワースへ飛ぶ。お前らは行動しろ。ブラッドはルガロについていけ。頼んだ」
俺とダールはグースワースへ飛んだ。
※※※※※
グースワースは半壊していた。
執務室のある南側を中心に、高熱で溶けたように金属が変形しており、南側は数百メートルにわたり荒野のような状況になっていた。
「おいっ、ムク!!何があった?!」
グースワースの住人が全員呆然として立ち尽くしていた。
ルナが泣き叫び、カナリアが抱きしめ押さえている。
呆然と立ち尽くしているムクを捕まえ、俺は事情を聴こうとした。
「っ!?」
ムクが涙を流し、表情のない顔で俺に視線を向けた。
「お、おい、何があった?ノアーナ様は?」
ムクが震える手で指さした先には。
四肢を失い、存在が揺らいでいるノアーナ様の周りで6柱の神々がどうにか命をつなごうと治療を行っているところだった。
俺は膝から崩れ落ちた。
「オーバーヒール!!」
「オーバーヒール!!」
「オーバー…くっ…」
リナーリアが必死に回復魔法をかけている。
魔力切れを起こしたのだろう、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。
効果が見られないらしい。
「ノアーナ様っ、あああああっっ!!!、ノアーナ様っ!!!いやあ、いやだ……ノアーナ様っ!!!!」
ネルが全身血だらけで狂ったようにしがみつこうとしているのを、火の神アグアニード様が止めている。
涙を流しながら。
「ダメだノアーナ様!!諦めないで!!エリスちゃん!!回復してよっ!!」
勇者が我を忘れて泣き叫んでいる。
琥珀の魔力を噴出させながら。
でも、漆黒が原因ではないようだ。
効果が見られない。
「茜、ダメ。グスッ…うあ……効かない…ヒック…」
水の神エリスラーナ様が膝から崩れ落ちた。
「……ノアーナ様……グスッ……ああ……」
闇の神ダラスリニア様も闇魔法の回復を何度も掛けているようだ。
効果はないらしい。
光の神のアルテミリス様も、
風の神モンスレアナ様も、
土の神アースノート様も……
全てを尽くして回復させようとしているが。
効果がないのだ。
皆がノアーナ様を見つめ涙を流している。
そして全員が祈った。
ノアーナを助けたいと。
そして奇跡が訪れた。
空高く天空から輝く光がノアーナ様を包み込む。
「っ!?」
声が聞こえる。
もう一人の僕………
君の周りは優しい人がたくさんいるんだね。
僕が欲しかったものだ
ねえ、僕を向かえ入れて
僕は君。
君は僕。
ねえ、
寂しかったよ。
一緒になろう……
ずっと一緒だよ。
魔王の怒りが、悲しみが、星を包み込み、月の宮殿に届いていた。
魔王の体がキラキラ光りを放ち………
そして魔王は――
四肢を取り戻し存在が安定した状態で復活したのだった。
きっと今日ファルスーノルン星は滅びていた。
だが結果として。
運命で導かれたネルと。
神々の渾身の権能と。
運命のいたずらで出会えた勇者茜によって。
極帝の魔王の暴走は抑えられた。
遠いギルガンギルの塔で計測された暴走時のノアーナの存在値は。
800000を超えていた。
だがその代償は。
ノアーナの消滅だった。
※※※※※
(新星歴4818年1月14日)
「やべえな」
俺は北の空に目をやり思わずつぶやいた。
鱗がピリピリとする。
これはまずい事が起こる時の前兆だ。
「おい、アズガイヤ、お前ひとっ走り海辺の『マサオのなごみ亭』の隣の宿屋へ行け。俺の名前を出せば問題ない。絶対に守れ」
「おう。ナハムザートはどうするんだ」
「いいからいけ。ルガロ、おまえは迎賓館へ行け。おそらく辺境伯がいるはずだ。そこで守れ」
「おう、わかった。……なんかやばそうだ。さっきから鱗がピリピリしやがる」
「頼むぞ。俺は北上する。……ダール、こっち来れるか?」
空間が軋み、ダールとイレーザ、グスタード、ブラッドの4人が転移してきた。
「ナハムザート、まずい、どんどんいやな気配が北の方から近づいてくる」
「ああ、ダールも感じたか。おい、イレーザとグスタード、お前ら出来ればガイワットの方へ行ってくれないか?すでに風の神モンスレアナ様の眷属がいると思うが協力してくれ。ノアーナ様の名を出せばわかるから」
「おう、わかった」
「はい。了解です」
「ブラッドは俺たちに付いてきてくれ」
「ああ、了解だ」
その時怖気が全身を駆け抜け、あり得ないノアーナの魔力が俺たちを、いやおそらく世界を包み込んだ。
「っ!??!!!?」
全員思わず膝をついてしまう。
「ぐっ、グああ…ぐあああああああ………」
寒いミユルの町の雪が一瞬で溶けて消えた。
空が魔力でゆがんでいる。
空気が肺に突き刺さる。
くっ、なんだ?殺されそうだ……
魔力の圧だけで……
周りの皆も蹲り苦しんでいる。
「くっ、ノアーナ様……だめだ……それは…」
怒りの波動があたりを包み込む。
空間がゆがみだした。
「うああ、ああ………」
涙が零れ落ちた。
世界が崩壊する。
キ―――――――――――――――――――――ン…
突然澄んだ音が世界に響き渡った。
先ほどの魔力が嘘のように霧散していた。
倒れていた皆が立ち上がる。
「…おい、俺とダールは一回グースワースへ飛ぶ。お前らは行動しろ。ブラッドはルガロについていけ。頼んだ」
俺とダールはグースワースへ飛んだ。
※※※※※
グースワースは半壊していた。
執務室のある南側を中心に、高熱で溶けたように金属が変形しており、南側は数百メートルにわたり荒野のような状況になっていた。
「おいっ、ムク!!何があった?!」
グースワースの住人が全員呆然として立ち尽くしていた。
ルナが泣き叫び、カナリアが抱きしめ押さえている。
呆然と立ち尽くしているムクを捕まえ、俺は事情を聴こうとした。
「っ!?」
ムクが涙を流し、表情のない顔で俺に視線を向けた。
「お、おい、何があった?ノアーナ様は?」
ムクが震える手で指さした先には。
四肢を失い、存在が揺らいでいるノアーナ様の周りで6柱の神々がどうにか命をつなごうと治療を行っているところだった。
俺は膝から崩れ落ちた。
「オーバーヒール!!」
「オーバーヒール!!」
「オーバー…くっ…」
リナーリアが必死に回復魔法をかけている。
魔力切れを起こしたのだろう、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。
効果が見られないらしい。
「ノアーナ様っ、あああああっっ!!!、ノアーナ様っ!!!いやあ、いやだ……ノアーナ様っ!!!!」
ネルが全身血だらけで狂ったようにしがみつこうとしているのを、火の神アグアニード様が止めている。
涙を流しながら。
「ダメだノアーナ様!!諦めないで!!エリスちゃん!!回復してよっ!!」
勇者が我を忘れて泣き叫んでいる。
琥珀の魔力を噴出させながら。
でも、漆黒が原因ではないようだ。
効果が見られない。
「茜、ダメ。グスッ…うあ……効かない…ヒック…」
水の神エリスラーナ様が膝から崩れ落ちた。
「……ノアーナ様……グスッ……ああ……」
闇の神ダラスリニア様も闇魔法の回復を何度も掛けているようだ。
効果はないらしい。
光の神のアルテミリス様も、
風の神モンスレアナ様も、
土の神アースノート様も……
全てを尽くして回復させようとしているが。
効果がないのだ。
皆がノアーナ様を見つめ涙を流している。
そして全員が祈った。
ノアーナを助けたいと。
そして奇跡が訪れた。
空高く天空から輝く光がノアーナ様を包み込む。
「っ!?」
声が聞こえる。
もう一人の僕………
君の周りは優しい人がたくさんいるんだね。
僕が欲しかったものだ
ねえ、僕を向かえ入れて
僕は君。
君は僕。
ねえ、
寂しかったよ。
一緒になろう……
ずっと一緒だよ。
魔王の怒りが、悲しみが、星を包み込み、月の宮殿に届いていた。
魔王の体がキラキラ光りを放ち………
そして魔王は――
四肢を取り戻し存在が安定した状態で復活したのだった。
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